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1話その1

唐突だが俺は幼稚園の時から特撮ものが好きだ、大人になると実は重い話だったんだなぁと痛感する脚本、可愛い&イケメン俳優、そしてヒーローのアクションシーン、俳優はともかく脚本に至っては日本の厳しい規制や保護者の苦情から幼稚園に見ていたものよりも表面的にはハードな内容はやらなくなっているのもあるから俺は画質が古くても昔の方が好きだったりする。

でも今のやつも見ている、何せアクションシーンの殺陣(たて)はアルバイトの時の参考にさしてもらってくらいだからな、画質いいからわかりやすい。

だが幼稚園の頃からわからないのが同じ暴力を振るうのに怪人とヒーローではきっちりと善悪の区別がつけられていることである。

先に怪人が暴れたからヒーローは暴力を振るってもいい、すなわちやられたからやり返してもいい思想だと思っていた。

ある日ヒーローごっこと言われ先に襲いかかってきたヒーロー役の同級生を全員返り討ちにした。幼稚園の頃から絵と殺陣の模倣ばかりやっていたので子供にしては鮮やかかつ一方的な暴力だった。しかしその日の夕方、複数人の女性に母が頭を下げていた。返り討ちにした同級生の1人が「怪人のくせにヒーローを倒すからだ、べぇ〜」と女の人の後ろからあっかんべぇをしていたのは今でも鮮明に覚えている。

その日の夜、俺は両親にこっぴどく怒られた。俺は梅干しのように真っ赤でしわくちゃな顔で泣いていたので内容はほとんど入ってこなかった。

やられたからやり返したのに、ヒーローと同じことをしたのに、どうして誰も俺を認めないんだ?

その日以来俺は暴力に対して正義を抱くことは無くなった。



チュンチュン、チュンチュン

狭くもなく広くもない1人暮らしには的確な部屋に雀の鳴き声がなり響く。

「う…眠い…朝バイトなんて…入れやがって…」

男は文句を言いながら布団から出てきた。生まれたばかりの姿で。

「いい加減いい夢見たいぜ、なぁ榴咲(りゅうざき)カリンちゃん」

男は枕元に入れた美少女の絵が入ったクリアファイルに話しかけると布団をたたんだ。全裸で。

男は裸のまま台所に向かい衣類から解放された姿のまま冷蔵庫から半額のシールが貼られた鮪と山芋を取り出すと食べやすい大きさに切り、皿に盛り付けた。

「いただきます」

男は無防備のまま解凍したごはんと鮪と山芋を混ぜたものを食べながらテレビをつけた。

「さぁ中世(なかよ)サンデー大人気コーナー今週の星座占いまであと30分となりました!チャンネルはそのままにしておいてくださいよ〜!」

男はテレビ画面の左上を見た、そこには9:30とポップなフォントで映し出されていた。

ちなみに男のバイトの時間は10時である。

「……うわぁぁぁぁ!!!」

男は叫ぶと朝ごはんを飲み込むように食べ、目にも止まらぬ速さで歯を磨き顔を洗い、ようやく服を着た。そして男は携帯を取り出し電話をかけた。

「もしもし…あのそちらで勤務している榴咲士(りゅうざきあきら)なんですけど…ん彩愛(あやめ)!いやぁ寝坊して風邪ひいたと思うから今日休むって連絡入れようと思ったんだけどさぁ… え?店長が来るからさすがに来いって?いやだって15分で真凛(まりん)区から村雲(むらくも)区まで無理ですって… 馬使えばいいって…そんなことのために馬使ったら絶対なんか言われるって… え?補講の日使ってるとこ見たって? ……あぁ!もうわかったよ!行くよ!行けばいいんでしょ!」

男は携帯に罵声を浴びせると部屋を出ていった。

男は近場の港まで来ると人気がいないかキョロキョロと周りを見渡した。

「まぁ大丈夫かな」

男は安心と納得が混じったような声を出した瞬間、男の近くで大きな水飛沫(みずしぶき)が起き、その中から骨のように白いバイクが飛び出してきた。

「よっしゃ急げぇぇぇ!」

男は躊躇いなくバイクに乗ると、アクセルを全開でかけ海上へと飛び出した。

男は気づいていなかったがあまりにも急いでいたのかテレビを消し忘れていた。ちなみに彼が出て行ってからの内容は高校教員連続失踪事件と星座占いであり、乙女座は12位ラッキーアイテムは金髪だった。


