4話 【作業厨】の土魔法建築
5歳になった。
そうそう、1歳の誕生日プレゼントはブレスレット、2歳の誕生日もブレスレットだった。
さすがに5歳もブレスレットは……と思ったので、家の庭の半分をもらった。3、4歳は……察してくれ。ブレスレットを4つ付けていることだけ言っておこう。
ちなみに庭は結構広くて、学校の校庭くらいある。
広すぎだろ! なんだこの家は。
どうして半分なのかというと、ロズロズを植えている場所を拡大したからだ。
……ついでに言うと安育草もね。
ということで、基本的にその範囲なら自由にしていいとのことだ。
俺は父さんと母さんから魔法を教えてもらった。
父さんは強化魔法、母さんは結界や浄化魔法が得意らしい。
今俺が使えるのはこんな感じ。
・火属性魔法
俗に言う『ファイアボール』だ。正直今のところ作業に関して使い道はないな。
・水属性魔法
こちらも同様『クリエイト・ウォーター』のこと。これはいろんなところに使えそうだ。水の楽園とか、水の楽園とか、水の楽園とか。
・雷属性魔法
使い道、なし。ぶっちゃけ要らないですね、はい。
・土属性魔法
使い道ありあり! これが欲しかった。これで作業が捗るはず!
・風属性魔法
十分有能なんだ。作業が捗るハズなんだ。風圧で雑草を刈ったり。だが、土の万能さには勝てない。
・氷属性魔法
見た目の美しい建物を作るには最適かな。そんな大がかりなことはできなさそうかな。
・結界魔法
まんまバリア。某ゲームの堕天の王の能力のように耐久力があるらしい。
・浄化魔法
アンデッドを浄化するありがちなやつ。ごめん母さん、正直使わないと思う。
・強化魔法
あざっ~す! 移動速度上昇が作業の効率化に貢献してくれるだろう。マジ感謝。
っといったところ。
で、早速俺は魔法を使って建築物を作り……ました。#所謂__いわゆる__#ました工法ですね。
「リック、なんだ、これ……父さんたちこんなこと教えたか?」
「自由にして良いっていうから作ったんだけど、ダメだった? 土属性魔法で作った家なんだけど」
「いや、そうじゃなくて。なんだ? 15階の建物なんて聞いたことも見たこともない!」
そう、俺が作ったのは土魔法で作った家、それも15階建てのマンションである。
1~3階は店舗が入れるようなスペース、それより上は居住スペース。という設定で作った。
ちなみにこの形を維持するために、結界魔法を何重かにしてコーティングしている。
作業に使えなさそう、とか思っててごめんなさい。
うん。まぁ、初めての建築作業にしては上出来かな。
ただ、作るのにまる1日かかったのがちょっとな。
「ちょっとルーシー、来てくれ」
「なに? まるでまたリックが何か……えっ?」
「どう? 母さんから教えてもらった結界魔法を使ってみたんだけど?」
どうだ…… 秘技、テンプレ『成長すると父さん、母さん呼び』だ! 違和感、ないです。だろ!
「こんな結界魔法の使い方見たことない! さすが私の息子! ぎゅ~っとしてあげましょう」
母さんは、変わらない。この三年間、ずっとこの調子。絶対ブレない。
「だから、苦しいってば!」
「あら、でも……」
「だーかーらー! 苦しいって!」
「父さんの魔法は使わなかったのか……」
「そんなことないよ父さん。移動速度上昇がすごく役立ったんだよ?」
「おう、そうか!リックの役に立ったか! それは良かった」
父さんは単純だ。扱いやすいというかなんというか。これでいいのか?
「ところでなんだけどさ。僕、生まれてから一度も父さんと母さん以外の人のこと見たことないけどどうして?」
そう、ずっと疑問だったのだ。だが、敢えて言わなかった。
何故かって? それは……
この世界に『環境アセスメント』という概念があったときに言い逃れするためだ!
作業をしたい俺の身としては、そういうのがあっては困る。
だが、15階建てのマンションを造ってしまった身としては近隣の人に、
「日照権の侵害だ!」
などと訴えられるのが怖いのだ。面倒事は嫌だしな。
「あー、リックは知らなかったのか。この山一帯、父さんと母さんの持ち物だから」
「は……?」
「でも一応麓には小さな町があるのよ」
「そういうことじゃなくて。って父さんと母さんって何者?」
「ただの地方領主と」「その妻です」
衝撃の事実。父さん領主でした。
父さん、仕事何してるのかと思っていたがそういうことか。
そういえば、仕事行くとき、やけにキッチリした服で出掛けてると思ったら領主ね、領主。
え?「こんな人に領主務まるのかよ!」だって?
それな。マジで同意。
「あーうーうぎゃー!」
「あらあら、コウ。どうちたんでちゅか」
そうそう、この声はコウ。俺の弟だ。
生まれてまて1年も経ってない。
弟なんてもとの世界じゃいなかったからかも知れないが、めっちゃ可愛い!
頬っぺたなんかプニプニしてて美味しそうだし、目が純粋って感じ。
……あぁ、この子も安育草で生まれたのか。
なんてことは思っていない。
というか、コウって名前からしてこの国の言語に日本語が混ざっているのがはっきりした。
いろんな言葉混ざりすぎじゃね?
これからは兄として、作業を極めなくては!