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異世界は思ったよりも俺に優しい?  作者: 大川雅臣
第一部 第一章 冒険者編
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ルイーゼの昇級試験

 ミモラの町への滞在も今日で最後。明日には乗合馬車に乗って一気に最終目的地リザナン東部都市を目指す。道中は天候に恵まれれば約八日程度の行程だ。


 二日間の休日で十分に休養をとった俺達は冒険者ギルドに来ていた。

 ルイーゼがランクDになったので昇級試験を受けておくことにしたからだ。


 討伐依頼は人数制限もあるので、昇級試験に受かったメンバーは多い方が良い。それと、リデルの箔付けの為もある。

 今までは偶然の結果として人助けになっていたが、本来なら討伐依頼をこなしていくことで実績を積むものだ。でも俺達はまだ討伐依頼を一つもこなしていなかった。いくら十分な実績があると言っても、少しくらいは冒険者ギルドの依頼もこなしておいたほうが良いだろう。


 と言う訳で、ルイーゼにとっては二回めの認証試験だ。

 正直、全く心配していない。

 トリテアの時に人数合わせでサポートしてもらった時も試験官の一人を倒している。試験官の油断もあっただろうけれど、圧倒的に差があるなら油断していようと対面した状態で勝てるはずがない。


 でも、迂闊だった。

 ルイーゼのサポートとして俺にリデルとマリオンがいればいいと思ったが、ランクDの昇級試験にサポートで参加できるのはランクEまでだった。ランクDの俺とリデルではサポートできない。

 マリオンは大丈夫だが、二人ではさすがに試験にならないかもしれない。


 そこでパートナーを探すことにした。

 受付の周りには俺達と同じように人数が足りなくて一時的なパーティーを求めている冒険者がいる。

 俺は二,三人のパーティーにルイーゼとマリオンを紹介し、一緒に昇級試験を受けてもらえないか頼んでみたが、イマイチ反応が良くない。

 多くの反応はルイーゼが女性なので、戦力としてプラスどころかマイナスになりかねないと思われているようだ。

 相手も一度昇級試験に落ちると半年は試験を受けることが出来ないため真剣だ。無理を通すことも出来ない。

 最終的には人の良さそうな二人組の冒険者に一緒してもらうことが出来た。

 どうやら二人も断られ続け、他に良い相手が見つからず、すでに時間も迫り贅沢を言えなかったようだ。

 俺は二人の実力に太鼓判を押しておいたが、やはり二人の冒険者が感じる心配は抜けなかった。


 試験の受付が終わり、ルイーゼたちの出番は最後になった。

 最後まで決まらなかったからな……。でも、他のパーティーの戦いを見るのも参考になるので、今はみんなで見学会だ。


 しかし、トリテアの昇級試験と比べて、ミモラの昇級試験は厳しいのだろうか。七組中、すでに五組目まで進み、前の四組は全員不合格となっている。今戦っている五組目も五人中二人が不合格だろう。


 試験官の動きを見た限りではトリテアの試験官とさほど変わりがあるようには見えない。もちろん実力はあるようだが、あくまでも試験なので全力で戦うことはなく、力量を図っている状態だ。

 その状態でも、今やっと三人が合格したところだ。五組終わって三人は多いのか少ないのか。


「今日の参加者は対人戦に慣れていない人が多いようだね」

「それで動きが悪いように見えるのか」


 魔物だけを相手にしていると、どうしても知性が低いので単調な戦いになる。

 でも、魔人や人といった知性の高い相手になると、力や体格で劣る分を技や駆け引きで埋めてくる。いくら魔物相手に強さを見せても、技や駆け引きに慣れていなければ昇級試験では役に立たないことが多い。


 トリテアの町での昇級試験の際、俺は試験官に良いように遊ばれた。攻撃をすればするほど反撃を食らっていたし、避けても誘導されているかのように攻撃を食らっていた。おそらく攻撃の一つ一つを、躱された事を想定して詰め将棋のように追い詰めていくのだろう。

