プロローグ
小さいテレビ画面が微々たる光を放つ薄暗い部屋の中、ゲームの効果音とコントローラーを操作する音だけが部屋の中に響き渡る。
『k・Oっ! 』
ゲームでダンディなおっさんが低くかっこいい声で勝利のゴングを鳴らした。
「ふぃー、これで十連勝っと。」
俺、|斉藤 タモツは一息つきながらその辺に転がっているペットボトルを漁って水を飲む。
オンライン格闘ゲーム『烈拳』にドハマりしてから早三ヶ月が経った。
俺はこのゲームをプレイするために段々と学校をサボり、気がつくと一日中プレイ三昧。
すると俺は連戦連勝のトップランカーに登りつめた。
「そろそろ飽きてきたな。」
格闘ゲームと言うのはただ純粋に殴りあうのではなく、相手の行動パターンや思考を読む心理戦に近い。
何千とある行動パターンも毎日やりこめば自然と判っていき、それを逆手にとれば俺は負けない。
しかし、負けないというのも退屈なのだ、もっと血湧き肉踊る戦いがしたいのだが……。
水を飲み、休憩がてら携帯を弄っているとテレビ画面には見知らぬポップが浮かんだ。
『最強決定戦 参加表明』
「なんだこれは? 」
俺はコントローラーを手に取り、それを押してみた。
『トップランカーのみが参戦可能な大会、貴方はその権利を獲ました。参加する意志があるのなら下記の同意するを押してください。』
コントローラーで画面を下にスライドしていくと長ったらしい規約文章に大きな文字で『同意する』と『同意しない』の文字がある。
俺は迷わず『同意する』を押した。
なにせ暇だし、トップランカーが集まるのならそれなりに退屈しのぎになりそうだからだ。
『同意する』を押すと画面が突然真っ白になる。
なんだこれは? 騙されたのか?
そう思ったのも束の間、真っ白な画面が急に眩く光りだし、その光が俺を包み込んだ。
「ちょっ!? なにこれっ!? 」
そのまま俺の意識はここで途絶えた。
ここから俺の最強への道が始まるのであった。
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