神話や異世界系アニメのような中世(ちゅうせい)の風景にコンビニやショッピングモールのような都会のような町並みの都市、中世市(なかよし)

どこにでもいそうな中肉中背で黒髪でスポーツ刈りの男、田中真侍(たなかしんじ)はこの町に本社を構える大手企業エデンコーポレーションの動画広告編集課の課長に26歳の若さで転属となった。

真侍自身、視聴数は大した数ではなかったが一時期YouTuberであったことを除けばそこそこの運動神経と学歴の平凡な人生だったが、いきなりの出世に胸を踊らしていた。

土日出勤、残業覚悟、情報の流出をしないなど厳しい条件もあったが、これまでの平凡な人生に終止符を打つため茨の道へと踏み込んだのだ。

「さて…ここか…」

真侍は携帯から目を離すと目の前に大きなビルが立っていた。

エデンコーポレーションのある村雲区は他の区と異なり近未来的な町並みであり、高級料理店や芸能人が何人も来る有名店など比較的ゴージャスな場所である。

お陰で真侍は村雲区から10 駅くらいある街亜区(がいあく)に住んでいる。

「うわぁ…緊張するなぁ…」

真侍はこの中に入れば自分が課長になるという事実に武者震いし、会社の中に入れないままでいた。

早めに来たとはいえ無駄な時間が過ぎ去ろうとしたその時。

「すみません、ここになんか用があるんすか?」

いきなり声をかけられ、真侍は驚きながら振り向くと、目の前に男がいた。

その男は体格は信士と同じくらいではあったが、顔の右半分を覆い隠す黒髪でわかめのような癖毛、爽やかさとチャラさが綺麗に混ざり合ったような容姿、しかし無地のTシャツに長ズボンという服装が休日に町をふらついてる残念な男という印象が強くなってしまった。だが、ラフな服装が逆に話しやすい雰囲気を醸し出していた。

「えっ、いやぁ今日から本社勤めだけじゃなく課長にもなったんで緊張して…」

真侍は照れながらも見ず知らずの男に話した。

「まぁ足跡を残すどころかぶち抜いて落ちるくらいの勢いで踏み出せば、やったまった〜みたいなやらかした感は残るけど、後戻りができないから否が応でも進むことができますよ。それじゃあ」

