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とあるボードゲーム喫茶のオーナーに言われたこと

作者: 作家をめざしている不動産屋

相変わらず少女3人を主人公としたボードゲームの小説が面白く書けない。どうも、キャラが立ってないのだ。だから会話がどうもテンプレじみてしまう。

定例会の主催の方に出来上がった部分を送信してみるも、最後まで読めなかった、という一番聞きたくなかった答えが返ってくる。


だから一生懸命芝居の脚本とか読んでみる。シェイクスピアとかだ。するとため息が出て、結局俺なんて、となりまたやる気が失せてくる。


これはいけない、とやる気を出す為に他の動画を見てみる。だがどうにも楽しめない。昔の様に心の底から何かを楽しめないのだ。なんでかな、かと考えてみても解らない。ただ単に焦りだけが募る。そしてまた書けない原稿を前にして、ウンウン唸る。でも書けない。。。


たまには息抜きを、というのではないが、神楽坂に新しく開かれたテンビリオンポイントに遊びにいく。店内には知り合い同士で固まった連中が3人ほど。どうやら相席は出来なさそうだ。そこでカウンター席でオーナーのヒガさんに相手して貰う。


ヒガオーナーは、都内のボードゲームカフェで店長をされていた。2020年9月末にそのお店を辞め、念願の自分のお店を開いたのだった。

「テンビリオンポイント」

100億点という意味であり、元々別のボードゲーム喫茶があったところを引き継いだのだとか。折からの新型コロナウィルスにより、飲食店には営業時間の短縮要請が為されている最中の船出となる。お店の知名度を上げる為、他のお店が臨時休業しているこの時期でも頑張ってお店を閉めずに営業し続けている。なかなかに大変だとは思うが、しかし自分のお店を持つとしたらこの時期を置いて他にはありえない。


テンビリオンポイントという名前の由来は知らない。多分沢山金儲けしたいとか、沢山ゲームしたいとか、そんな所だろう。今の所ヒガオーナー以外は見かけないが、そのうちの店員の方も雇う筈だ。


カウンター席でラムコークを呑みながらヒガオーナーに言われたこと。

『ツキさん、なんか義務感で小説書いてませんか?』

思わずギクリとしてしまった。だからその通りなのだと思う。

ーカタンの競技人口増やすために、万人受けする小説書かなくちゃ。

ーその為には、二十歳前後の女性3人が活躍する物語「でなければならない」

ー彼女たちが可愛らしく振る舞うお話「でなければならない」

いつの間にか書くことが苦痛になっている。その証拠に、自分が好きな小説のストーリーを考える作業は仕事の合間とか電車に乗っている最中でもTwitterに投稿したりすることができるのに、こういった作業は気合を入れて喫茶店にいるときでもないとする気になれない。自宅では書きたくもないのだった。自分自身が義務感でイヤイヤ書いているのが、文体にも出てきているんだろう。


ヒガオーナーからは他にもドキリとする事を言われた。

例えば今書いているカタン娘三人組の話の第一話。


ストーリーはおおよそこんな感じだ。

「カタン娘のうち二人が素人の女の子にカタンのルール説明をする。

しかし微にわたり細を穿つ説明に聞いている方は頭がパンクしてくる。

すると二人は師匠から叱られて、師匠がルール説明を直接してしまう。

師匠のルール説明は簡単で、そっけないものだった。

しかしこれからカタンを楽しもうとする人間にとってはその程度で十分。」


我ながら筋書きとしてはよく出来ている、だなんて自惚れていたんだが、案の定

「テンプレートじみてますね〜〜」

との評価だった。それはそうか。確かに中途半端にゲームをやり込んだ人間によくある落とし穴に見事に嵌まり込んでいる気がする。誰でも一度はやってしまいがち。


「ツキさんの成長日記でもあるわけなのかな?」

ここもそのとおりである。俺はいつも本筋を離れて、細部を細々とルール説明してしまう癖があった。チョットでもこのカタンを知ってほしいという気持ちが半分。あと半分は、俺はここまでカタンのことを知ってるんだ。凄いだろうという自慢の気持ちだと思う。我ながらみっともない。


その後相席OKな人間も来る気配がなかったことと、その日はカタン新宿例会が久しぶりに実施されていたことから、その後は新宿の定例会が行われているお店へと急ぐ。定例会は19時まででお開きだ。急がないと1ゲームも出来ずに終わってしまう。丁度そのとき16時20分であった。


定例会には8名ほどの人間が来ていた。いつもであれば20名ほどだが、感染症の最中なのでこんなものだろう。定例会の主催者にも、ヒガオーナーと同様に小説を送付していた。しかしその後音沙汰がなにもない。

ーやはりツマラナイのかなぁ、と思って小説の感想を聞いてみる。

案の定「長いよね」という身も蓋もないご感想を賜ることとなった。

「前回のはさ、長いけど勢いで読めたの。でも今回のは・・・」


やはりツマラナイらしい。そうだと思う。書いている俺自身、

「これどうなんだろう?微妙だなぁ」

と思いながら書いているようなものを他人が面白がるはずもない。


じゃあどうするか?

誰に見せる気もなく書いているカタンの戦績報告書をそのまま手直しして、小説にしてしまうのがいいんじゃないのか、と今朝電車に乗っている最中にぼーっと考えていた。誰に見せる気もないから衒いがないし格好つけてない。そこが大事だ。ひとまずこれでいこう。

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