 俺もそういう事を意識して戦うように心掛けている。心掛けているだけで上手くいっていないけれど。


 ルイーゼやマリオンも対人戦や対魔人戦を経験しているわけではない。いや、まてよ。ルイーゼは下級とはいえ魔人と戦っているな。ゴブリン戦の経験はあるはずだ。とはいっても、あの頃はひたすら防御させていたしな。やっぱり無いようなものか。

 あ、肝心な事を忘れているな。毎朝の鍛錬はそもそも知性の高い敵を想定して行っている事だった。ホブゴブリン戦で死に掛けた教訓で朝の鍛錬に盛り込んだのは俺だ。


 六戦目の冒険者も苦戦中だ。

 それを見ていてか、ルイーゼやマリオンと共に試験に挑む二人の冒険者も既に諦めの雰囲気が出ている。

 結局六戦目では合格者が一人だった。


「ルイーゼ、マリオン。俺は全く心配していないけれど、心配か?」

「大丈夫です」

「問題ないわ」


 マリオンはともかく、ルイーゼがいつになく強気だ。


「二人共いつもの鍛錬通りで大丈夫だよ」


 リデルの言葉に頷き、二人が前に出ていく。他の二人の冒険者も続き、四対四の構図だ。


 ◇


 試合開始の合図と同時にルイーゼが前にマリオンがそれに続く。


 ルイーゼは一人の試験官に近づくと、前の昇級試験の時と同様に渾身の一撃を繰り出す。試験官が堪らずに盾を取り落とすのも同じだ。

 でも、ここで身体強化(ストレングス・ボディ)を切らした前回とは違う。ルイーゼはそのまま間合いを詰め、左手の盾で唖然とする試験官を右へ叩き出す。


 蹌踉(よろ)めくように押し出された試験官にはすでにマリオンが迫っている。

 体制を立て直す暇を与えずにマリオンが上段から体重の乗った剣を振り下ろす。

 試験官はそれを片手の剣で受け止めるが、体勢を崩した上に重い剣を打ち込まれては倒れこむしか無い。


 一人目の試験官が戦闘不能になるのに一〇秒も掛かっていなかった。

 それを見学していた冒険者達は、ルイーゼとマリオンに圧倒される試験官を見て驚きの表情だ。


 その間もルイーゼは止まらない。

 マリオンに向かった二人目の試験官との間に割って入り、その攻撃を全て盾で防ぐ。


 再び会場にざわめきが起こるが、そんな事はルイーゼに関係が無かった。


 ルイーゼが守っている間に一人目を打ち倒したマリオンが、ルイーゼと相対する試験官の後ろに回り込んだ。

 対人戦では常に背後を取るよう鍛錬でしつこいくらい繰り返している。ルイーゼとマリオンの連携も悪くない。


 ルイーゼは後ろを気にした試験官の隙を見逃さず、身を守っていた盾を体ごと試験官に打ち付ける。

 試験官は後ろに押され、体を支えようとした足を払うようにマリオンが剣で薙いだ。もちろん試験官は転倒し、戦闘不能となる。


「おいおい、あの子達強いぞ」

「あっけなすぎるだろ、試験官は女だからって手を抜いているんじゃないか」


 さらに周りが騒々しくなってくるが、ルイーゼはそんなことを気にはしないだろう。

 おそらく試験はもう合格だが、終わりの合図が無いためルイーゼが残り二人の試験官のもとに進みよる。


 ルイーゼとマリオンがこれほど早く試験官二人を戦闘不能にしていなければ、仲間の冒険者が試験官に戦闘不能にされるのも時間の問題だったろう。

 でも、今はまだ必死に試験官の攻撃を凌いでいた。


 ルイーゼとマリオンに躊躇(ためら)いはない。

 基本的に二人は素直だ。やるべき事が明確ならその目的を達成する為の行動をするだけだ。


 冒険者と相対する二人の試験官の背後にルイーゼが回る。

 当然、背後を無視出来なくなった試験官が背後を取られまいと立ち位置を変えることで、正面から四対二で相対することになった。


 後は数の暴力だ。


 ルイーゼが一人を受け持ち、残り三人で一人の試験官を攻め立てる。ランクに多少差があろうと、三対一ならば手数で押し切れる。程なくして試験官の一人を白線に外に追いやり、最後に残った試験官も同じだ。