片目隠れの男はそういうと真侍に手を振りながらエデンコーポレーションへと入って行った。

信士は見ず知らずの男が会社の関係者だと知るとだんだん勇気が湧いて来た。

真侍は胸を張りながらエデンコーポレーションへと足を踏み入れた。

異常に満ち足りた表情は何処か変かもしれないが、休日のため人に見られることはほとんど無かった。

信士はエレベーターに入り動画広告編集課のある地下2階を押すと扉が閉まった。

「気味が悪がられるかもしれないが、地面をぶち抜くようなスタートを飾ろう」

真侍がエレベーターを出て薄暗い廊下を歩くと物置同然の場所に「動画広告編集課」と立札が立っていた。

信士はそんなことも気にせず勢いよく鉄扉を開けた。

「おはようございます!」

真侍は重い鉄扉の音をかき消すくらいの大きな声で挨拶した。しかし目の前の光景を皮切りに信士の勢いは急減速するのであった。

「ごめんなさい!二度と仮病なんて使わないので、罰として黒タイツで頭を踏んづけてください!お願いします!」

(あきら)!君のその言い訳は何回目よ!」

「黒タイツで踏んづけては初めてです」

「そっちじゃない!」

「ぐあっはぁっん!ありがとうございます!」

先程の真侍にエールを送った片目隠れの男が椅子座った目つきの悪い女の子に踏まれていた。

いきなりの光景に信士は目を疑った。

先程「ぶち抜いて踏み出せばいい」と言っていた男が今にもぶち抜かれそうな勢いで踏みつけられているのだから当然である。しかもその顔は何処か嬉しそうでもあった。

真侍は「あっここ部屋間違えたな」と思い、入った勢いとは逆に静かに鉄扉を閉めようとした。

「ん?あっ!待て!」

目つきの悪い女の子は踏みつけた片目隠れの男の頭をトランポリンのように勢いよく踏みつけながら大きくジャンプし真侍が閉めようとした鉄扉を止めようとした。

が、跳躍で威力をつけた掌底が重い鉄扉を勢いよく閉め、真侍は後ろに飛ばされてしまい壁に頭を打ち、意識を失ってしまった。


「おい店長!起きろ!異世界転生させねぇぞ!」

真侍は朦朧とする意識の中、男の声が聞こえてきた。

真侍は男の声で目を覚ますと聴覚だけでなく、次第に他の感覚も覚めてきた。

体を揺すられている感覚、何故かニンニク臭い嗅覚、そしてぼやけていた視覚もピントが合わさり自分の前に立つ人影が鮮明に確認できた。

肩までかかった黒髪に威圧的だが何処か可愛らしい目つきの女の子。

信士より頭一つ分大きく、黒髪のツーブロックと表情一つ変えないため精巧に作られたロボットような男。

そして右半分を覆い隠すように分けてはいるが、先程とは違いきっちりと髪の毛が整っている無地のTシャツを着た男。何故だかこの男からニンニクの臭いがする。

合計3名の男女?が真侍の前に立っていた。

「いやぁよかったよかった!このまま倒れていたら彩愛(あやめ)が留置所行きになって、[密室の中で美少女…何も起きないはずもなく…]展開になるところだった!いやぁよかったよかった!」

「冗談でも本人の前で何も起きないはずもなく…なんて言うね…」

嬉しそうに話す片目隠れの男の言葉に目つきの悪い女の子は呆れながら片目隠れの男の背後からチョップを放った。

だが、片目隠れの男は瞬時に振り向き、女の子の手首を掴んでチョップを止めた。

「彩愛…いい加減わかってほしいんだが、俺はお前の胸、尻、足を使った攻撃以外は通用しない」

「こちらもいい加減わかってほしいんだけど、いつもそんなセクハラ台詞を堂々と言えるね…」

片目隠れ目の男は鋭い目つきで話すが、目つきの悪い女の子は汚物を見るような目で呆れていた。

「あの…すみません…この状況は一体…」

真侍は困惑しながらも少しでも状況を理解したいため弱々しいが声を出した。

「動画広告編集課の部屋だが、田中真侍さんが気絶している間に(あきら)がニンニクたっぷりラーメンを食べに行ってたせいで臭いが充満している」

真侍の声が聞こえたのか、表情の硬い男が感情が入って無さそうな言葉を出した。

「店長!4時間も寝てたから暇で暇でしょうがないんで寝癖直してラーメン食いに行ってましたわ!」

「私と切矢さんはお昼以外は真面目に働いてたんだけど…(あきら)は20分前くらいに帰って来たよね」

「え?4時間?」

2人の会話から気づいたのか、真侍は携帯を取り出して時間を確認すると14時25分と写し出されていた。


田中真侍は大きな問題に衝突していた。

目覚めてすぐに仕事を始めたのだが、3人全員が大学生で動画編集の初心者であったのだ。

しかし、それぞれに差はあった。

まず動画編集の本に目を通しながらパソコンを操作している表情の硬い男、切矢宙(きりやそら)大学3年の二十歳である。大学の講義の一つで動画を作るといったものがあったらしく、所々忘れている節があったものの基礎はそれなりに出来ている。

眼鏡をかけて黙々と作業をする目つきの悪い女の子、副山彩愛(ふくやまあやめ)大学1年18歳。彼女は全くの初心者だったのだが、本を一通り読むとすぐに作業に取り掛かった。おそらく学習能力がかなり高い子なんだろう。

