表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
森のカフェしっぽっぽ  作者: 森のカフェしっぽっぽ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/30

第17話 光祭り暴走

 夜の異世界市場は、いつもよりずっと明るかった。


 原因はもちろん――**サトルの懐中電灯**である。


 石畳の広場では、あちこちで光が揺れていた。


「すごい! もう一回やる!」


 元気に走り回っているのは、森猫族(フォレストキャット)のミャルだ。


 懐中電灯を振り回しながら叫んでいる。


「光剣ごっこだ!」


 ミャルの相手をしているのは、兎人族(ラビットマン)の少年たちだった。


「いくぞ!」


「うおー!」


 ピカピカと光がぶつかる。


 完全に**チャンバラ遊び**である。


 その様子を遠くから見ていたのが、魔導士族(メイジ)のアルト。


 腕を組み、真剣な顔をしている。


「これは興味深い」


 隣にいた鉱人族(ドワーフ)のバルドが聞く。


「何がだ?」


「魔力を使わず光を作る技術」


「ただの道具だろ」


「だが便利だ」


 アルトは懐中電灯を観察している。


「この“電池”という仕組み……」


 その横では――


 牛鬼族(ミノタウロス)のガルドが光を地面に向けていた。


「夜でも肉が見える」


 ガルドは満足そうにうなずく。


「狩りが楽になる」


 その時だった。


「サトルー!」


 ミャルが走ってくる。


「なんだ」


「もっと光るのない?」


「ある」


 サトルは段ボールを開けた。


 取り出したのは――


 **LEDランタン**。


「おお?」


 ミャルが目を輝かせる。


 スイッチを押す。


 パチ。


 ふわっと柔らかい光が広がる。


「きれい……」


 ミャルが呟いた。


 周りにいた森人族(エルフ)たちも近づく。


「これは良い灯り」


「森でも使えそう」


 森人族(エルフ)の女性が言った。


「火を使わない灯り……安全」


 その言葉を聞いた瞬間、蜥蜴人族(リザードマン)の商人が手を上げた。


「十個買う」


「早いな」


「洞窟探索に使える」


 その後ろでは――


 狼騎士族(ウルフナイト)のレオガルドが頭を抱えていた。


「サトル」


「なんだ」


「嫌な予感がする」


「なぜ」


 レオガルドは広場を指さす。


 そこでは――


 鬼人族(オーガ)の戦士たちがランタンを持っていた。


「筋肉!!」


「光!!」


「強そう!!」


 そして叫ぶ。


「祭りだ!!」


 レオガルドが言う。


「ほら始まった」


 次の瞬間。


 市場の中央で太鼓が鳴った。


 ドンドン!


 鉱人族(ドワーフ)が太鼓を叩いている。


「光祭りだー!」


 歓声が上がる。


 森猫族(フォレストキャット)

 兎人族(ラビットマン)

 蜥蜴人族(リザードマン)

 森人族(エルフ)

 鬼人族(オーガ)


 全員がランタンを持っている。


 市場が光の海になった。


 ミャルが叫ぶ。


「きれーい!」


 アルトが真顔で言う。


「文化が生まれた」


 サトルが腕を組む。


「またか」


 すると突然。


「問題だー!!」


 レオガルドが走る。


「サトル!」


「今度は何」


「城から苦情が来た!」


「城?」


 遠くに見える王城。


 その窓から光が見える。


 レオガルドが言った。


「光が眩しくて眠れないそうだ」


 サトルは空を見た。


 市場は完全に昼のようだった。


「明るすぎるな」


 ミャルが言う。


「楽しい!」


 アルトが言う。


「文明の進歩」


 ガルドが言う。


「肉が見える」


 レオガルドが言う。


「城が怒る」


 その時。


 静かな声が響いた。


「面白い」


 全員が振り向く。


 そこにいたのは――


 白い衣の男。


 天人族(セレスティア)だった。


 市場でもほとんど見ない種族である。


 ミャルが小声で言う。


「天人族……」


 アルトが驚く。


「珍しい」


 天人族(セレスティア)の男はランタンを見て言った。


「この光……」


 そしてサトルを見る。


「あなたが作った?」


「いや、地上の商品」


「地上?」


 男は微笑んだ。


「面白い世界だ」


 サトルは肩をすくめた。


「便利な物が多いだけ」


 男はランタンを一つ買った。


「また来る」


 そう言って去っていく。


 ミャルが言う。


「なんかすごい人だった」


 アルトもうなずく。


天人族(セレスティア)は滅多に姿を見せない」


 レオガルドが言う。


「サトル」


「なんだ」


「お前、世界を変えてる気がする」


 サトルは笑った。


「ただの猫カフェ店主だ」


 その頃――


 地上の**森のカフェしっぽっぽ**。


 みどりが猫たちに言っていた。


「サトルさん、また騒ぎ起こしてそう」


 イチが言う。


「にゃ」


 きなが言う。


「にゃー」


 ジルはカーテンの影。


 トラは爆睡。


 チビは通路封鎖。


 ロンは大の字。


 地下ではサトルがメモを書いていた。


 次の商品。


 ・ソーラーライト

 ・キャンプランタン

 ・イルミネーションライト


 サトルはつぶやく。


「次はもっと明るくなるな」


 その瞬間、市場が叫んだ。


「光祭りだーー!!」


 異世界の夜は――


 ますます明るくなっていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