↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

その他短編

冬の眠り

掲載日:2026/08/17

いつも、彼女は寂しそうにしていた。

悲しそうだった。


笑っているはずなのに、彼女はどこか辛そうだった。


彼女は言った。


「無理なんてしてないよ?」


その笑顔は、少しだけ、本物に見えた。

けれど、やはり苦しそうで。


「嘘ついてるだろ」


そう言った。

言ってしまった。


「そんなことないよ」


そう、彼女は笑った。

彼女の瞳からハイライトが消えるような錯覚を覚える。


「莉冬」

「……あぁ、ごめん。ぼーっとしてた。どうかした?」


部活の声が、中途半端に開いた窓から聞こえる。

隣の教室から、吹奏楽部が楽器を吹く音がする。


その音の群れが、さっきより低い音に聞こえた。


「最近、寝れてるか?」

彼女は一瞬、悩んだ様子を見せた後に言った。



「ちゃんと寝てる。余計なお世話」

「そうかよ」


沈黙が流れる。

吹奏楽部の演奏が終盤に差し掛かる。


「ねえ、」

「何だよ」


息を吸う音が、隣から聞こえた。

彼女はこちらを見ずに、言った。


「別れよっか、私達」

「……どうして」

「合わないから」


彼女のその言葉に、迷いはなかった。


「わかっ、た」

「今までありがとう、優海……いや、冬野くん」


冬野くん。

その呼び方が、俺たちの別れの合図だった。


「じゃあまたな、白雪」

「うん、またね」


そう言ったきり、彼女の姿を見ることはなかった。


「くだらねぇ嘘つきやがって。馬鹿」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。