4→6?
「うわ、浮気?いや違う、うーん浮気?」
確かに最初は愛の事があって付き合わなかったけど。でもいなくなって二年。連絡も取れなかったし浮気ではないよね?でも正式に別れた訳じゃない。それなら愛とはまだ恋人で、恋人が浮気というなら浮気なの?
「ごめん冗談。二年も連絡とっていないのに私にどうこう言う権利ないから」
「うん、そうだよね…」
「恋人の事聞いてもいい?」
「うん、今3人と付き合っているの。虚雨と枯花と否穂と。まずね」
「ごめんちょっと待って。3人って言った?今3人と付き合っているの?二年間で人と付き合った訳じゃなくて?」
「うん。今3人と付き合っているの」
「わー。そう、モテるんだね」
「そ、そうかな」
「3人と付き合っていてモテないって言うならイヤミだよ。恋人の為にもそこは堂々としないと」
「確かにね。私はモテる!」
「その意気だよ。一応聞くけど催眠で重婚とか出来るようにした?」
「してない」
「やっぱそうだよね。そっかー人と付き合っているのかー」
「なんでにやついているのさ」
「悲愛がモテると嬉しいなって」
「本当に言っているの?」
「勿論だよ。自分が好きな人がモテるのは嬉しい事だよ」
それってどう捉えればいいの?喜べばいいの?それともモテて恋人がいる事を喜んでいるって事はもう私はそういう対象じゃないって事?いやでもついさっきまた付き合おうって言ったよね?そもそも恋理とはどうなったの?
「あのさ、恋理とはどうなったの?」
「恋理と?ああそうだよね。二年間も一緒にいたからね。何度も告白された」
「…そうなんだ。じゃあ今は恋理と付き合っているんだね」
「え?違うよ。付き合ってないよ」
「付き合ってないの!二年間一緒にいたんでしょ。それで何回も告白されて付き合わないって気まずくなかった?」
「私はちょっと気まずかったけど恋理はそんな事気にしないし。それに異世界で色々集めて私の考えをどうにか変えようとしていた」
「…そうなんだ」
恋理らしいけど流石に本人の前で気にせずそういう事するのはやめなよ。
「正直ね迷ったの。私は恋理の事も大好きで愛しているから。ただ、それは悲愛に抱いている物はちょっと違う気がしていたの。でもずっと一緒に居て色んな危険を乗り越えていく内に変わっていった」
「ならなんで付き合わなかったの?」
「付き合わなかったんじゃなくてね、私が条件を出したの」
「条件って何?」
「二年待ってって」
「なんで二年?」
「特に理由は無かったの。しいて言うなら悲愛が待っていてくれるとしたらそのくらいかなって」
「えっとごめん」
「謝らないでよ。悲愛は何も悪くないんだから。それにね、悲愛のおかげで帰ってこられたしね」
「私のおかげ?」
「一ヶ月くらい前にこの世界と私達がいた世界が繋がったの。なんて言えばいいのかな。異世界を移動するには座標が必要になるの。恋理が途中でまた次元を超える機会を作ったんだけど私達はこの世界の座標がわかっていなかった。だから帰って来る事が出来なかった。だからいろんな世界を渡りながらなんとかこの世界に戻る方法が無いか探していた。そんな時だったの。私達が拠点にしていた世界に一瞬だけ歪が生まれた。それを調べた結果異世界の扉が繋がった結果だってわかった。だからそこを調べてこの世界の座標を見つけたの。送ったメールは本当に繋がるか実験した時に送った物」
「そうなんだ。すぐ消えたから失敗したんだと思っていた」
「多分もう異世界の扉自体が劣化してきているんじゃないかって恋理が言っていた。特殊な技術で作っているからもう次元を繋ぐ力が無くなってきていて長時間繋がらなかったんじゃないかって」
「そっか。まあ糸識さんもここ一年使ってなかったって言っていたから知らなかったんだね」
「最初は糸識さんが開いたのかと思っていた。でも違った。悲愛が繋いでくれた」
「偶然だよ」
「そうだね。奇跡みたいな偶然だよ。何億、何兆、何京分の一、ううんきっともっと奇跡的な確率を悲愛は引いてくれた。だから奇跡で運命だよ」
「私もう会えないんだって思っていた。諦めていた。だから成功していてよかった。もう一度愛に会えて本当に良かった」
「私も。もう一度会えて本当に嬉しい。悲愛のおかげで帰ってこられたし提案も出来る」
「提案って?」
「私が恋理に出した条件は二年の内に帰れたら悲愛に提案をする。それを受け入れてくれたらそれでいい」
「その提案って何?もし私が受け入れなかったらどうするの?恋理と付き合うの?」
「それは言わない。悲愛に全ての責任を押し付けたくないから。今も少し嫌な気分になっているでしょ。私の事を利用して2人は付き合うのとか」
ばれている。それは考えちゃうよ。
「ごめんね。聞いて欲しいの」
「わかった。話して」
「うん。悲愛。私と恋理と付き合おう」
「………うん?」
「私と恋理と恋人になって欲しい」
「えっと、えーっとうん」
