第二話
「ハッ! ロリータ!? ってここは……どこだ?」
寝起き早々、ロリへの愛情が溢れてしまったが本当にここどこやねん? 見渡す限り森、森、森……。
より一層なぜこんなところにいるのかわからなくなったが、そういえば異世界に転生したんだった。つまりここは異世界なのだろう。
ここは流れ込んだ記憶によると……ここはモコリヌス王国の『光丘の樹海』だろう。薄く光っている樹木が特徴的な樹海なのだが……光ってるな、木。
もらった知識は便利なんだけど……辞書とかに乗ってそうな一般常識とかしかないから社会情勢とか市民の意識やら感覚やらがいまいち把握できないんだよなぁ。
そして『光丘の樹海』はB+級に認定されている高危険度区域なんだけど、なんでこんな場所がスタート地点なんだよ!?
そう叫びたい気分になって悶えていると、ふと一つの考えが頭をよぎった。考えれば考えるほど『そうに違いない』と思えてきた。その考えとは——
この状況はフーリ様の期待の表れなのでは? と。
フーリ様は俺に期待していると言ってくれた。つまり俺ならこの環境でもどうにかしてやっていけると、俺なら問題ないと思っているに違いない!
「フハハハ!! 魔物は皆殺しだァァァァァ!」
レベル上げもしないといけないし、生きるために食料も探さないといけない。そのため魔物狩りを行う。
【隠密Lv4】スキルを使い、気配を消したあと【追跡Lv3】スキルを使いそこら中にある魔物の痕跡を辿って魔物を見つけ出す。ひとまず木についている引っかき傷を追跡し、その魔物の居場所を特定した。【追跡Lv3】スキルは痕跡からその痕跡の持ち主の居場所を特定。または身体接触した相手の位置をを3時間の間把握することができる。するために20分ほど歩くとそこにいたのは醜悪な面をした二足歩行の豚。
「オーク……!」
こいつはファンタジーものの小説の定番モンスターだが、俺は嫌いだ。なぜなら……。
「ロリに手を出すのは万死に値するッ!」
さぁ。料理の始まりだ。
【キッチンLv1】スキルの効果である『規定の調理器具を生成する』という効果で『キッチン印の下級包丁』を生成する。
『キッチン印の下級包丁』
武器種:『包丁』、『短剣』
STR:300
AGI:30
装備条件:『DEX100』、『料理時のみ』
装備スキル:【不壊】、【切れ味増加(小)】
詳細:【キッチン】スキルによって作られた下級の規格に当たる包丁。下級・中級・上級・超級・天級までの規格が存在する。
そしてオークの背後から【料理術Lv3】スキルによる『料理系統スキルへの補正』を乗せた一撃を放つ!
「死に晒せぇぇぇぇぇ! 【輪切り】!」
上から下に振り下ろした『キッチン印の下級包丁』の斬撃でオークの背中をバッサリ切った。派手に血を撒き散らし、倒れ伏すグロテクスな姿に吐き気を催すが根性で我慢する。弱肉強食で死ぬのが割と当たり前のこの世界ではこの程度のことで泣き言言っていられないし、こっちも生きるために必死なんだから勘弁してほしい。
武器のステータス込みでの【料理の業Lv1】の技である【輪切り】でも仕留めきれなかったのか、まだ少し動いている。そんなオークの心臓めがけ包丁を思いっきり突き刺すと動かなくなったので、おそらくヤったのだろう。
するとレベルが上ったのか身体がやけに軽く感じる。
「いやぁ、【愉悦の料理】スキルって本当に強いなぁ。この仕様法が想定されているとはいえ他のことにも悪用できそうなのがなんとも……」
そう、先程オークと戦ったときに料理系統スキルが使えたのもコレのお陰であり、本来【キッチン】スキルも【料理の業】スキルも料理時のみ発動できるもので戦闘では使えない。正確には【料理術】が発動中に使用できるのだが、料理時のみ発動なので実質ほかの料理系統スキルも『料理時のみ発動できる』という条件になるのだが、そこで【愉悦の料理】によってその条件をなくしたのだ。
料理系統スキルには戦闘に使えればだいぶ優秀なスキルが揃っていて【輪切り】は包丁を振り下ろして切り裂く攻撃なのだが、振り下ろす速度が恐ろしく速い。さらに少しでも切られれば、相手のVITにもよるが掠っただけでなぜか相手を真っ二つにできる。食材を切るためのスキルだから戦闘することを想定していないのでとんでも性能になってしまっている。
そしてこの先にはさらに悪用できそうなスキルが揃っているので楽しみにしておこう
「それで、コレどうしようか……」
『俺、解体する方法とか知らないんだけど?』と思いながらどうしようかとオークの死体を見ながら固まっていると脳に【料理術Lv3】の効果でオークの解体法が理解できる様になってきた。
「解体しないと料理できないもんな……。でも最低限の知識だけだから、解体専用のスキルが他にあるのかな?」
……ということでなんとか包丁を使って解体してみたが、これがもう大変だった。【料理術】スキルでは解体の知識しかくれないので、スキルの補正無しでの解体を行わなければならず、四苦八苦しながら頑張って解体してもそこまでうまく解体できなかった。
しかも解体する上では必ず避けられないことがある。そう、内臓だ。先程まで生きていた肉を切るだけでも気分が悪かったのに、内蔵を見たり切ったりしたせいで何回も吐いてしまった。幸い慣れればどうとでもなりそうではあるが、なれるまでが大変そうなので『未来の俺、頑張ってくれ』としか言えない。
また、解体したときに心臓のあたりに入っていた魔物特有の器官、魔石も入手した。オークは無属性だったので透明だが魔物の属性によって色が変わるらしい。魔物とは魔石が存在する生物の名称で、気性が荒いため討伐対象になっている。そして魔物から得た魔石には量に差異はあれど魔力が含まれており、それを利用することで魔道具……地球で言う家電などの機械のエネルギー源にすることができる。
「とにかく、肉も手に入ったし焼くしかないだろ。まぁ、今は調味料がないから味付けのない質素なものになるけど……」
『でも、水や火がないじゃないか!』と思うかもしれないが、そこで役に立つのが【料理魔法Lv1】なのだ! なんとこのスキルはレベルが1の状態では戦闘では全く使えない上に悪用できそうもない。何故ならできることが『火種を出す』、『水を出す』の2つだけだからだ!
ただ、戦闘では全く使えないが今のような状況には最適! 火種と水さえあればとりあえずは生きていくことができる。いやぁ、コレがなかったら正直詰んでたな……流石に水無しで人は生きていけないし、オークに生肉なんて食いたくねぇ。
「それじゃあ、調理しようか」
木の枝を集めて【料理魔法Lv1】の【点火】で着火、そしたら初の魔物肉で怖いので少し長めにオーク肉を炙って完成。
「いい匂いはするが……味はどうなのかな?」
うーん、少し高めの豚肉(調味料なし)っていう微妙な味。肉肉しくて脂もあるけど、ちょっと……味気ないかな。
「この食事を続けなきゃならんのか……ハァ、ロリが恋しいなぁ」
そうしみじみと呟き、改めて決意をする。
「俺はロリを救う! ロリに仇なす者は皆殺しだ! だから……フーリ様、この俺にこの世の幼女達と出会えるチャンスを下さりありがとうございます!」
そうして、空を見上げ祈りを捧げたあとは肉の焦げる匂いで我に返り、黙々と大して美味しくもない肉を食べるのであった。