 試験は四人とも合格で、本日初めてのパーティー全員合格となった。


 一時は野次っぽい声も聞こえたが、あまりにも綺麗に事が終わってしまい、それ以上は恥ずかしくなったのか何も言わずに試験場を出て行った。


「あの、俺達が受かったのは二人のお陰です。見くびった態度をとってすまなかった」

「二人には感謝している。ありがとう。ただ、今回のことで自分たちの力不足も思い知ったよ」


 俺達は謝罪と感謝を受け入れ、即席パーティーを解散した。


 ◇


「アキト様、合格いたしました」


 俺は二人を労い、何かお祝いが必要かと考えた。聞いたらまた俺の為に何かしそうなので、勝手に用意しよう。 

 その時、場がざわめき、二人の人物が姿を現す。

 現れたのはこの辺を収めるボールデン男爵と夫人だ。なんでこんなところに?


「ボールデン男爵、先日はお招きいただいた上、大変美味しい品をありがとうございます」


 リデルが代表で受け答えをする。リデルも貴族になったから様は付けなくてもいいのか。俺は付けないとマズイよな。


「気にしなくて良い。

 二人の戦いは見せてもらった。見事だ」


 冒険者ランクAのボールデン男爵に見事と言わせるとは、ルイーゼ・マリオンペア侮りがたし。しかしこれでまた、試験官に負けたのは俺だけになったな。


「ルイーゼとマリオンの二人は私達の練習相手をしてくれますので、試験レベルの対人戦には慣れているのが良かったですね」

「冒険者ランクDとしてみても既に十分な実力があるだろう」

「もったいないお言葉で恐縮です」

「見た目からは想像がつかない剛力にスピードだった。

 秘密があるのだろう?」

「鍛錬の賜です」

 気付くボールデン男爵も流石と言ったところだが、平然と秘密は無いと言ってのけるリデルも凄いな。

 やっぱり俺には貴族のお付き合いは出来そうにない。

「そうか、まぁいい。

 ものは相談だが、その二人を譲ってはもらえないだろうか」


 ?!


「アキト様!」

「アキトさま!」


 待て、落ち着け二人とも。そして、俺も落ち着け!

 二人を奴隷から解放することはあっても、奴隷として手放すつもりはない。

 だが、なんて言えばいい? リデルに何か策はあるか?

 俺は二人を見る。ルイーゼは青ざめた顔で首を振り、マリオンも絶対に嫌といった感じだ。


「ボールデン男爵。二人は身分こそ奴隷ですが、ともに旅をし命を繋ぎ合った仲間です。

 お譲りするわけには行きません」


 言い切ったか。助かるが、でもいいのか。

 機嫌を損ねるとリデルの出世に響かないか。


 よく考えたら、男爵家に使用人として入れるのは二人にとって凄く良いことなんじゃないか。俺といても毎度危険な目に遭うだけだったし。

 と言うか、俺が決めることじゃないな。そう言うのは本人の意志が一番大事だ。

 二人はどう見ても嫌という感じだし、リデルもその思いを汲んでのことだろう。


「ふむ、無理か」

「あなた、イタズラが過ぎると娘に言いつけますよ。

 二人共安心して、あなた方を無理に引き取ろうとしても私が全力で止めますから」


 アウラーデ夫人の助けが入った。と言うかイタズラかよ!