そして出社前に声をかけてくれた右目が隠れた男、榴咲士(りゅうざきあきら)。彼は本を1ページ足りとも読まずパソコンを操作し始めた。しかし真侍が全員の様子を見に周ると、彼はソリティアをしていた。

さすがの真侍も彼を叱り、「やる気が無いなら帰れ!」と言うと。

「もうここで出来ることは多分無いんでお言葉に甘えて帰らせてもらいます。あと、シフトの決め方とか決まったら連絡ください」と何の負い目も無く言うと、そのまま出て行ったのだ。

そして士が出て行き気まずい空気の中時間が過ぎていった。

空気が重いせいか時間の感覚が麻痺しそうな中で突如、彩愛と宙が席を立った。

2人はテキパキと荷物を直すと颯爽と部屋を出た。

真侍はいきなりの出来事に戸惑ってしまい、声をかけることすら出来なかった。

「もう帰宅時間なのか」と疑問に思い、パソコンの画面下を見ると18時47分と微妙な時間だった。

さらなる疑問が出てきた瞬間、真侍のパソコンにたった今メールが届いた。

「誰だよこんな時に…」

真侍は疲れと苛立ちが合わさった声を出しながらメールを開いた。

差出人の名前は[桐谷次郎(きりたにじろう)]、件名には[お疲れ様です]と書かれていた。

「本日のお勤めご苦労様です。かなり問題のある彼らですが、仕事に対しての熱意は本物です。これまでの仕事内容は彼らの口から聞いてください。」

と本文に書かれてあったが、差出人を見た真侍は全身が硬直しており内容が全く入らなかった。

何を隠そう[桐谷次郎]という者こそエデンコーポレーションの社長だからである。

タチの悪い悪戯かもしれないし、2人が帰った直後にメールが届いたのも怪しかったが、一応内容に目を通した。

真侍は今日はもう帰っていいのと3人のことを心配するのはわかったのだが、これまでの仕事内容という文章に疑問を感じた。

彼らは編集作業は今日から始めた全くの初心者なのにこれまで仕事が出来たとは思えないからだ。

「まぁ今度出勤した時に聞けばいいか」と真侍は納得すると、帰宅の準備を始めた。



午後7時過ぎ、士はスーパーの前で携帯の会話アプリを使用していた。

彩愛「狙われている人の見張りは8割型出来ているっぽいね」

宙 「割り込みを感じた地点の付近は士の自宅から近いはずだから、士は転生者の捜索を頼む」

士 「スーパーで半額になるのに20分くらいかかるんで、もうちょっと待ってくださいm(_ _)m」

彩愛 「本気で言ってる?」

宙 「本気で言ってるか?」

士 「冗談ですの!」

宙 「ですの?」

士 「すみません誤字りましたすぐ行きます」

士は深くため息をつくと、駐車している白いバイクに乗り暗い夜道に駆り出した。



午後8時過ぎ、真侍は街亜区駅を降りた。

今日の仕事は早く終わり、会社も駅に近いとはいえ電車に乗っている1時間弱は座席に座れなかったのは少々辛かった。

真侍は明日の朝食べる物を買いにコンビニへと入った。

真侍は手頃な値段のパンを手に取るとレジに向かった。

隣のレジに少ししわが入った女性が酒とタバコを購入していた。

真侍は缶ビール1つで酔い潰れる程弱いので、軽々と酒が買える人はとても羨ましく思っている。

会計を済ませると、真侍は自宅のマンションへととぼとぼ足を進めた。

先程の女性も同じ道を歩いていたので、多分同じマンションなのであろう。

真侍はそんなことを考えていると女性とほぼ並走しながら自宅へ到着した。

2人はエレベーターへ入り真侍が自分の階のボタンを押したが彼女は操作ボタンを横目に確認したが押さなかった。

エレベーターが止まり、扉が開くと2人はそそくさと出て行った。

ここまでは何の変哲もない内容だが、エレベーターから出た先の曲がり角を曲がると真侍は足を止めた。

全身に白い鎧を着け、凛々しい顔と見惚れる程美しい金髪が春風で靡いていた。

