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森のカフェしっぽっぽ  作者: 森のカフェしっぽっぽ


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14/30

第14話 筋肉ブーム来る

 翌日の夜。

 **森のカフェしっぽっぽ**の営業が終わった。


 最後の客が帰り、店内にはコーヒーの香りだけが残っている。


「ふぅ……」


 カウンターの中で、サトルは背伸びをした。


「今日も平和だったな」


 すると後ろから声がする。


「サトルさん」


 ウェイトレスのみどりだ。


「なんだい」


「昨日も地下行ってましたよね」


「行ってたな」


「怪しいことしてません?」


「してない」


 即答だった。


 みどりはじっとサトルを見る。


「本当に?」


「本当に」


「地下に誰か住んでるとか」


「住んでない」


「密輸とか」


「してない」


「異世界とか」


「……」


 サトルは咳払いした。


「戸締まり頼む」


「話そらしましたね」


 みどりが呆れている間に、サトルは地下へ向かった。


 階段を降りる。


 すると当然のように後ろから足音がついてくる。


「にゃ」


 イチ。


「にゃー」


 きな。


「にゃ……」


 ジル。


「にゃあ!」


 トラ。


「……」


 チビ。


「わん」


 ロン。


「お前ら完全にレギュラーだな」


 サトルは苦笑しながら地下の扉を開けた。


 ギィ……


 その瞬間、空気が変わる。


 そこは異世界の市場。


 夜なのに人――いや**異世界人**で賑わっている。


 サトルの姿を見た瞬間、叫び声が上がった。


「サトル来たーー!!」


 走ってきたのは猫耳少女。


 森猫族(フォレストキャット)のミャル。


「持ってきた!? あれ持ってきた!?」


「落ち着け」


「肩ブルブルのやつ!」


「正式名称マッサージ機」


 すると後ろから声がする。


「サトル」


 ローブ姿の青年。


 魔導士族(メイジ)のアルト。


「今日は新しい商品があると聞いた」


「ある」


 サトルは段ボールを置いた。


 ガサガサ。


 中から出てきたのは――


 **腹筋ローラー**。


「これは何だ」


 ミャルが聞く。


「筋トレ器具」


「筋トレ?」


「体を鍛える」


 すると後ろから巨大な影が現れた。


 牛鬼族(ミノタウロス)のガルドだ。


「鍛える?」


「そう」


「俺の出番だな」


 サトルはローラーを床に置く。


「こうやる」


 ゴロゴロ……


 前に転がして戻る。


 ミャルが目を丸くする。


「それだけ?」


「それだけ」


 ガルドが挑戦した。


「ふん」


 ゴロッ。


 その瞬間。


 ガルドの顔が歪んだ。


「……!」


 プルプル震える。


 戻れない。


 倒れる。


 ドーン!!


 市場が揺れた。


「弱っ」


 ミャルが言った。


「違う」


 ガルドが起き上がる。


「これは……効く」


 アルトが言う。


「魔力を使わず肉体を鍛える……」


「そう」


 そこへ小柄な男が来た。


 鉱人族(ドワーフ)のバルド。


「面白そうだな」


 挑戦。


 ゴロッ。


「……」


 プルプル。


 バタン。


「無理だ!!」


 すると観客が集まる。


 蜥蜴人族(リザードマン)

 森人族(エルフ)

 兎人族(ラビットマン)


 皆興味津々だ。


 森人族(エルフ)の女性が言った。


「美しい体を作れるの?」


「作れる」


「買う」


 即決だった。


 蜥蜴人族(リザードマン)の商人も言う。


「戦士の訓練に良い」


「買う」


 気づけば――


 **筋トレ大会**が始まっていた。


「ふん!」


「ぐぬぬ!」


「戻れん!」


 市場が筋肉の叫びで満ちる。


 ミャルが言う。


「ミャルもやる!」


「無理だろ」


「できる!」


 ゴロ。


 戻る。


 成功。


「え」


 全員固まる。


 アルトが言った。


「軽いからだ」


「それ言うな!」


 ミャルが怒る。


 すると突然――


「筋肉!!」


 叫び声がした。


 振り向く。


 そこには――


 巨大な男。


 鬼人族(オーガ)の戦士。


「鍛える道具だと聞いた!」


「そうだ」


「全部買う!」


「全部!?」


 段ボールを抱える。


 十個購入。


 サトルは目を丸くした。


「まいど」


 その時。


 レオガルドが走ってきた。


 狼騎士族(ウルフナイト)


「サトル!!」


「今度は何だ」


「鍛錬場が混乱している!」


「また?」


「お前の道具のせいだ!」


 見に行く。


 そこでは――


「筋肉!!」


「鍛える!!」


「もっと!!」


 **筋トレ祭り**だった。


 アルトが言う。


「異世界に新しい文化が生まれた」


 ミャルが言う。


「筋肉文化!」


 レオガルドが言う。


「原因はサトル」


 サトルは腕を組む。


「腹筋ローラー強いな」


 その頃。


 地上の**森のカフェしっぽっぽ**。


 みどりが猫たちに言っていた。


「サトルさん絶対変なことしてますよね」


 イチが言う。


「にゃ」


 きなが言う。


「にゃー」


 ジルは震えている。


「にゃ…」


 トラは寝ている。


 チビは通路を塞いでいる。


 ロンは大の字だ。


 地下ではサトルがメモを書いていた。


 **次の仕入れ**


 ・プロテイン

 ・ダンベル

 ・ヨガマット


 サトルは呟いた。


「次は筋肉ドリンクかな」


 この時まだ誰も知らない。


 **異世界に筋肉宗教が生まれることを。**


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