「多少は本気も入っているんだがな。

 二人の将来が楽しみになったから俺の元で育てようと思ったのさ。

 それに、ヴァルディス士爵の元に年頃の少女が二人もいるのもまずかろう」


 何がまずいんだ。まさか二人が悪い虫だとか言わないだろうな、怒るぞ。


「ご心配には及びません。

 僕は私用を済ませた後は王都に向かい騎士登用試験を受ける準備に入ります。

 そう遠い先の話ではありませんから」


 リデルとの別れも、刻一刻と迫っているんだよな。寂しくなる。


「わかった、ではそのことに関しては何も言うまい。

 しかし、功績を上げてきただけはあるな。

 二人の実力を見ればヴァルディス士爵とアキトの実力も余程高いと伺える。

 自分の技術を磨きながらも、よく二人を鍛え上げた。

 リデル士爵にはフラれたが、アキト、お前はうちの領軍に入る気はないか」


 今度は俺かよ?!


「おれ――私は」


 軍人はかんべんして欲しい。

 今更、人を殺しておいてなんだと思われるかもしれないが、だからといってわざわざ軍人になりたいわけじゃない。

 必要なら身を守るが、それを仕事にする気はなかった。


「あなた。ご自身は冒険者に未練を残していますのに、その道を取り上げるおつもりですか」


 答えに窮していたところで、またアウラーデ夫人に助けられてしまった。

 この町を出る前に何か贈り物をしようか。


「わかったわかった。

 でもアキト気が向いたら訪ねて来い。覚えておこう」

「ありがとうございます」


 多分無いと思うが、それと好意に対する感謝は別物だからな。

 ようやくルイーゼとマリオンの動揺も収まったようだ。

 ちょっとしたドッキリはあったものの、無事にルイーゼの昇級を終えて冒険者ギルドを後にする。


 俺はアウラーデ夫人に助け舟を出してもらったお礼を兼ねて、贈り物をすることにした。

 とは言っても俺が買える物で貴族の夫人に見合うような物は無いだろう。

 だから作ることにした。


 ちょっと時間が掛かる為、三人とは別れてモモと二人で出掛ける。

 モモと二人きりになるのも久しぶりだった。

 流石に通りは人が多く、モモは少し歩きにくそうだ。

 俺は和やかに見上げてくるモモを抱え上げ、そのまま肩車をして上級街に向かう。

 モモは俺の頭に掴まり大興奮だ。

 通りに出ている露天を覗いては目を輝かせている。

 そして気になる物を見付けては身を乗り出そうとするので、俺も連られて一緒に覗いていた。

 傾向としては見慣れない果物が興味を引くようだ。

 小さめの物を幾つか購入しモモにプレゼントすると、両手で太陽にかざし無心で眺めている。


 少し横道に逸れながらも、装飾店を目指す。

 装飾店にはたいてい彫金師がいるので、銀細工を頼む予定だ。

 既にリデルの剣の時にお世話になっていたから、どんな様子なのかわかっている。


 俺は髪飾りのベースとなる銀細工を選び、いくつかの加工を注文する。

 削りと曲げだけなので、それほど時間は掛からなかった。

 加工が終わった後、あることを思いつき、もう一加工してもらうことにした。


 髪飾りは花をあしらった物で、その花の部分に細い溝を掘ってもらう。

 彫金師はどうするんだという感じだが、それを教える訳にはいかない。

 彫金師も世間話程度のつもりだから深くは立ち入ってこなかった。


 髪飾りを受け取った俺は支払いを終えると、人の閑散としている公園に足を向け、そこで適当に距離を取り芝の上に座り込む。

 俺は買ったばかりの髪飾りを手にし一呼吸すると、髪飾りに魔力を通して循環させる。

 リデルの剣より圧倒的に小さいので、それほど時間も掛からずに魔力で変異した銀の出来上がりだ。


 銀は魔力を蓄積しやすい。

 今魔力を通したばかりの髪飾りは当然魔力を蓄え、変異したことで強度も上がっている。