「それってオッケーって事?」
「あ、待って。今愛が何言っているのか処理しきれていない」
「私ね、悲愛が3人と付き合っているって聞いた時にね良かったって思ったの。悲愛にもう数人恋人がいるなら私と恋理を受け入れやすくなるんじゃないかって」
「そうだよ!もう私には3人付き合っている人がいて」
「それはさっき聞いたよ。別にいいじゃん。皆で付き合えば」
「え?」
「悲愛は恋理の事は恋愛対象として見られない?」
「わかんない…。そういう目で恋理を見た事はなかったし」
「そっかじゃあ試しに付き合ってみようよ。6人で」
「6人で?」
「そう。私と悲愛と恋理そして今悲愛が付き合っている3人、虚雨さんと枯花さんと否穂さん。6人で付き合えばいいじゃん」
「本当に言っているの?本気で?」
「勿論本気。私は悲愛ならみんなとうまくやっていけると思うし、6人で上手くやって行けるって思っている」
「私はそんなに器用じゃないよ。今だって一杯一杯だから」
「まあ確かにね。でも器用とかそんなの関係ないと思うの。悲愛は一緒にいたいと思わせてくれるし誠実だし守りたいって思わせてくれる。その上で皆の事も大切にして守ろうとしてくれている」
「そんな事無いと思うけど」
「私はあると思っているよ。私と恋理が仲良くなれたのも悲愛がいたからだと思うの。私は恋理を求めてきたけれど悲愛がいなければきっと上手く行っていなかった。悲愛の名前にさ、恋と愛の字が入っているのは運命だと思うの。悲愛が愛と恋理を繋いでくれた。そう思っている。私は人と会ったことは無いけど、何で悲愛の事を好きになって四人でいられるのかはわかる気がするの。それで悲愛は恋理と付き合うのは嫌だ?勿論今すぐ結論出す事じゃないけどさ」
「…嫌じゃないと思う」
だって恋理は私にとっても憧れだもん。ずっと恋理の事は凄いって。何で一緒にいてくれるんだろうって。恋理と付き合う事を考えていなかったのは愛と同じで私なんて釣り合っていないって考えていたから。
恋理と付き合うのは大変だと思う。自分勝手だし何をしたがるのか予想が付かない。それでもきっと楽しいし、幸せだと思う。
「…3人が許してくれるなら、恋理がそれでいいって言うなら付き合う」
「絶対大丈夫だよ」
そう言って笑う愛の笑顔は女神みたいだった。その笑顔を見てまた恋人になれる嬉しさと、勝手なことを言われた事に少し納得できない感情で。私は少し愛にお願いする事にした。
「ねえ、付き合う前に一つだけお願い聞いて欲しい」
「勿論。何?」
「告白して。もう一度。改めて」
「え?告白?」
「そう。私達って一度別れたような状態でしょ。もう一度付き合うならちゃんと告白して欲しい。愛からもう一度告白して欲しい」
「ちょっと恥ずかしいかも」
「…私はずっと寂しかったし頑張ったんだよ。勝手にいなくなったのは愛だしさ」
「…まあそれはそうだね。わかった」
そういうと愛はゆっくりと近づいてきた。
え?今告白してくるの?
「ちょっと待って、今?」
「そうだけど」
「待って覚悟が出来てない!」
「言い出したのは悲愛だよ」
「そ、そうだけどさ、雰囲気とかシチュエーションとか」
「じゃあ今一度告白して悲愛の言ったシチュエーションでもう一度告白する」
「え?えーえー」
「私は悲愛と今すぐ付き合いたいしちゃんと付き合いたい。悲愛の言う事は最もだと思う。だから告白する。ここで」
「わかった、わかったから。ありがとう。嬉しいよ。でも今告白してくれればそれでいいから」
「やだ。折角悲愛に告白する。だってこんなチャンスなかなかないし。悲愛は理想のシチュエーションと言葉を考えておいてね」
「えー恥ずかしい、やめよ」
「やだ」
愛は私の抵抗をあっさりと切り捨てて近寄ってくる。顔が近い。見とれてしまう。というか私顔洗った後過ぎ寝ちゃったし大丈夫かな?寝ぐせとかもろもろ。肌の調子も最近悪いし。そんな私の思いは当然伝わらず目の前が愛の顔だけになった。
「ねえ悲愛」
「はい」
「私はあなたの事が大好きです。ずっと昔から大好きでした。この思いは二年経って前よりも大きくなっているの。二年間消える事はなかった。私ともう一度付き合ってください」
「はい。嬉しい。私も好きだよ愛」
「ねえ、キスしていい?」
「ダメ」
「何で?私達付き合い始めたんでしょ。いいじゃん。二年前は何回かしたじゃん」
「昨日の夜から歯磨きしてない!それにさっきパン食べたばっかりだし、それも焼きそばパンだよ。出来る訳ないじゃん、んむ」
唇に柔らかい感触が触れる。言葉は途中で終わらせられて続きを紡げない。ほんのり暖かい。
触れあっていた時間は多分数秒も無かったと思う。けど私には数時間は経っていた気がした。
驚きと嬉しさと色々な感情が混ざって固まってしまった。
「これならいいでしょ」そう言って笑った愛に対して顔を赤らめながら頷くことしか出来なかった。




