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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

ナンモカンモ政治ガワルインヤ

作者: PlayOnHatter
掲載日:2026/10/25

何か感じたら、評価感想お願いします

短編グループ

ナンモカンモ政治ガワルインヤ



タイトル  今日は火曜市!



タスケテ ワタシタチハ ツカマッタ



仕事帰りにスーパーに寄り、ビール一本、30%オフのたこ焼きを買う

今日は頑張ったからビール、但し350缶

何だかブヨブヨしてるたこ焼きは、半額じゃないのは残念だが良しとしよう

セルフレジでニャオン!と支払いを済ます。

いつ聞いても気の抜ける支払い完了

たこ焼きのパックに缶を乗せ、片手に持ってさあ、帰宅



床にレシートが落ちていた



たまには善行でも積むか……



どこかのメジャーリーガーやサポーターのように



ビールの缶を気にしながら、ふいっとてを伸ばす

随分と長いな!このレシート!

そう思いながら、何気に裏を見てしまった



それは、書き殴られたように乱れてた

レシートといっぱいに、途中で文字が小さくなっていく



子供のイタズラ?

にしては、文字がどこも子供っぽくない



……



……もういいや、ビールが温くなる



なんかそのまま放り投げたかったが、レシート入れへ



ポイだポイ!帰ったら代表戦を見るのだ



?



レシート入れの中が、カラフルだった気がする



トントン



びくっ



背中を突かれた



反射的に振り返る

たこ焼きのパックが、軋んだ



子供?



レシートを持っていた。

それをコチラに突き出す



「オジサン、レシート捨てたらダメだよ!」



怒られた



「ご、ごめん?でもオジサン、拾ったレシートちゃんとしたはずなんだけど……」



「はあ」



子供にため息をつかれた



「拾ったのは知らないけど、コレはオジサンのレシートだよ!」



よく見ると、手の中のレシートは短かった



「ポケットから床に落ちたの!ワザとなの!?」



現行犯だった、言い訳も何もない

ぺこぺこ頭を下げて、レシートを受け取る



「今度から気を付けてね!」



嵐は去った



ああーー確かにレシートにちゃんとたこ焼き、ビールとある



ひょい



赤い文字



タスケテ



ヒラリヒラリとレシートが床に向かう

拾い、レシート入れへ

沢山のレシート、沢山のタスケテ

赤。黒、緑、ああ、イロイロだ

ハッハ、HELPまである



もう帰ろう!帰って君が代を歌うんだ!

だからビールもキ◯ンにしたんだし!



火曜市〜♪火曜市〜♪今日は待ちに待ってた〜ハイパー火曜市



店内放送が流れてる



「お客さま、お買い物はお済みですか?」



ボーっと立っていたからか、店員さんに声をかけられた



こくん、と反射的に頷く



にちゃぁぁぁあぁぁ



店員が笑った

店員の目は見えない

口が切ったスイカのようだ



「それは良かった」



店員はまだ笑っている



「では、もうお客さまではない……と」



グエグエ、と店員が、肩を揺すり笑い続ける



「今日は火曜市!ご好評で、ちょうど商品が足りなくなるところだったんです」



ぬーっと店員の手が伸びてくる



一本、二本ーー三本四本……



「人間デモ、ナンデデモ!少シデモ安く、新鮮ナモノハ飛ビ付キマスネ〜」



そして、店員はレシートを見る



「やはり、レシートはなるべくお持ち帰りいただくのが、お互い望ましいかもしれませんね。実際の話……」



スイカが迫る



「タスケテ、くらい残せたかもしれませんよ」



了



タイトル くだらない話



人を呪わば穴二つ、って言うけど、それが分かって呪う場合、呪う方と呪われる方、どっちが悪いと思う?



ある日友人に真顔で質問された

コイツは、呪うか呪われる予定でもあるのだろうか?

