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森のカフェしっぽっぽ  作者: 森のカフェしっぽっぽ


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第19話 仕入れ作戦

 翌朝。


 森のカフェしっぽっぽの店内には、ゆったりとした朝の光が差し込んでいた。


 窓際の席では猫たちがいつものようにくつろいでいる。


 棚の上ではイチが王様のように座っている。


 ソファではきなが丸くなって寝ている。


 トラは床で伸びきっている。


 チビは通路の真ん中で寝ていて完全に邪魔だ。


 そして――


 カーテンの影からそっと顔を出しているのはジルだ。


 臆病者のジルは、朝でも少し警戒している。


「にゃ……」


 小さく鳴いた。


 入口では犬のロンがのんびり尻尾を振っている。


 カラン。


 カフェのドアが開いた。


「おはようございます」


 入ってきたのはウェイトレスのみどりだ。


「サトルさーん」


 カウンターの奥を見る。


 そこには――


 腕を組みながら難しい顔をしているサトルがいた。


「うーむ」


「どうしたんですか」


「在庫が足りない」


「在庫?」


「ライト」


 みどりは首をかしげた。


「そんなに売れたんですか?」


 サトルは深くうなずいた。


「百個注文された」


「え」


「王城」


「えええ?」


 みどりは思わず声を上げた。


「王城って……王様の?」


「そう」


「何売ってるんですか」


「懐中電灯」


「ええええ!?」


 みどりは完全に混乱していた。


「意味が分かりません」


「俺もだ」


 サトルはコーヒーを飲む。


「だが売れる」


「それはそうでしょうけど」


 その時――


 トコトコと歩いてきた猫がいた。


 イチだ。


 カウンターに飛び乗る。


「にゃ」


「なんだ」


 イチはサトルを見つめた。


「にゃ」


「仕入れか」


 するときなが伸びをして言った。


「にゃー」


 トラも起きる。


「にゃ」


 チビはまだ通路を塞いでいる。


 ジルはカーテンの影から見ている。


 ロンが尻尾を振る。


「わん」


 みどりが笑った。


「みんな行きたいみたいですよ」


「遠足じゃない」


 サトルは立ち上がった。


「今日は仕入れだ」


「どこへ?」


「ホームセンター」


「なるほど」


 その頃――


 地下の異世界市場では。


 ミャルが走り回っていた。


「サトルまだー!?」


 ミャルは森猫族(フォレストキャット)だ。


 落ち着きがない。


 隣では魔導士族(メイジ)のアルトが腕を組んでいる。


「まだ来ない」


「遅い!」


 そこへ現れたのは狼騎士族(ウルフナイト)のレオガルド。


「落ち着け」


「ライト欲しい!」


「分かる」


 その近くでは蜥蜴人族(リザードマン)の商人が言った。


「洞窟探索の隊が待っている」


 さらに――


 森人族(エルフ)の女性たち。


「森の夜は暗い」


「灯りは必要」


 そして巨大な影。


 牛鬼族(ミノタウロス)のガルド。


「肉が見えない」


 アルトが言う。


「結局そこか」


 市場は完全にサトル待ちになっていた。


 一方その頃。


 地球。


 ホームセンター。


 巨大な店内をサトルが歩いていた。


 カートには猫が五匹。


 そして犬が一匹。


 みどりが押している。


「目立ちますね」


「気のせい」


 店員が二度見していた。


「……猫?」


 サトルは棚を見る。


「ライトコーナー」


 そこには――


 大量の照明。


 懐中電灯。


 LEDランタン。


 ヘッドライト。


 ソーラーライト。


 サトルは腕を組んだ。


「どれにするかな」


 イチが言う。


「にゃ」


 みどりが笑う。


「イチが選んでます」


 きながランタンを触る。


「にゃー」


 トラが箱を落とす。


 ガタン!


 ジルがびくっとする。


「にゃ!!」


 チビは箱の上に座る。


 ロンは尻尾を振る。


 完全に買い物妨害部隊である。


 サトルはため息をついた。


「手伝え」


 その時、店員が来た。


「お客様」


「はい」


「猫が多いですね」


「家族」


「なるほど」


 店員は優しく笑った。


「ライトをお探しですか?」


「大量に」


「どれくらい?」


 サトルは言った。


「百」


 店員の顔が止まった。


「……百?」


「百」


「業者ですか」


「猫カフェ」


「猫カフェ!?」


 みどりが笑う。


「ちょっと特殊な」


 サトルはカートを見る。


「これ全部」


 カートには――


 懐中電灯

 LEDランタン

 ヘッドライト

 ソーラーライト


 山のように入っていた。


 店員は言った。


「すごいですね」


 サトルは静かに言った。


「異世界で売れる」


 店員は聞き返した。


「……どこで?」


 サトルは答えなかった。


 その頃。


 異世界市場。


 ミャルが地面に寝転んでいた。


「暇ー」


 アルトが言う。


「待て」


 レオガルドが腕を組む。


「サトルは来る」


 その瞬間。


 倉庫の扉が開いた。


 ギィ……


 ミャルが跳ね起きた。


「来た!!」


 サトルが現れた。


 背後には――


 大量の段ボール。


 市場がざわめく。


 森猫族(フォレストキャット)

 魔導士族(メイジ)

 蜥蜴人族(リザードマン)

 森人族(エルフ)

 狼騎士族(ウルフナイト)

 牛鬼族(ミノタウロス)


 全員が集まる。


 ミャルが叫ぶ。


「ライト!?」


 サトルは言った。


「新商品もある」


 段ボールを開ける。


 そこには――


 ヘッドライト。


 ミャルが聞く。


「それ何?」


 サトルは頭に装着した。


 カチ。


 ピカ。


 光る。


「おおおお!!」


 市場がどよめいた。


 アルトが言う。


「両手が空く!」


 レオガルドが言う。


「警備に最適」


 ガルドが言う。


「肉がよく見える」


 ミャルが叫ぶ。


「サトル天才!」


 サトルは肩をすくめた。


「ホームセンターが天才」


 異世界市場は――


 またしても大騒ぎになっていた。

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