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PMC兵士の異世界転生記  作者: 野良犬
第1章 異世界での戦闘
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王都防衛戦

部屋を出た後、城を出ようと走り出す。

走りながらブレスレッド型の端末からインベントリを開き、HK416とその弾薬を召喚し装備する。



生産した弾薬は合計で210発。30連マガジンが7つ分の計算だ。その一つをHK416に装着し、チャージングハンドルを引いて初弾を装填する。残りのマガジンをチェストリグに押し込みながら、ふと顔をあげる。



そしてまずいことに気づいた。



「・・・ここ、どこなんだ?」



よく考えると自分がこの城の構造を知っているはずがないのである。何故カッコつけて飛び出して来たのか今更ながらに反省していると、前方からロベルトが歩いてくるのが見えた。



「まさか、迷ったか?」



顔を赤くしながら頷く。



「なるほど、この城は広いからな」



といいつつ豪快に笑う。体格と顔からは想像できない陽気さだ。一国の騎士団を率いる者となると、こんな自信も出来るのだろうか。そんなことを思いながら後をついていく。



城の外へと出ると、来るときに見かけた一般市民はすでに退去させられていて、庭には誰もいないようだった。門の外に出ると、先ほどの伝令兵が馬を二匹引き連れて待機している。



「レンヤ、私は一度駐屯地に戻ってから向かう。北東側の城壁へはこの通りをまっすぐ行けばすぐにつく」



ありがとうございます、と言って走り出す 。どうやら市民たちも魔物襲来のことは知っているらしく、通りにいる人はまばらで、ほとんどの家の窓が閉まっていた。



普通なら街から逃げるべきところなのだろうが、何か理由があるのだろうかと思いつつ、そのことを後回しにして、目的地へと走る。



PMC兵士だった頃は移動のほとんどで車両を使っていた。装備を担いで走るのはまだ日本にいたとき以来だ。



俺がPMCに入社する前、日本にいた時は陸上自衛隊に所属していた。そしてその部隊が普通ではなかったのである。



小銃を控え銃状態で長距離走をするハイポート訓練。


炎天下で戦闘服を着用し背嚢も背負い、小銃も保持した完全装備で行なう20キロ走。


これらの体力訓練などを乗り越え、爆破や暗殺、ヘリボーンから森林戦や山岳戦までをもこなす、全陸上自衛隊隊員の中でも最精鋭の存在であるレンジャー資格を有し、それも一握りの空挺レンジャー徽章を授与された特別な存在。


そう、陸上自衛隊第1空挺団が彼の日本にいたときの部隊である。



あの頃の地獄のような日々を思い出しながら走っていると、ようやく目的地の城壁へとたどり着く。どうやらすでに騎士団の防衛部隊が到着しているようで、辺りは兵士たちであふれかえっている。すると、俺の到着に気がついた一人の兵士が話しかけてきた。



「ヤマト・レンヤだな?」


「そうだ」


「私はカール・ロイヒリン、王都防衛部隊の隊長だ、よろしく」


よろしく、と返しつつ相手の差し出してきた手を握る。この男が王都の防衛を任されているらしい。その肩書に違わず、彼の腕や顔までにも傷跡が幾多に刻まれていた。



「団長から話は聞いている、君はこの城壁の上から我々を援護してくれ。どんな武器を使うのかは知らないが、団長から飛び道具の一種だというのは聞いている。それなら高所からのほうがよかろう?」



「ああ、そうしてもらえるとありがたい」



「よし、では上は頼んだぞ!」



そう言いつつカールは走り出し、周囲の部下たちに指示を出していく。俺はその光景を見ながら城壁の上へと続く階段へ向かい、それと同時に左腕の端末を開く。現在装備しているHK416の上部レールには倍率なしのホロサイトを取り付けているが、今回は交戦距離が長くなるので新しい照準器を生産する。



いくつかある照準器の中から選んだのが、アメリカのトリジコン社が開発したACOGだ。これはアメリカ軍の正式採用小銃のM16やM4カービンへの装着を前提として開発されたもので、PMCにいた時も何度もお世話になった照準器だ。倍率は標準的な4倍を選択する。するとレールの上にあったホロサイトが消え、代わりにスナイパーライフルのスコープが小さくなったかのような照準器が装着される。



城壁の上につくと、既に騎士団の弓兵が弓を持って待機していた。俺がこの戦いに参加するのは知っているようで、俺の見慣れない格好に少し興味を持っているようだった。この世界の文化も学ばないとなと思いつつ、位置につく。すると見張りの兵士が戦闘開始の合図を告げた。



「魔物接近!!距離、約800メートル!先頭はゴブリンです!」



なぜこの兵士は800メートル先の魔物の種類まで判別できるんだ?という疑問は後回しにしつつ、サイトを覗き込む。さすがに高倍率のスコープのようにはいかないが、かろうじて草原を走るゴブリンの群れを見ることができた。まだ射程距離ではないので騎士団の動きを見守っているとカールが指示を出している。



「まずは足止めだ!隊列を組んで盾で敵の動きを止めろ!」


「弓兵はなるべく引き付けて合図で一斉射だ」



いかにもベテランといった感じの指揮ぶりで、それを見ているとついに敵が直ぐそこまでやってくる。



「敵接近!!」



見張り兵の声と同時にHK416のトリガーを絞る。まだ距離があるのでセレクターはセミオートだ。ゴブリンは鎧を着ず、ほとんど生身なので5.56mm弾でこの距離でも十分効果があるようだ。聞きなれた銃声が、再び異世界に轟く。



最初は俺の武器が発する轟音に驚いていた弓兵達だが、カールの声とともに弓を構える。



「弓兵狙え!」


「放てぇぇ!!」



その号令とともに、多数の矢がゴブリンめがけて飛翔して行く。そのうちの何本かがゴブリンに命中する。一本目のマガジンを外し、新たなマガジンをチェストリグから引っ張り出そうとしていた俺は一瞬動きを止める。その理由はゴブリンに命中した矢が小爆発を起こし、ゴブリンの体が吹き飛んでいたからである。原理はわからないが、あの矢に魔法か何かが施してあるのだろうと思った俺は新しいマガジンをHK416に挿入し、ボルトストップを押す。解放されたボルトがマガジンから弾を薬室に押し込み、発射準備が整う。



ここは戦場だ、俺は再びこの戦いに戻ってきたのだ。暑い中のコンボイの護衛や、廃屋の屋上に寝そべってターゲットが来るのをじっと待っているようなものとは全く違う。兵士の叫び声や指揮官の怒声、敵が矢で貫かれバラバラになり、槍で突かれ、剣で切られて肉片や内臓が飛び出ている。俺は久しぶりに戦場に戻ってきている気がした。



三本目のマガジンを外すころには、ゴブリンの群れがすでに肉片へと変貌していた。チェストリグにはまだ4本のマガジンが残っている。なんとかなりそうだ、と一息ついていたが、見張り兵がとんでもない報告をしてきた。



「敵の第2波きます!あれは…、クソったれ!ゴーレムです!!数およそ50体!!」



不味い、とレンヤは思う。ゴーレムは魔物の中でも固い部類に入るはず。5.56mmでは貫通できないかもしれない。



この装備ではだめだ、そう思った俺は端末を開く。先ほどの戦闘でいくらかのポイントが手に入っている。これでゴーレムに対抗できる何か、そう思ったとき、ある銃が出てきた。急いでその銃の弾とスコープも一緒に選択し、生産する。俺はそのでかさに思わず銃の名を口にする。



「アキュラシーインターナショナルAS50・・・でかいな」



それは初めて俺が生産したアンチマテリアルライフルだった。





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