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「……日向の友達が演劇部。日向が聞いて、私が聞いた」


 悩む与羽(よう)に月がそう言う。先ほどの問いに対する答えの補足説明らしい。


「まぁ……。どうでもいいんじゃけど――」


 与羽はけだるげに汗で首に張り付いた髪をはがしながら言う。


「私、先輩」


「あ……」


 月がわずかに目を見開く。


「敬語、忘れてた。考えるのに夢中で」


「まぁ、どうでもええことじゃけどさ」


 指摘したものの、与羽にさほど気に障った様子はない。


「ごめんなさい、……でした」


「ぶっ!!」


 あとから付け足したようなつたない敬語に、隣でお菓子をむさぼっていた日向が吹き出した。


「というかさ、日向ちゃんが聞いたんなら、日向ちゃんが話してくれた方が良い気が……」


 与羽も口元に愉快そうな笑みを浮かべながら言う。


「あちゃー。ばれた?」


 日向はぺろりと赤い舌を出して見せた。


「いやー、月がどんな説明をするのか興味があったんだよねー」


「日向のいじわる」


「ごめんごめん」


 そう言いつつ、日向は全く悪びれた様子がない。


「そう、この学校は幽霊が出るらしいですよ。友達の話によると、夜の学校に演劇部員が集まって肝試しをしたんです。ほら、うちの演劇部結構遅くまで残って練習したり舞台道具つくったりしてるじゃないですか。その息抜きで。その時に本当に出ちゃったらしいです。どんな幽霊かは教えてくれませんでしたけどねー。だから、生徒会に検証と本当だったら対応を考えてほしいと思って来たんです!」


「……辰海」


 生徒会長は左ほほを撫でて考えながら、情報を記録する副会長に呼びかけた。


「これ、生徒会が何かするような問題じゃない気がするんじゃけど……」


「確かにね……。深夜の学内での肝試しなんて、部活動や課外活動の範疇を超えてるし、幽霊退治も生徒会のやることじゃない」


「そんなぁー……」


 日向はとても残念そうにしている。与羽はその様子を見て、わずかに首をかしげた。


「まぁ、純粋にうちらと肝試しがしたいっていうんなら付き合っちゃらんこともないけど」


 そうかまをかけてみると、「本当!? やったー!!」と日向は飛び上がらんばかりに喜んだ。

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