おまけ
没シーンです。
最初は、与羽と同級生で月たちを居候させているおうちの人って設定で、「沖田誠」という男子生徒がいたのですが、「陰陽少女」改稿で名前変わるし、月たちと同級生だからここで一つ上にしたらおかしいしで、この短編から消えたキャラがいたのです。
場面としては、双子のどっちかが、肝試しに双子の宿主である誠を呼んでもいいかと与羽に聞いているという感じでしょうか。
「肝試し、もう一人呼んでもいいですか!?」
日向がそう身を乗り出す。
「肝試し認めたな……」
そんなツッコミを入れる与羽。
「別にかまわんけど……。誰?」
「沖田誠って人! 会長さんと同級生ですよ!」
「同級生って言ってもいっぱいおるけぇなぁ……。沖田誠、沖田誠……」
与羽は自分の記憶をたどるようにその名前を繰り返した。
「新撰組? いや、この時代に――。辰海、知っとる?」
「聞いたことあるような、ないような……」
辰海は、前髪をかきあげて目を細めた。
「僕も全員を把握してるわけじゃないからね」
「ミサは?」
「名前くらいなら聞いたことあるかも……。千斗は?」
ミサは無関心そうな千斗に視線を向けた。しばらくの間、千斗は顔をあげなかったが、最終的には見ていた問題冊子を閉じた。
「親父、パイロット」
二単語だけつぶやいて、いすにもたれかかった。
「あ!」
パチンと指を鳴らす与羽。
「『リアル俺の父ちゃんパイロット』!」
「あぁ」と辰海とミサも納得した顔をした。
「名前と言い設定と言い、ネタの塊みたいな奴じゃな」
「悪かったな、ネタの塊みたいな奴で」
「あ……」「あ!」
同じ言葉を違う調子で言う双子。月は小さく口を開け、日向は大口を開けた上に、まっすぐ割り込んできた声の主を指さしている。
「え、と……。いらっしゃい」
そう言いつつ、さりげなく辰海の方へ身を傾け「誰?」とつぶやく与羽。
「えっと――」
辰海を自分の記憶をたどるように視線をそむけながら、前髪を軽くかきあげた。
その様子は、先ほど登場した少年にも筒抜けで――。
「話の流れで気づけ。沖田誠だ」
彼は疲れたようなため息まじりにそう名乗った。
「おお、『俺の父ちゃんパイロット』」
与羽がポンと扇子を掌に打ち付ける。
「その呼び方はやめろ!」
誠は軽く怒鳴って、彼はいらだったように頭をかきむしった。いや、もしかしたら照れているのかもしれない。
与羽は思った以上に反応の良い誠に扇子の下でほくそ笑んだ。
はい、そんな感じの部分もあったのです。削りましたけどね。
ちなみに、作品タイトルが長いのは、以前瞬さんの書いてくださった、コラボ小説のタイトルが異様に長かったのと関係があるとかないとか。
まぁ、これからも、「龍神の詩」と「白月の破片」、そして「陰陽少女」をよろしくお願いいたします!
そして、瞬さん。かなり待たせて申し訳ありませんでした。本当に。
2013/9/5