 まぁ、髪飾りで攻撃する訳も無く強度を上げたところで使い道はない。

 だから魔力で変異させたのは別の用途の為だ。


 俺は赤い輝きを持つ魔石を一つ取り出す。

 ランクEの魔物の魔石だからそれほど強い光は発していないが、今の俺にはこれが用意できる限度だ。

 その魔石から魔力を吸い上げる。

 魔力が空になった魔石はその状態を維持出来ないのか細かく砕け散った。

 俺はその粉を集め、髪飾りと一緒に買っておいた装飾用のノリと混ぜあわせ、それを先の細い棒で髪飾りの溝に移していく。

 これが一番手間と時間の掛かる作業だった。

 一時間ほどその作業に集中し、なんとか完成させる。


「さぁ、完成だ……が、なんかイメージが違うな」


 モモは首を傾げ、何が違うの? と言った感じで見てくる。


「予定では髪飾りの魔力に反応して魔石の粉が光ると思ったんだが……」


 俺は試しにもう一度髪飾りに魔力を流しこむ。

 すると、髪飾りの花を模様した部分が薄く赤い光を放ち始めた。


 モモが驚きに目を丸くする。


「上手くいったみた――」


 気を抜いたらまた光が収まってしまった。


 どうやら魔力を通すだけでは変異しても魔力その物は残っていないようだ。

 よく考えれば通して(・・・)いるのだから抜けて(・・・)もいるのか。

 魔力を置いてくるように流し込むことで、その魔力に反応して粉にした魔晶石が光を放つようになったわけだ。

 少し勘違いしていたな。

 モモに魔力をお裾分けする時と一緒だ。


 日の中ではあまりわからないが、部屋の中ならいい感じだと思う。

 出来れば赤以外の色も欲しくなってくる。

 でも、なかなかの出来にちょっとだけ自画自賛する。


 この魔石混じりのノリは装飾に便利なので、余裕があったら作っておくか。

 名前は魔粉としておく。俺しか呼ばないけれど。


 ルイーゼへのプレゼントはちょっと持ち合わせが足りないので、普段使いの物で許してもらおう。

 モモにルイーゼ用の銀のナイフを出してもらい、砥石を使って刃を鋭くする。

 強度が上がるから細くなっても欠けないはずだ。

 元々飾りっけのあるナイフなので、魔粉で飾り付けるのにちょうどいい溝が多かった。


 俺はノリノリで模様を付け、調子に乗って刃の部分には俺のyuukiと名前を彫っておく。

 なんとなく名工になった気分だ。

 最後は仕上げに魔力を注入する。

 今日はもう魔力を使う予定がないので、あるだけ流し込んでしまおう。

 俺は目をつむり瞑想状態から魔力が枯渇する寸前まで銀のナイフに魔力を流し込んだ。


 魔力感知(センス・マジック)が、結構な量の魔力が銀のナイフに蓄積されているのを知らせる。

 しばらくすると魔力感知で感じていた銀のナイフの形が膨張してきた。


 なんかマズイだろうか?


 目を開けた俺の手元には、魔粉で飾り付けた部分が燃えるように真っ赤になって(きら)めくナイフがあった。

 どうやらやり過ぎたらしい。

 ちょっと実用的じゃなくなってしまったかもしれないが、綺麗だから気に入ってくれるだろう。


 俺は覚えた単語だけで何とか手紙を書き、ボールデン男爵家の門番に夫人宛のプレゼントとして届ける。

 この間顔を合わせたばかりなので不審がられることもなく受け取ってもらえた。


 そしてルイーゼへのプレゼントも喜んでもらえた。

 まぁ、ルイーゼは多分俺からのプレゼントなら何でも嬉しいだろう。

 マリオンにもランクDになったら何かを贈る約束をした。


 ルイーゼは早速、魔銀のナイフを使って果物を用意してくれたが、まな板が使い物にならなくなっていた。

 やっぱり実用的ではないようだ。

 みんなで困った顔をしながらミモラでの最後の夜を過ごした。


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