表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/27

友達と話をすると何となく気が晴れるよね

「あ、こっちだよ」

 元気な声に呼ばれ振りむくとそこには約束の相手、糸識(いとしき)さんが居た。

 学校近くのカフェ何度か否穂(いなほ)達と行こうと話していたけれどまだ行けていなかった場所。まさか私だけ先に来ることになるなんて。でもケーキとか美味しければ次は皆で来よう。

「急にごめんね。用事とかなかった?」

「大丈夫だよ」

 確かに昨日の夜いきなり連絡が来て遊びに行こうと誘われた時はびっくりした。中学の時に連絡先は交換していたけどそこまで交流があった訳じゃない。だから正直忘れていた。ロインにメッセージが来た時誰かわかんなかったし。それでも誘われたのは嬉しかった。だって私は彼女が。

 まあ今日も催眠災害に巻き込まれてこんなへとへとになるなんて思っていなかったけど。正直行くのを止めようかとも思ったけれど約束していたし誘われた事も素直に嬉しかった。

 ショートケーキと紅茶を頼んで来るのを待っている間にこれまでの事とか中学の時の事とかを話して、頼んだメニューが来たので私は紅茶を飲んだ。昼間の疲れでのどか湧いていたし。そのタイミングを見計らったみたいにとんでもない質問が来た。

悲愛(かなえ)は恋人居るの?」

「いきなりだね」

「むせた?」

「むせてない。大丈夫」

 むせかけたけど。何とか耐えたからセーフ。

「それでどうなの。居るの?」

「まあね。いるけど」

 三人いるとは言えない。

「そうなんだ。残念かも」

 え?残念ってどういう意味?聞きたいけど聞けない。

「それでさ悲愛は世界平和についてどう考えているの?」

「…それ何の冗談?」

「冗談じゃないよ。最近女子高生の間じゃ世界情勢の話題が流行(はやり)でしょ」

「それなら私の高校はすごく流行からずれていることになるね」

「ま。流行っているのは嘘だけど。悲愛はどう思うの?」

「どうって言われても話題が大きすぎてよくわかんないんだけど」

「じゃあこれならどう?悲愛がさ、明日凄く偉い人になって世界の全てを決められるとしたら何する?」

「何もしないかな」

「えーなんで?何でも決められんだよ?」

「だって怖いじゃん。私だけの判断で世界の事を決められるなんてさ」

「勿体ない」

「勿体ない?」

「だってそうじゃん。何でも出来るのに何もしないなんて我儘だよ」

「わ、我儘」

「そうだよ。だって何も出来ない人が何もしないのは当たり前だけど出来る人が何もしないのは怠慢じゃん」

「え、うーんそうかなあ。私は何でもできるからって好きにやる方がおかしいと思うけど」

「うん、わかった。まあいいや。悲愛は恋人のどんな所が好きなの?」

「え?どんなとこって…。待ってそれ話さなきゃ駄目?」

「えーいいじゃん教えてよ。惚気話は聞かせて」

 そうは言われても誰の事を言えばいいの?三人とも私にはない魅力があって。それなら三人共通で思っている事を言えばいいか。

「私の側に居てくれる所。私が苦しい時に何度も助けてくれた」

「ふーん。それが好きな所?」

「うん。他にも沢山あるけどね」

 本当に沢山。

「今度はそっちの事聞かせてよ」

「ん?私が恋人に求める事?」

「そう。そもそもいるの?」

「いないね。私は特別な人が好き」

「特別な人?」

「そう。私の持ってない物を持っている人。一緒に居るだけで自分が特別になれるような人」

「よくわかんないな」

「そう?悲愛ならわかると思ったんだけど。まあいいや。悲愛が私の事好きだったのは私があなたに寄り添ってくれそうだって思ったからなの?」

 そう聞かれて私は今度こそ飲んでいた紅茶を噴き出してしまった。

「え?な、何言って」

「誤魔化しても無駄だよ。私気がついていたんだから。私、自分に向けられる好意にはすぐ気がつくんだから」

「そ、そうなんだ」

 嘘でしょ!恥ずかしすぎるんだけど!

「悲愛の想いには気がついていたんだけどさ、私好きな人いたし。告白されてもないのに振るのも変な話じゃん。ごめんね」

 やめて!謝んないで!ただでさえ恥ずかしいのにそんなこと言われたらもう逃げたい。話変えないと!

「ね、ねえ好きな人居たって事はその人特別だったって事だよね!どんな人だったの!」

「んー秘密」

「秘密なの?」

「うん。秘密。まあ凄く特別だった。だから好きだった」

 好きだった。という事は今は違うって事だよね。何があったんだろう。気にならないと言えば嘘になるけど流石に聞く訳には行かないし。

「ちなみにね、今の悲愛は結構好きだよ。付き合ってもいいくらいにね」

 さっきから気軽にとんでもない事を言うの止めてくれない?もう噴き出すお茶無いからセーフだったけどさ。

「それ本気?」

「まあね。でも付き合わないけど」

「え、ええー」

 いきなりとんでもない事言われていきなりフラれたの?

「だって悲愛は恋人居るんでしょ。私二股とか絶対やだし。するのもされるのも。だって恋人なら特別でありたいじゃん。お互いに」

「あ、はい」

 それはそう。普通はそう。本当にそう。当たり前だよね。ちょっと悲しいけどこれ以上恋人増やすなんて不誠実な事する訳にも行かないしね。

「そういえば最近知ったんだけど」

 もう話題が変った。この辺りも変わらないなあ。何となく懐かしくなる。数年前の事が懐かしくなるなんて年取った気がして少し嫌になる。

 その後はまた最初みたいに雑談して別れた。何となく気分がすっきりした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