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ハンティング・プレイヤー  作者: 日々菜 夕
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プロローグ2


【正しい彼女の創り方2】




 攻略対象は4人。

 その全てが活発な女の子だから落ち込んでいる俺には、ぴったりのチョイスだと幸村は自負していた。

 だから、なんの疑いもなしに始めてしまっていた。


 最初に攻略しようとしたのが、神河 さくら《かみかわ さくら》

 ピンク色のロングヘアーで目もピンク色。

 ピンク=一番エロイだろうと決めつけての挑戦だったのだが……

 自分はこの世界を造った神であると豪語していて、行く先々で偉そうな振る舞いをするヤツだった。


【例1】


 初めてのデートで喫茶店に入り。いざ精算の時になったらヤツは胸を張って言いやがったのだ。


『ごちそうさま。まぁ悪くなかったわ』


 ここまでなら、最大限に譲歩してなんとか耐えられたがその後の行動が悪すぎる。

 金を払わずに出口に向かって歩み始めたのだ。

 呆れ果てた若い店員と慌てて肩をつかみ文句を言う主人公。


『私が誘ったのだから、私が払うのが当然でしょ!』


 記憶が間違っていなければ確かに、さくらはそう言っていたはずである。

 にもかかわらず、いきなり食い逃げとかありえんだろ!


 そこで出てきた選択肢は三つ。


① すんません。こいつちょっと頭おかしくって……

② あぁぁ、その、えと……。お、俺が払いますんで!

③ ここは、神様へのお布施って事でかんべんしてもらえないっすかね。てへっ♪


 当然俺は②を選択し――バッドエンドをむかえた。

 ならばと思い、今度は①選択したのだが……これまたバッドエンドに直行。

 これは詰んだな…と思いながらも③を選択した瞬間――店員の態度が急変して事態が好転。


『あはははははは! キミなら妹とも上手くやっていけそうだ! いいだろう。今日は僕のおごりだ! これからもさくらをよろしく頼むよ!』


 結果から言えば、さくらは財布の中身を補充し忘れていたのだ。

 自ら告白し、その勢いのままデートに誘ったのだから自分が全て払うのは当然と決め付けていたのに財力は乏しい。

 そこで、兄が勤めている喫茶店ならば立て替えてくれるのでは? と考えたまでは良かったのだが……

 いざ支払いの時になったら、ついいつもの調子で振舞ってしまったという落ちだったのである。

 見解次第では、可愛らしい一面に見えなくもないが……終始こんな感じで振り回されたらたまらない。

 はっきり言って絶対に付き合いたくないタイプだった。

 登場するキャラの人気ランキングで3位という微妙な位置にいるのも納得だろう。



 次に攻略対象に選んだのが、時渡ときわ 紅理あかり


 遠い未来から来たS級パイロットを自称していて。

 異星人が仕掛けてきたゲームに勝つために日夜死力を振り絞って戦っていたのだが劣勢を覆す事が出来ずにいたそうだ。

 戦況は実に悪く、防衛戦と撤退戦の繰り返しで、人類の数は3分の1以下にまで減っていたそうな。

 そこで政府は一つの賭けに出る。それは極秘裏に進めていたプロジェクトで――内容は、紅理の意識を過去へと飛ばし。

 優秀なパイロットの親と成れる子を産める人物と人格を入れ替えることで、より優秀な種を宿した男性との交配を成し遂げさせるというものだった。

 要するに過去を変えることで紅理の能力を増大させ戦力を強化するというのが狙いだったのである。


 ――ぶちゃけ、無茶にも程があるだろ?

 ――ってゆーか、それってもう紅理じゃなくね?


 それが俺の出した答えだった。

 先祖の資質を上げることで、より優秀な子孫を得る。

 ある意味サラブレットの作り方と似通っているかもしれないが、当初の予定と違う男性と交配し子孫を残した時点で紅理が産まれる確率があるようには思えない。

 それでも、そんな無謀に賭けるしかないという設定だった。

 そう言い張る紅理の行動は、見ていて実に痛々しかった。

 主人公をその気にさせるためにセッティングしたデートでの待ち合わせ場所は駅前の噴水がある広場。

 そこまでは、悪くない。

 むしろ意外に普通の娘なのか? とすら俺は思った。

 だが、やはり電波な彼女と言うタイトルに偽りはなかった。

 モデルガンを構えては何かに狙いをつけて――きっちり10秒数えたら姿勢を正して目を閉じる。

 そして、10秒数えたら再び目を開けて何かに向けて狙いを定める。

 とりあえず人に向けていないという点にかんしてだけは安堵したが……

 主人公が声を掛けるまでひたすらそれを繰り返す姿は新手の大道芸人にしか見えず。

 無駄に観客を集めていた。

 可愛らしい水玉もようのワンピースも、お洒落なショルダーバックも、残念さを際立たせるだけである。

 彼女の言い分では、鍛錬を怠るわけにはいかないとの事だったが……

 主人公同様に、俺も文句ばかりをぶつけた。


 ――もっと周りを良く見ろ!

 ――少しは相手の気持ちになって行動しろ!

 ――状況を考えろ! 状況を!


 そんな感じで終始物語は進み――

 唯一グッドエンドを迎えていた。

 ただ、その内容が俺には理解出来なかった。

 なぜなら、彼女は本当に未来から来た人格だったらしく時期がきたら未来へと帰ってしまい。

 その後、残された本体。美園琴実みそのことみから、


『ごめんなさい。あなたと結婚するつもりは微塵もありませんので二度と近付かないで下さい!』


 と言われてしまっていたからだ。

 どう考えてもバッドエンドの言葉を頂戴しているのに……グッドエンドの文字が表示されている理由がさっぱり分からなかった。

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