いずれにしても、変な案件は持ち込まないで欲しい

これでも自称商売霊能力者、他称、奇跡の少女(ぷっ)現人神(笑)だぞ(大笑)

ついこの間も、なんか落書きでサイケデリックになった、どこぞのスーパーのレシート束を持ち込み、



「何とかして!」



と暴れ出した

仕方ないので、赤穂の塩を振り掛けて全部燃やしてやった

それらしく虫眼鏡で火を付けた

聖火と同じ着火方法だ、文句なかろう

そう思っていたのに、なんか納得しなかった

ならば、



「わたしたちには、出来ること出来ないことがあるわ」



ここでそっと目を閉じる



「出来るからと、すべてをやってはいけないことも……」



と言ってやれば、なんか泣いた

数日後、近所のスーパーが潰れた!アソコの火曜市庶民の味方だったのにー!と文句を言われたが、私のせいではないし、意味がわからない



イロイロ思い出していると、わたしの鼻先に人差し指が



「ネットでわら人形売っているでしょ」



「そうね」



おい、人を指差すな、噛むぞ



「アレ、正式な方法だと大変じゃない、正装とか手順とか」



「そうね」



「人に見られたらダメなんでしょ?」



「そうね」



「アレ見られたら、社会的にもダメよね、アレ」



「そうね」



「それでもやる覚悟と決意」



「そうね」



「ちーちゃん、何とかしてあげて!」



「そう……え!?」



「相談に乗ってあげるとか、ほらほらイロイロ」



「え、やだ」



「何でよ!奇跡の少女でしょ!!現人神でしょ!?」



そう思ってるなら気軽に人を消しゴムかトイレの消臭剤のように使うな

言ってて自分で悲しくなった







タイトル くだらない話2



「結論、やっぱり呪う方が悪いよね」



何がどうしてそうなったのか?

