僕らの命
ヒュー。
風が吹く学校の屋上。
僕は今、柵の上にいる。理由なんて簡単。
この腐った世界が嫌になったからだ。
「ねぇ、僕が生きた意味ってあるのかな?」
ヒュー。
僕にはその風が肯定のように感じた。
「でも、今は無い。」
そう言って飛ぼうとした時。
「本当にそうかなぁ?」
声が…聞こえた。
驚いて振り向くとそこには姫宮 響がいた。
「どういう意味?」
そう僕が言うと響はニコッと笑って言った。
「だからさ、『君が生きる意味』はあると思うよ。」
「だってさ。例えば君に好きな人っている?」
もちろんいる。僕は響が好きだった。
「いるよ。」
「じゃあさ、もしその子が死んじゃったらどう思う?」
「悲しい。」
「でしょ?もしかしたらそれみたいに君が死んで悲しむ人もいるかもよ?」
「いない。」
そう、いないんだ。悲しむ人なんて。
「どうして断言できるの?」
「それは…」
「じゃあ君が死んで喜ぶ人はいる?君が生きて悲しむ人はいる?」
「…わからない。」
わからない。生きる意味も
『死ぬ意味』も。
「あらら。そここそ「いない」って断言しようよ。」
「…」
「とりあえず、君が生きて悲しむ人も君が死んで喜ぶ人もいるかもしれない。でも同時に君が生きて喜ぶ人も君が死んで悲しむ人もいるかも、ってコト!」
!
「私は君の人生に口は出さない。でも後悔しないでね。」
そうか、僕は怖かったんだ。後悔するのが。
じゃあ打ち明けよう。
「僕は響が好きだったよ。」
「え!?………ごめんね。」
「そっか。でも僕は後悔してない。」
そう言うと響はこう言った。
「ありがとう」と。
僕はもう怖くない。怖がらない。
僕は響に希望を貰ったから。
だから僕は『生きる』。