第二の職場
「やあ、初めまして。転生支部の特異点科へようこそ。」
わしを出迎えてくれたのはどこにでもいるようなサラリーマン風の身なりをした人間じゃった。いや、そもそも人間ではないのじゃろう。何せここは天上界、天使や神様の類がいる場所なのじゃからな。
わしがここに至るまでの経緯をお話ししよう。わしは93歳で家族に見守られながら老衰で天寿を全うした幸せ者のひいじいちゃんじゃった。5歳になるひ孫の今にも泣きそうになった顔を最後に見たのを覚えては覚えているんじゃが...
問題はここからじゃ。次に目を開けた時、わしは長い行列の中にいた。多分閻魔さんの判決を待つ死者の行列なのだろう。と考えた。待っている間、いつの間にかもっていた一枚の紙を読むことにしたんじゃが、何やら不思議なことが書いておった。
その1
生前の行いをトータルしてあなたの人生を採点いたします。採点結果によってあなたを天上界、下界、別世界での新たなる生、地獄のいずれかにご案内いたします。
その2
不慮の事故など、不幸、不遇得点が採点基準を満たした場合、特典としてお好きな世界への転生(設定、ステータス割り振り自由)をする事が可能となります。
その3
天上界は現在、下界を管理する天使たちが少なく、ケルベロスの手を借りたいほど人材が不足しております。採点基準を満たしている魂の中から一時的、もしくは永続的に天使たちの仕事についてもらうことになる可能性があります。何卒ご理解をお願いします。
さっと読んでみたが重要なことはこれくらいじゃろう。ばあさんは天上界にいるのじゃろうか。それとも新しい生を受けてべっぴんさんになって幸せに暮らしとるのじゃろうか。そんなことを考えながらわしは自分の番を待った。
長い行列の末、わしの出番が来た。わしはどこへ送られるのじゃろう。天国で仏さんと悟りを開くのか、それとも地獄の業火で焼かれてしまうのじゃろうか。はたまた新たな生を受けるのじゃろうか。もしそうなら柴犬にでもなってやんちゃな坊主たちと遊んで暮らしたいもんじゃ。どうでも良いがトイプードルとシーズーとマルチーズは邪道じゃ。あんなのは犬ではない。そうこうしているうちに判決が出たようじゃ。閻魔さんはわしに
「ちょっと天上界で働いてもらえますかい?」
と言ったんじゃ。
「いやぁうちも人材が不足してましてねぇ、みんながみんな長生きするもんだからこっちに帰ってくる魂がなかなかいないんですよ。それに、下界での人生が楽しいからってわざと中途半端な人生送る魂が多くて多くて。あんた、生前なかなか人生を全うして生きてるじゃないですか。採点基準を大幅に上回ってる良い魂です。どうです?よかったら少しばかり努めてみませんか?」
そんなこんなでわしは天上界で新たに仕事をすることにした。神様であれ閻魔さんであれ、困ってる輩は放っておくわけにはいかん。そしてわしは転生支部、特異点科へと配属された。天上界での仕事なんて、なんだかワクワクするのう。そう思いながら、配属先のドアを開けた。そこにはサラリーマン風の天使が一人わしを出迎えてくれたのじゃ。
ちまちま書いてきます。