相変わらず思考がタキオンだな



「だからわら人形のネット販売ヤメナイ?」



「ヤメナイ」



「即答か。ちーちゃんだって、女子高生にあるまじきビジネスだよ?」



「世にSNSやチックタックで稼いでる女子高生は、ゴマンといる!わたしがやってることも変わらない!」



「あれ?同じなのかな??」



「そうそう同じ同じ!手のひらサイズの可愛いマスコットよ?パンチラやムネチラで稼ぐより断然健全」



「そもそも売れてるの?」



「売れてる売れてる。ダースどころかグロスで買ってくれる人もいる。売れすぎて国税局がコワイくらい」



「待って待って!誰がそんなに買うの?あれ?ちーちゃん問屋さん??」



「どっかのペットクリニックの美人な女医さん」







タイトル 僕らのまちのペットクリニック





私は小さい頃から、動物が好きだった

人間よりも動物の方が安心できた

両親や学校の先生に、それではダメだ、もっと周りの人達と関わりや関心を持ちなさい、と言われ続けた

が、いつの頃からかそれも言われなくなっていた



私は優秀だった

自慢ではない、事実だ

何の迷いもなく獣医師を目指し、実現した

在学中、開業資金にする為お金も稼いだ

ロトで、統計分析し、当てた

アレで10億とは、実に簡単だった

当面の資金として、キャリーオーバーを狙い、2度ほど当てた

理想の環境を整えられた

そこから3年ガマンした

先輩の親のペットクリニックで奉(・)公(・)した

その3年の期間に、住宅地の片隅にビルを建てた

5階建の、まあ、ささやかな私の城である

不動産屋たちが、どこで聞きつけたのか、テナントがどうの貸事務所がどうの言ってきたが、全部無視した

両親や親戚も何やら口を出してきたが、それも無視した

私の城である、部外者はいらない

そして開業した

ペットクリニックは勿論、ペット預かりーー私は保育園と言っているーーを、最高の設備と環境でワンオペで実現した

料金も私はリーズナブル、何ならタダでもコチラがお金を払っても良いと思っていたが、ここの人達は『アタマガオカシカッタ』のだ

お金をかけることに、意義を感じる人種だった



限界が来た……



カイヌシたちに向ける営業スマイルが、引き攣らなくなる頃、私は限界を感じた

鉄面皮を手に入れた代わりに、私のココロはぐずぐずだ

ココに連れて来られる子たちも……

いつの頃からか、カイヌシの顔ぶれに変化がなくなってきた

これが定期検診やトリミングなど、そんな理由であるなら、私も少しは人間と関わろうと思っただろう



肥満でついに自力で歩けなくなった子……あれ程食事やオヤツ、散歩や運動を指導したのに



だって可愛いから、と高カロリーの物質を与えられる



イジリ過ぎて、円形脱毛になった子



週ごとどころか、3日と開けず来る

また同じカイヌシとこの子か……何人も何人も繰り返す

いや、まだ繰り返すだけが良かった



?



