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城から始まる異世界物語  作者: 紅蓮
異世界生活編
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7話 狩りと食事と男の子?


この世界に来て初めての夜になった。


結局のところ、キッチンも風呂もトイレも出来ていない。

それどころか、布団もない事に気がつき俺は焦っていた。


俺が、今日拾ったドロップ品で何ができるのか鍛治場で確認している間に、

ケインは食材を、ミーシャは料理を作る方法を探してくれている。


今日のドロップ品は鉄と石材と木材、そして何かの種が3種類、後は何に使うかわからないアイテムが何個かあった。

まずは、種を鑑定スキルで確認すると、米と綿と野菜の種の3種類だった。


外の城壁と内側の城壁の間に畑が作れそうなスペースがある。


もう外は暗いが、やるしかない。


光魔法の『ライト』で辺りを照らして、とりあえず、建設スキルで畑を作る。

その後、鍛治場に戻り、畑を耕すために製造スキルで鉄と木材を使ってクワを作る。

そして、耕した土に米と綿と野菜の種を巻き、水魔法の『ウォーター』で水を撒く。


ところで、米って畑でもできるのかな?

日本なら、絶対に田んぼで作らないと無理だろうけど、ここは異世界だからもしかしたら?


なんて思いながら、残りのアイテムを鑑定スキルで確認する。

アイテムは肥料ポーションと回復ポーションだった。


肥料ポーション?

なんて、ご都合主義なアイテムなんだろう?


まぁこれも、異世界あるあるという事にして、畑に蒔いてみる。

すると、蒔いた種が一気に成長し始め、1時間ほどで収穫可能になった。


まずは、綿を収穫して鍛治場で布団を製造しようと思ったのだが、

糸と羽毛が足りない……


今から狩りに行くか……


米と野菜の収穫を、回収スキルのあるケインにお願いして、俺は森に向かう。


羽毛は鳥モンスターから、糸は蜘蛛モンスターからドロップするらしい。


昼に森に入った時は、すぐにミーシャを助けて森を出てしまったので、モンスターはゾンビしか見ていない。

鳥や蜘蛛のモンスターなんているのかな?


そう思いながら、森の中を散策しながら対象のモンスターを探す。

すると、木の影に蜘蛛のモンスターを見つけた。


すぐさま、蜘蛛に向けて右手を突き出し『ファイヤ』を唱える。


木に燃え移らないように中火ほどの火力で攻撃すると、蜘蛛は泡になって消えて行く。


そうやって、周辺の蜘蛛モンスターを倒してドロップさせていると、

今度は、木の上にフクロウのモンスターを見つけた。


向こうは気がついていないらしい。


そっと右手を突き出しフクロウに狙いをつけて、魔法を唱えようとした瞬間、反対方向から矢が飛んで来て、フクロウのモンスターに直撃して泡となって消えて行く。


「今の何?」


すると、思わず声を出してしまった俺に向かって、矢が飛んでくる。

俺はすかさず、体を捻ってそれを躱すと、矢が飛んで来た方向を見る。


「僕の矢を避けるのか!!!」


今度は向こうから驚く声が聞こえた。

俺はその一瞬を見逃さず一気に間合いを詰めると、弓を構えている男の子に蹴りを入れる。


だが、武闘のスキルがない俺の蹴りでは致命傷にならない。

しかし、男の子はその一連の動きに驚いて気絶してしまった。


気絶している子を観察すると、鎧を身に付けていて、オレンジ色の髪の毛で、頭には角が生えており、背中には翼、お尻には鱗がある尻尾が付いていた。


とりあえず、敵なのか味方なのかわからないので、

周辺のフクロウを狩りながら男の子が目を覚ますのを待つ。


しばらくすると、うーんと言いながら目を覚ます。


「気がつきましたか?」


俺が声をかけると、また驚いて気絶しそうになる。

また倒れられると待つのが面倒なので、体を捕まえて揺らす。


「すみません、人に会うのが数時間振りで」


うん、間違いなくこの人も迷い人だ。


「夜も遅いですから俺の城に来ませんか?」


ドロップ品は十分集まったので、もう暗いから、この人も城に連れて帰ろうと思い招待してみる。


すると


「え?いいんですか?実は、自分の城の場所がわからなくなってしまって困っていたのです」


と、ここでも迷っていた……


2人で城に向かって歩きながら話をする。


「俺の名前はリブ・クロート、人間の生産職です。

この先の城で盟主をやってます。よろしくお願いします」


今回はしっかりと俺の方から自己紹介をする。

相手が男の子なら、ミーシャの時の様にドキドキしない。


すると男の子も自己紹介をして来た。


「僕の名前はギートです。龍人で狩人です。ちなみにこんな感じですが女です」


俺はかなり驚いた!!


