二度目のバトルっ!
空気も読まずに登場してきた人物、赤茶色の髪でロングヘアー、臙脂色の学生服で裾の短いスカートからはスラッと伸びた細くしなやかな両脚にはハンス・クリスチャン・アンデルセンの童話に出てきそうな磨き上げられた赤い靴を履いていた。
あのさぁ、ゲームの世界観どうなってんの、統一してくれないかな、春李とかならまだわかるけど格ゲーにその格好はないわ。
「タモツ、どうする? 」
春李が耳打ちをして俺に聞いてくる。
さて、どうしたものか。
恐らくこの旅の途中でこういった輩とどうしても戦わなくてはならない状況がいくつも出てくるだろう。
ならば、少しでも戦闘に慣れておくのも大切な事だ。
本当は戦いたくはないのだが、仕方が無い。
俺は一度深い呼吸をして覚悟を決めてから。
「いいぜ、受けて立つ。」
俺の返答を受け取った赤髪の女はニヤリと口角を上げて不敵な笑みを浮かべる。
「そうこなくっちゃあね。……でもこの場所では戦いづらいわ。ついてきて。」
そのまま赤髪の女の後ろをついていき幾分、町を抜けて草原に着いた。
辺りを見渡せば草しかなく、この場所なら弊害はなく戦えるだろう。
「さて、ついた所で早速聖戦と行きましょうか。で、どっちが私の相手をしてくれるのかしら? 」
「私が行こう。」
春李がそういって一歩前へ足を出す。
それを俺は手で制して。
「いや待て、俺が戦う。」
「タモツがやるのか? 」
「ああ、ここは俺に任せてくれ。」
「し、しかし……。」
春李が何処か不安そうな表情で見つめてくる。
その眼差しは始めてのおつかいに我が子を行かせる親のようだ。
「大丈夫だって。心配すんな。……いいか、こういう時はそんな顔をするんじゃあなくてだな……。」
俺は耳打ちで男が元気になる秘伝のポーズと言葉を教える。
「こ、こうか? 」
春李は大きく、柔らかい双丘の間に出来ている谷間で両拳を握る。
そして。
「が、頑張れっ♡頑張れっ♡」
少しの恥じらいがあるがそれでも懸命に応援してくれる春李。
よし、いいぞぉ、なんだかやる気が出てきた。
俺は声援に後押しされ、赤髪の女の前に立ちふさがった。
「まずは貴方が相手のようね。……私の名前はアリサ・グランデ。ハチドリの聖獣に魅入られし覇拳使いよ。貴方も名乗りなさい。」
名乗りねぇ。
まぁ初対面だし、名前とか教えるのも筋だと思う、だけどなぁ。
ほら、俺の聖獣があれだからさ。
「……俺は、斉藤タモツ、せ、聖獣はえっと……その……。」
「何? 聞こえないんだけど。」
「ス、スケベの聖獣に魅入られた覇拳使い、です。」
「すけべ? そんな聖獣は聞いたことがないけれど。」
俺だって聞きたいよ、ほんとなんなんだよスケベの聖獣って。
我ながらネーミングセンスを疑う……。
俺の訳が分かれない自己紹介にアリサは戸惑いながらも、それでも集中を途切れることなく、その真紅の瞳には闘志の炎が宿っていた。
「じゃあ、早速始めるわよ。……『コール』っ!」
アリサが天空に拳を突き立ててコールを宣言。
すると昨日、春李と戦った時のように何処からかノイズが聞こえてくる。
そして。
『コールが宣言されました。ランク八万位のアリサ・グランデ選手、ランク十万位の斉藤 タモツ選手の聖戦が受理されます。……それでは戦闘開始っ! 』
閲覧ありがとうございましたっ!
さて今年も残り僅かとなりました、何とか年内中にもう一話更新出来るように頑張ります。
最後になりますが、もし宜しければブックマーク、感想、評価等をつけてくだされば私の活力に繋がっていくのでよろしくお願いします。
それでは私はこの辺でラーメンでも食べに行こうと思います。