カイヌシは同じ、アレ?あの子じゃない



「新しい家族なんですよ!」



と、満面の笑みで、そう宣言するヤツら

さらに、その笑みを重ね



「あの子たちは、虹の橋の先で待っているの」



私に、新しい家族の前足を振って見せる



何かがキレた瞬間だった



私は思った

コイツらが、あの子たちを自分たちの幸せの為にイケニエにするなら、私があの子たちの為にコイツらをイケニエにしてもかまわないだろう







タイトル くだらない話3



「ちーちゃん、ソレやめない?」



「ヤメナイ」



わたしは、自分の手のひらの上に、星型のコロンとした人形をのせ、転がす

アオアオとして、少しツヤツヤしている

我ながら手触りが良い



「ソレわら人形でしょ?」



「ぶっぶー、コレは限定イグサ人形なのだ」



「そんなん、菖蒲人形やとうきびのヒゲ人形まで作る気?」



「ヤラナイ……うん?菖蒲人形はイケル?でも、作る時手切りそうだな、あと瘴気払うって、どうなん?」



「勝手に考えて」



「わかった」



「……って、ホントにわたし無視して考えないで!」



何とワガママな



コイツとあの女医さん、案外友達になれるかも……イヤ、どう考えてもペットと飼い主だな

ま、ソレはソレでお互い幸せかもね



「わら人形、グロスで買って何に使うの?」



「わたしら凡人を周回遅れにする程頭のイイヒトだからね」



わたしの返答が気に入らないのか、友人はハムスターのように頬を膨らました


しょーがない



「呪いは、法律上セーフ!やり方にもよるけど。相手に呪ってるの知られてたら、脅迫とかなるかも?」



「またごまかしたぁ!」



「で、わたしのわら人形、患者さんたちのカミカミオモチャになってるみたい。なんか食い付きがいいんだって!そりゃ、天然素材100パーセント、安全性もバッチリ!」



「なーんだ」



ま、ペットたちが飼い主とか、恨んでなきゃいいけど







タイトル オイシイオリョウリ



エコバックとスーパーの袋を両手に下げ、私は喫茶店を出た。

まったく……近所のスーパーが突然閉店したのは予想外だった。

火曜市だ何だと安売りし、店員さんも多く働いていたので、景気が良いものだと思ってた。実はそうじゃなかったようだ。

多少店員が不愛想・無関心でも、場所的にもお財布的にも有難かったのに

なくなって気付く有難さである

現実、少し遠くまで交通費まで使って、スーパーに行き、交通費節約のため一週間分(親子三人)の食料と生活用品を買って帰る。それが地味につらい

買い物後、喫茶店で一休みしても、ケーキセット一つを楽しんだとしても、責められるはずがない、はず。そう、身内にバレなければ

今日は、出会いもあった

面白い少女だった。

いや、面白いと思わなければ、些か私の心がささくれる

まさに跳ね馬と言うような黒髪<ポニーテール>の不穏な目の少女――いや……美少女

下校中なのか、カバンにマスコットを付けてた

星形の青緑色のそれは、変に目についた

テーブル席が満席で、普段座らないカウンターに座った

その隣に少女はいた

隣のもう一人の少女と何やらお喋り中

いや、少女の陰にいる少女が一方的にしゃべっていた

私の隣の少女は時々、面倒臭そうに黒髪のしっぽを揺らすか、紅茶をすするだけ

思わず吹き出してしまった

四つの瞳が私を見る


「あ、九十九千歳……」


隣の少女の顔を真正面に見て、私は呟いた

テレビで見た顔だった

私が知ってるのは、ここにいる少女よりまだ幼い美幼女だったが、面影が間違いない

何より不穏な目が、テレビの向こうと同じだった


「誰、オバサン?」


「あれ?ちーちゃんの知り合いじゃないの?」


「シラナイ……でも知り合いみたいな顔して来る人はイッパイ知ってる」


「イヤイヤ、初対面の方に開口一番『オバサン』はないでしょ!言い方ぁ」


「え?おねえさんと言うほど若くない」


これ以上この会話を続けられると、私へのダメージが計り知れない

私は両手を合わせて


「ゴメン!」


と謝った


「……?」


その結果――九十九千歳と思われる少女は、コテンと音がしそうに小首を傾げた


「ごめんね、昔テレビであなたの特集見たことがあったから……夏の心霊特集?だったかな」


「何で夏だと心霊だったんだろう?」


変なところに食いついてきた


「えっと、暑いから?涼しくなりたいのよ、みんな。私もそんな感じかな?」


「昔って、わたしはそんなに年じゃないけど」


「十年一昔って言うじゃない?」


「なるほど」


なんか納得してくれた

疲れた。買い物荷物を持つより疲れた


「あげる」


私の鼻先に少女が何かを差し出してきた

揺れる青緑の星形

それこそ昔、田舎のおばあちゃんの家で嗅いだ匂いが鼻をくすぐる


その次の瞬間少女のしっぽが跳ねる

陰にいた少女が思いっきり手を振り抜いていた


「それ!わら人形でしょうが!!」


「チガウ……限定イグサ人形」


何か不穏な情報が耳に届いたが、私は丁度出されたケーキセットを受け取る

今日のケーキはガトーショコラか

なかなか手の込んだものだ


「イラナイ?」


ティーカップに手を伸ばしていると、不穏な二つの目が飛び込んできた

九十九千歳が私の顔を覗き込んでいる

近い、距離感が近い!


「イラナイ?」


再度、少し声が強い

聞こえなかったわけじゃないのよ?

聞きたくなっただけで


「ケーキ食べるまで保留で、いい?」


「ワカッタ」


ごそごそとカバンに例のものを付け直して、あ、また隣の少女に物理抗議を受けている


「ちょっと勝手に人のカバンに物騒なものつけないで!」


あぁ。それは怒るわ

あぁ、ガトーショコラが美味しい

フォークがいつもより働く

気が付くともう半分……


「ねぇ、何か相談に乗るよ」


九十九千歳の声。


「こう見えても、商売霊能力者なんで……今日は基本無料、内容によっては応相談!」


「ちーちゃんが珍しい、自分から霊能力者やってる」


ちょっとだけ『待て』が出来なかったんだな、と思った。

あと商売霊能力者って何だ?とも


「え~っと、なんで?」


そう言うと、美少女は自分の眉間を摘まんだ


「ココ、ズーッと谷みたいになってる。ケーキ食べてる人の顔じゃない」


「え、ツボでも買わせるの?」


「え、ツボが欲しいの?」


「え、そんなお金はないよ、五円のもやしのために買い物難民やってるのよ、オバサン」


「欲しいなら上げるけど」


「いえ、貰っても困るの。置くとこないし、持って帰るのも大変だから」


「ならなぜツボ?」


「ちーちゃん、ツボってまさか、あのちーちゃんの部屋に転がってる、何だか自己主張が激しいツボ?」


九十九千歳の陰からそんな声が


「あれは勝手に自走するから、贈答用に向いていない」


あれ、自然と不自然な会話がされている


「あと、あれあんたが間違って腰かけたからあーなったんだよ。折角布かぶっておとなしくしてたのに。おかげで女子高生のお尻に目覚めた」


「ヤメテ!もうちーちゃんの部屋に行けなくなる!!」


「あいつ、役に立つこともあるんだ」


そう呟くと、九十九千歳は私を正面に見て、


「そう言うことで、あのツボはあげれません」


とぺこりと頭を下げた

いや、私ツボ欲しいって言ってない。イラナイ言った!