正にザ・女騎士を現したような人物が廊下に立っていたのだ。

あまりにも非現実的な人物が目の前にいたため、真侍と女性は唖然としていた。

女騎士はこちらにすたすたと歩いて来た。

2人は上手く状況が飲み込めず呆然と立ちすくしていると、女騎士は剣を抜きこちらに向けてきた。

「答えろ、貴様が古沢典良(ふるさわふみよ)という者か?」

「え…?はいそうですが…」

女騎士の恐喝に近い質問に女性は戸惑いながらも答えた。

「そうか、貴様が古沢典良か…我が勇王の名により貴様の命をもらう!」

「え?」

女騎士の言葉に古沢さんは言葉が出なかった。

真侍は全く状況がわからないまま呆然としていたが、女騎士の言葉から殺気を感じると古沢さんの手を引っ張り走り出した。

後々何故彼女を助けたのか考えたのだが、体が勝手に動いたらしい。

女騎士は真侍のことが眼中にも無かったのか、一瞬同様したもののすぐに追いかけて来た。

真侍の頭の中は無我夢中で逃げたが、すぐに追いつかれてしまった。

しかも最悪なことに階段なんて普段使わないためエレベーターの方へと向かってしまい追い詰められてしまった。

誰がどう見ても絶対絶命のピンチ。

「これでもう逃げられんぞ…!」

女騎士は2人に向かって剣を振りかざした。

真侍は死期を悟り目を閉じた。

しかし、痛みは全く感じなかった。

「おい起きろ!異世界転生するにはまだ早いぞ!」

だが、そんな疑問を考える間もなく目の前から声が聞こえてきた。

真侍は恐る恐る目を開けると、女騎士よりも信じられないものが写っていた。

灯りは無く近づかれていたため鮮明に見えなかったが、闇に溶け込むような真っ黒でスリムな光沢のある体と耳、それと対照的な生々しい手と足元と関節部、今にも食べてきそうな鋭い牙と宝石のような黒くて神秘的な目。

ざっくりと例えるならば真っ黒な鎧を身に纏った人間サイズの蝙蝠の化け物である。

「ギャアァァァァ!!!」

真侍は反射的に悲鳴を上げた。まぁ目の前に化け物がいれば誰だって多少なり驚くはずだろう。

「あーはいはいそういうリアクションもう慣れてるから」

蝙蝠の化け物は若い男の声で呆れていた。

真侍はその声に聞き覚えがあったが、またも考える暇を与えさせてくれない状況であった。

「貴様ぁぁぁ!」

蝙蝠の化け物の背後から女騎士が声を上げながら剣を振りかざしていた。

「危ない!」と真侍が声を上げようとした瞬間、蝙蝠の化け物はすぐさま振り向き、女騎士のみぞおちを殴り後方へと飛ばした。

「店長、あのテンプレ女騎士は俺がボコボコにするから気絶してるその人連れてどっか安全な場所に隠れてて!」

蝙蝠の化け物は真侍の方を向きながら冷静に話すとよろめきながら立とうとする女騎士の顔面に蹴りを入れ、マンションの外へと投げ飛ばした。

真侍は見た目も行動も悪役そのものだが、助けてくれた蝙蝠の化け物を信じてみることにした。

とりあえず自宅に匿おうと気絶している古沢さんの肩を持ち通路へと出た。

すると蝙蝠の化け物が強面の男性にペコペコ頭を下げていた。

「お前こんな時間に騒いで馬鹿なんか!えぇ!?」

「すみません!本当に申し訳ございません!」

「今忙しいから許してやるけど、次騒いだら背中の羽もぎ取ってやるからなぁ!」

強面の男性は蝙蝠の化け物に怒号を浴びせると勢いよく扉を閉めた。

化け物に全く驚かない男もどうかと思うがペコペコ頭を下げる化け物は全く絵面に合わなかった。

蝙蝠の化け物は真侍に気づくと「いってきま〜す」と小声で言いマンションの外へと出た。

「一体なんだっんだあれは」真侍は一気に押し寄せて来た情報量に考える気を無くし、とりあえず古沢さんを自宅に運ぶことにした。


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