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 生徒会長――与羽(よう)の目配せで、辰海(たつみ)をはじめ生徒会室にいた人々が机の上を片付ける。

 予備の折りたたみイスも出して、全員が机を囲んで座れるようにした。


 本当は校内への持ち込みを禁止されているのだが、こっそり隠しているお菓子と紙コップに注がれた冷たいお茶で、客人をもてなす体勢に入る。もちろん、「お菓子の事は内緒な?」としっかり念を押したうえで。


「それで、春日さん。詳しい話を聞かせてもらってもええ?」


 一息ついて、スナック菓子をひとかけらとりながら与羽が尋ねた。


「あ、日向で良いですよっ」


「私も月でいいです。ややこしいから」


「じゃあ、お言葉に甘えて――。日向ちゃん、月ちゃん、詳しい話を聞かせて欲しい」


 双子の言葉に、与羽は言い換えた。


「ほら、月」


 日向が月を小突く。


「私が説明するの?」


 日向を見た月の長いまつ毛がわずかに揺れた。表情の変化は乏しいが、一応驚いたととってもいいのかもしれない。


「もちろん!」


 一方の日向はにっこり笑って大きくうなずいた。


「……ちょっと待って。考えるから」


 そう言ったきり、月はその姿勢のまま固まった。

 その間、与羽と日向はお菓子をむさぼりながら待ち、辰海(たつみ)はメモ帳に何かを書きつけている。ミサはおとなしく月の言葉を待ち、千斗(せんと)は再び模試の解答済み問題冊子を開いた。


「……おばけ」


 やっとのことで、月はその単語を口にした。


「『おばけ』?」


 与羽がおうむ返しに尋ねた。


「なに? 『出る』ってこと?」


「そう」


 月がうなずく。


「どこに?」


「校門の近く」


「いつから?」


「先月くらい」


「おばけを見たの?」


「私は見てない」


「じゃあ、その情報は誰から聞いたん?」


「演劇部の先輩」


「月ちゃんは演劇部?」


「違う」


「…………」


 短い問いを続けていた与羽が止まった。


「う~ん……」と眉間に小さなしわを寄せて何かを考えている。

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