「そう……ツボはもういいわ」


「じゃあ、相談」


「相談はしないとダメなのね」


私はため息をついた

カカオの匂いが鼻を抜ける

まあ、この子には悪いけど、誰かに話せば気も楽になるかも……





ねぇ――ご飯食べるならやっぱり美味しい方がいいわよね?

普通そうよね

そう思うから頑張って作るんだけど……

ご飯炊くのも、新米なら秋で三十分冬なら四十五分、古米なら春は一時間、夏は四十五~一時間水に浸けてとか

パスタはアルデンテ

麻婆豆腐の豆腐は、水を抜くか抜かないか


もう毎日、毎日……違うわね、毎食毎食ね

でもね、感謝されないの

日常だものね、それは感謝されないわ

分かってるの

うん

分かってる

でもね、たまには美味しいと言って欲しい

わざわざ言ってくれなくてもいいのよ

一口食べて『美味しい』その一言が

結論、私の料理が美味しくないのよね

まあ、そう言う事なのよ






ふう


ため息が出た

女子高生に何を話しているのか


ぐす、ぐすぐす、ずっ


うん?


ぐす、ぐしゅ


九十九千歳が、ものすごく嫌な顔をしていた

そりゃあこんな見ず知らずのオバサンの愚痴を聞かされたんですものね

そんな顔もする


ううん??


泣いてる

でも目の前の少女じゃない

この少女の陰、もう一人の少女が、九十九千歳の細い肩に噛り付くように泣いていた

制服の肩の色が変わっている


ああ、鼻をすすってるからあの変色は涙だけじゃない


「ハンカチじゃないんだけど」


「ぐすっ、こんな不穏なハンカチは、ぐすっあたしのストレージにはいらない」


「なら離せ」


「だって、頑張っても報われないの悲しいよ~。会話とか行動のキャッチボールが出来ないのはツライ~」


ぐりぐりと少女が頭を振る。肩に押し付けたまま


「あたしも良く分かる~ぐす。それでもあたしは暴投でも返ってくるけど、この人きっとそれもないんだよ~ぐしゅ」


私は何かものすごく悪いことをしたように思い、ハンカチを差し出す

少女はそれを、ぐりぐりとまた頭を振って辞退した


「ハンカチ、汚したら申し訳ないです、ぐじゅ」


「もう邪神でも呼んじゃう?」


よほど強くしがみ付いてるのか、胸元が色っぽくなってる九十九千歳が軽く言った


「「邪神?」」


「キャッチボール出来ない奴らを、キャッチボール出来るようにする?それともボールを思わず転がしちゃうくらい美味しい料理作る?」


「「邪神?」」


「そう?じゃあ、ちゃちゃッと呼ぶ」


「呼ぶな!」


パカン!と今度は頭で音が鳴った。


「何でそうなる!?」


私も少女の意見に同意だ。


「だって邪神って言った」


頭をさすりながら九十九千歳


「タクシー呼ぶノリでやってイイことではない!」


「お前のその綺麗な顔は、わたしの制服の犠牲の上に成り立っている」


それは確かにそうなんだけど、今それを言ったら余計に怒られるよ?