てっきり男の子だと思っていたのだが、まさかのボクっ娘だったのだ。

今更無言になるのも逆に気まずいので、色々事情を聞きながら歩いた。


やはり、ギートも日本からの迷い人だった。

気がついたら城にいたらしい。


すぐに逃げたかったが閉じ込められてしまったので、登録だけしてすぐに飛び出して来たのだが、

森の中を彷徨っているうちに、夜になってしまい自分の城の場所がわからなくなった。

との事だった。


そうこうしていると、森を抜けて陽炎城に辿り着く。

前回は城門の前でモンスターに攻撃されたので、今回は警戒しながら、慎重に城門まで行き無事に中に入る。


「おかえりなさい」


内門をくぐるとミーシャが立っていた。


「ただいま」


俺もその挨拶に返す。


「あら?リブ様、そちらの方はどなたですか?」


ミーシャは微笑みながら、俺の後ろにいるギートに気がつく。


「彼女はギート。俺達と同じ迷い日本人だよ」


龍の風貌のギートが俺の前に出て、ミーシャに挨拶しようとすると、城の玄関にケインの姿が見えた。


「とりあえず城の中で話をしよう」


ちょっと残念そうなギートと、その姿が面白かったのか笑っているミーシャと一緒に、

ケインの元へと向かう。


玄関まで行くとケインが頭を下げている。


「おかえりなさいませリブ様。お米と野菜の回収は終了して、ミーシャさんの作った晩ご飯が出来ております」


なんか参謀というより、執事のようになって来たな……

と思いながらケインに「ありがとう」と声をかける。


ケインも俺の後ろにいるギートに気がついたが、とりあえず中に入る事を優先した。


大広間に3人分の食事が用意されていた。

それを見たケインがあっと気がつく。


そう、ギートの分がないのだ。

まぁ出かける時は1人だったのに、

帰って来たら2人になっていたのだから仕方ない。


「すぐに用意します」


ケインとミーシャは慌ててキッチンに向かって行く。


そこで俺は不思議に思った。

ここのキッチンはまだ何も出来ていないはずなのだ。


カマドもなければ鍋もない状態のはずなのに、どうやって食事を作っているのだろう?


そう思い、こっそりキッチンを覗くと、ケインとミーシャはどこから持って来たのか

コンロの用な物と鍋とフライパンで料理をしていた。


「コンロとフライパン?」


思わず声を出してしまった俺の方に、

2人が『見〜た〜な〜』みたいな感じで同時に振り返る。


思わず『きゃー』って言いそうになるのをグッと堪えていると


俺が狩りに出かけている間に、研究所にあった素材で開発してみたらできたのだと、

ミーシャが笑顔で答えてくれた。


開発スキル恐るべし!!


そしてギートの分の食事が出来上がり、4人で食べながら話をする事になった。


「私はケインと申します。リブ様の参謀をさせて頂いております」


ケインが相変わらず律儀な物言いで挨拶をすると


「私はミーシャよ。リブ様の同盟で研究者をさせてもらっています」


とミーシャが自己紹介した。


「僕はギートと言います。龍人で狩人をしています。こう見えても女です」


とギートも恐縮気味に自己紹介して、その後は帰り道に俺が聞いた話をもう一度2人にしている。


「それでしたら、ギートさんもリブ様の同盟に入られる事をお勧めします」


ケインがあっさり勧誘をすると


「是非、お願いします」


とギートも簡単に受け入れている。


俺はそんな会話を聞きながら、そんな感じでいいの?と思ったが、

本人がいいのだから敢えて気にしないようにした。


「じゃあギートは矢塔の担当官で」


俺の本が光ると、ギートの体も光出しあっという間に射撃兵の鎧に身を包む。

そしていつもの地震が起きる。


その後、食事の片付けをして、何が出来たのか見るために城下町に出てみると、

外側の城門を挟むように2つの塔が完成している。


物見櫓のようなその塔頂上の前方側壁に狭間があり、 身を隠しながら弓が撃てるようになっている。


でもこれいつ使うんだろう?


今のところ、迷い日本人以外の人間に会った事のない俺達は、この世界に普通の人がいるのかさえわからなかった。


なので、籠城する時用の施設を何に使うのか、今の俺達には知る由もなかったのである。


ちなみに、ギートの城は罠の製造工場に変化していた。


ギートのステータスは


名前 : ギート

種族 : 龍人

職業 : 狩人(矢塔の担当官)

性別 : 女

基本スキル

弓装備、軽鎧装備、弩級装備、ワシの眼、チャージアロー、罠製造、索敵、

トラップ発動、風魔法使用、遠距離攻撃耐性、全魔法攻撃耐性

担当官スキル

射撃兵育成、射撃兵訓練速度上昇、対騎兵攻撃力上昇、射撃距離上昇、城壁射撃距離上昇

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