「邪神は何の犠牲で成り立つのよ!?」


「うるさい」


九十九千歳は両手で耳を塞ぎ、ちょっと自分の肩を嫌そうに見直した

そして


「私の制服の犠牲に比べればささやかなものだけど、友人のせいでお店に迷惑が掛かるので邪神は呼べません」


今度は立ち上がって深々と頭を下げた


私は笑わずにいられなかった。あんまりに、涙も出た


「邪神まで呼ばれたら、オバサンも困っちゃうわ。キャッチボール?あなた達とは出来たから、もういいわよ」


「じゃあ、せめてこれ持って行くがイイよ」


そう言うと、九十九千歳はタタタッとカウンターの裏に回った

じゃまっと店のマスタを退け、キッチンに置いてあった包丁を取る

それを近くのタオルでくるむと、またこちらに戻って来た


「どんな素材でも、オイシクリョウリ出来るよ」


そう言い、勝手に私のエコバックに入れる

マスターが慌てているが、九十九千歳が睨む

その瞬間びくっと、肩を動かすと力なくへたり込んだ


「使うときは少し気を付けて!それ、使う人次第だから」


「ア、アリガトウ?」


「どういたしまして」


「料金はかかるのかしら?」


「後日、使用状況を考えて代金請求、商品回収しますね」


「そ、そうなのね、わかったわ」


「使う使わないはオバサン次第だよ」


「それよりも、マスター大丈夫?」


「シラナイ」


「……オバサンもう帰るわ、また会えるかしら?」


「会えますよ、代金請求または商品回収ありますから」


「そうね」


私はそう言って笑った。

もう一人の少女に、荷物を持つのを手伝ってもらい店を出た。


「もうこの店では会えませんけど」


最後に九十九千歳がそう呟いた


え?


と思ったが、ベルを鳴らしドアが閉まっていた





面白い少女だった

帰ったらまず、この包丁を使わず料理をしよう

もう少し、ゲームの当りを引く気持ちで頑張ってみよう

私はそう思いながら家路を急いだ






タイトル くだらない話4



ツボを壁に押しやりながら、


「ねぇ、ちーちゃん」


と友人が呼んだ。


コイツ、もうウチに来ないんじゃなかったのか?

来るんだったらツボ、あのオバサンにあげても良かったのに


「あの喫茶店、つぶれた」


「だめだったか」


「ちーちゃん、何かしたの?」


「シテナイ」


「うそ、あそこのマスターから包丁強奪したじゃない」


「シテナイ」


「店の包丁勝手にあのオバサンにあげちゃったでしょ!そのうえマスターまでビビらせて!世間ではあれを強奪っていうのよ!!」


「うるさい」


「聞きなさいよ!あのオバサンまで共犯にして!あたし心配したんだからね、あのオバサン帰りにお巡りさんに捕まらないか」


「え、何で?」


「銃刀法違反とか凶器なんちゃらとかで」


「詳しいね」


「そこじゃない!」


「うるさい」


「だから聞きなさいよ!答えなさいよ!」


「あれはわたしのだから」


「店にあったから店のもの、マスターのでしょう!?」


「代金貰ってない」


「え?」


「あの人料理下手なんだよ、お茶とかコーヒーは上手に淹れれるのに」


「え?」


「お茶とコーヒーだけじゃ商売にならないって」


「えぇ?」


「同じ商売人として助けてあげた」


「あれ、珍しくイイ事してた……?」


「その代金が一週間に一回ケーキセット1つだよ、お茶、コーヒーお替り別料金」


「あれ、本当にイイ事してた」


「ふざけるなだよね」


「え!?」


「向こうがそれ提示してきたの」


「え、でも貸してあげたんでしょ?」


「貸さないよ、返せだよ。でも、努力するからもう少し待ってほしいって」


「お、ツンデレか?」


「ツボ宅配で自宅に送ってやる」


「ヤメテよね」


「ヤメナイ」


「お姉さんに言いつける!」


「ヤメテもいい……お外にリリースしてやる」


「世間の迷惑考えなさいよ!」


「大丈夫、お尻まっしぐら。スニーキングも上手、きっと段ボール箱かぶってチャイム鳴らすって」


そう言ってわたしは友人を指さす


「あたしんちか!?」


「平穏な日常は私の努力で成り立ってることに感謝して」


ぐぬぬ言ってる友人にそう言ってやった

少しすっきりした

あとは勘違いを正さなければ


「待ったの、ちゃんとそれなりの代金を支払うか、料理が上手くなるか、どっちを努力するのか」


「えっと、どっち選んだの?」


「どっちも選ばなかった」


「?」


「選んでたらわたしは回収してないし、店はつぶれてない」


「なるほど?」


「あと相当無茶な使い方してたみたいだから、大変だよ」


「大変?」


「あれネタバラシすると、因果律を歪めて結果だけ持ってくるんだよね」


「意味が分からないんだけど」


「大丈夫、わたしも分からない」


「……」


「あいつその辺の石ころとかゴミでケーキ作ってたんだよ」


「え?」


「だからあの店の周り綺麗だったんだよ、それで地域貢献(笑)で表彰までされて」


おお、友人の顔が引きつってる


「因果応報!歪みこじらせた奴はどうなるんだろうね?」


「そんなことより!だから紅茶しか飲んでなかったのね!!」


友人がグーを振り回しながら吠えた



タイトル どーでもいい話



ワタシはヒキコモリだ

1日の大半を部屋で過ごし、たまに家の中を徘徊する

親もいつの間にか顔を合わせても、何も言わなくなった

それどころか、居ないものとして処理されている



ある日、一人の少女がウチに来た

ポニーテールのどこか眠そうな、美少女

なんて羨ましい存在だろう

ボサボサで、もったりとした髪に覆われる、ワタシ

アレはワタシと同じ性別どころか、種族か?と考えてしまう



「代金回収に来ました」



少女はだるそうにそう言った



「もしくは商品の引上げ」


父親が対応していた


「何の代金だ?」


「あ、申し遅れました。九十九千歳です」


少女、九十九千歳は父親の言葉を無視してぺこりと頭を下げた。


思い出したように名刺を渡す



「白グループ?どこかで聞いたことあるな……」



「お気になさらず」



少女はぷるぷると頭のしっぽを揺らした


「ただの親族会社です」


白グループ?九十九(ツクモ)?


あ、ツクモデンチとか家電販売、開発メーカー……

他にも多角企業展開?

ヒキコモリでも知ってる

むしろヒキコモリだから知ってる

いつも見ている液晶画面、その脇に刻まれてるゴシック文字


『TUKUMO 』


探せば他にもあるかも


そう思ってると、少女は言葉を続けた


「ところでオジサン誰?」


!?


あの父親にそのセリフ!

ワタシは少女、九十九千歳が激しい音とともに吹き飛ぶと思った。


「お前こそなんだ?」


ドスの効いた父親の声


「え、名乗ったし名刺渡した」


そう言って、ポンと手を叩いた


「あ、キャッチボールが下手な人だ」


しまいにはやれやれと肩まですくめて見せた


「どうでもいいけど、オバサンお留守?」


キャッチボールが言葉のキャッチボールを意味するなら、この少女も大概だ

何だか可笑しくなった

あの父親をキャッチボールどころかバッティングセンター扱い

会話にグローブではなく、バットを振り回す九十九千歳。

だけど会話でバットを振り回すのは父親も同じだ



ダン!



苛立ちそのものを叩き潰すように、父親がドアを叩いた。


「……お邪魔します」


思わず心の中で突っ込んだ

お邪魔しましたじゃないんだ!


ひょい


とドアを叩いた父親の腕を軽く持ち上げ、その下を潜り抜ける

靴を脱いで、きちんと揃え迷わず茶の間へ

きょろきょろともせずに台所にスタスタ歩く

彼女と目が合ったような気がした

不穏な少女の目が、目に飛び込んだ

でも一瞬

ふいっと九十九千歳は暖簾をくぐり台所に入った

シンクの脇を見て呟く

先程までの少女と、同じかと思う暗い声


「やっぱり使っちゃったか」


ぬっと父親の手が彼女に伸びる


ぱん


振り向きも見もせず九十九千歳は軽くその手を払った



「ぎゃっ」


父親が今まで聞いたこともない声でうめいた

右の手首をさすっている


「オバサン、どこ?」


じっとシンクを見つめてる


「もう一度聞くけど、オバサンどこ?」



振り返り、彼女の不穏な瞳がワタシを見た

オバサンとは母親のことだろうか?

最近近所のスーパーがつぶれて、買い出しが面倒うと言っていた

買い物で帰りが遅いのかも、とツラツラ考えるが言葉が出ない


「……ご飯美味しかった?」


九十九千歳は、天井の隅を見ながらそう言った


ご飯……?


何か猫のような少女は言葉を続ける


「お母さん、まだそれを気にしてる」


そしてゆっくりと細いあごを父親に向けた。


「オジサン、ご飯美味しかった?」


「何なんだお前!アイツがどうしたっていうんだ!ご飯?知るかっ!アイツのトラブルはアイツに言え!!


「答えを知ってるのに、どうしてそう質問するかな」


怒鳴り叫ぶ父親と静かにつぶやく少女


とん


と九十九千歳がシンクの縁に腰かけた

白い細い足がゆらゆら揺れる


「借金か?ならさっさと商品なり何なりで回収しろよ!ここまで勝手にやったんだ、もう好きにしろっ!?」


足がぴたりと止まる


「え、いいの?」


「いいと言ってる」


「そっか、使った本人がそう言ってるならいいのかな」


九十九千歳の手が、シンク脇に置いてあった包丁に伸びる


「商品回収」


何度目かの不穏な目の洗礼


「あ……おぃ……った……」


ワタシは口をもごもご動かす。髪が口の中に入る。構わなかった。

でも、これだけは伝えたかった


ご飯、美味しかった、と


少女はうなずいた


「うん、伝わったよ、喜んでる」


すとんとシンクを降りる


「ところで、最近何食べた?」


ワタシは首を振った

まともなご飯は食べてない

冷蔵庫の乾いた食パンを、少し


「お母さんのご飯は?」


首を振る

髪がざわざわ動いた


「そっか……それは良かった」


細い肩を包丁で、とんとんとしている

危ないのに、何故か似合う佇まい


「お母さんのご飯というより、まともな食事をしてない、と」


不穏な目が父親に動いた


「大人しいね、どうしたの?」


蒼い顔をしている父親の顔をのぞき込む


とん


と包丁の柄で父親をつついた


ズザッ!


身体を小さく縮め、台所の壁に張り付く


「で、もう一度」


軽く一歩を進めた


「オバサンどこ?……ここ?」


九十九千歳が、父親の膨れた腹を包丁の柄でつついた


「オバサン美味しかった?」


少女の狭い背中が揺れる


「で、使用料金なんだけど……どうする?」



了























タイトル おまわりさんは忙しい




少女が一人保護された

髪の毛が毛皮の、獣のような少女

両親の行方は不明

どういう扱いを受けていたのか、こちらの言葉は理解してるようだが、まともに言葉が喋れない

心因性か普段から会話を必要としてなかったのか、多分その両方と他の原因が考えられる

が、現状は不明


と、担当の医者の業務連絡



ため息しか出ない



交番勤務なのに、何なんだこの忙しさ

いや交番勤務だからの忙しさか

マチのすべての事件とかトラブルの窓口、ここに集まる

そりゃ忙しい

最近差し入れのケーキセットもない

心のオアシスだったのに

あの店つぶれたんだったな

つぶれたといえば近所のスーパー

あれも突然だった

一晩で何もなくなった

文字通り、何もなくなったのだ

何て規模の大きな夜逃げだ、とひきつった顔で知り合いの刑事がそう言っていた

あのスーパー実は捜査対象で、近々大規模な立ち入りが計画されていたらしい

その準備も全部ぱあ、と手を広げて刑事が笑った。

それでも鑑識班よりは恵まれてるらしい

イヤナハナシだ

最近、無残な変死体が多いらしい

鑑識も監察医も足りねーよ、と人のかりんとうを一袋丸ごと強奪していった。

ちょっと先に刑事になったからって人から搾取か?

階級変わらんのに、理不尽だ

温くなった湯呑を傾ける


ずずっ


必要もないのにすする

いや、その方が旨い気がするのだ


あれ、よく考えるとけっこう治安が悪い?


少しパトロールを頑張ろうと思った

翌日、巡回用の自転車が盗まれていた



了






























ありがとうございました

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