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城から始まる異世界物語  作者: 紅蓮
群雄割拠編
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70話 勇者現る

翌日、俺達は岩山の前にいた。

チャコとマガストールが偵察に行く予定の、近くにある城の方を見てみる。


すると、城の前に1人の男性が立っているのが見えた。


「あの人が城主なのかな?」


俺がそう言うと、4人も城の方を見る。


「そうみたいですが、何をしているのでしょう?」


チャコも不思議そうになるしている。


「とりあえず、全員で行ってみる?もしかしたら戦闘になるかもしれないし」


そして、5人でその男性の方に向かう。

何となく大丈夫そうだけど一応警戒しながら近づくと


「おはようございます。こんな朝早くから何をしているのですか?」


俺はその男性に声をかける。

男性はいきなり声をかけられて、一瞬固まるが俺達の方を見ると


「俺は、あいつが来るのを待っている。俺の城を燃やしたあいつに仕返しする為に」


と何やら復讐する相手を待っているみたいだった。

しかし、どう見ても弱そうだけど誰に復讐したいんだろう?


「そうなのですね?ところであなたはお1人ですか?仲間や配下はいないのですか?」


ミーシャが男性に尋ねる。


「仲間?配下?なんですか?それは?」


男性は意味がわかっていないみたいだ。


「えっと……もしかして、街もない?」


「街?城しか無いですが?」


おっと……これはもしかして……

誰に復讐するつもりなのかわからないけど、俺なら一瞬で倒せるな……

ミーシャ達4人も呆れている。


「あっ、すみません。俺はリブ・クロートと申します。マットという所で盟主をいています。失礼ですがあなたの名前を教えて頂けますか?」


「これは丁寧にありがとうございます。俺は、クリオといいます」


俺が自己紹介をすると、男性も返してくれた。

クリオと名乗ったその男性は、短めの黒髪で見た目に特徴は無いので、恐らく種族は人間だろう。


「それでクリオさん、リベンジしたい相手とは?」


「突然この世界に来たのだが、そいつは来たばかりの時に、いきなり軍隊を連れて城を攻撃してきやがった。だから、俺はそいつにリベンジしたいんだ。俺は、転生者だから今ならスキルもあるし絶対負けない!!」


もしかして日本人なのかな?

クリオは自分がチートスキル持ちの転生者だと思っているみたいだ。


これは中々の勇者が現れた!!

今までで1番すごい人かもしれない。


「えっと……もしかして日本人ですか?そうだとしたら、その転生者という認識は捨てた方がいいかと……」


俺は、クリオさんに教えてあげる。

多分、こちらに来たばかりでスキルを手に入れたので、俺TUEEEだと思っているならこっちの世界では破滅へのカウントダウンなのだ。


「確かに俺は日本からこっちに来た転生者だが?何故それを知っているんだ?」


クリオさんは転生者が自分しかいないと思っているのか、日本人という言葉に驚いている。


「それは、俺達も日本から来たからです。それに転生では無くて帰還なのです。なので今クリオさんが取得したスキルは初期スキルで、俺なら今のクリオさんなら1秒で倒せますよ?だからクリオさんがリベンジしたい人が、兵士を引き連れてきたレベルの相手だとすると、どれだけ戦っても負けると思います」


俺の言葉に声が出なくなって固まってしまった。

そして、しばらく考え込むと


「では、なるべく多くのモンスターを倒して、早く強くならなければいけない訳ですね?骸骨の集団や奇妙な格好のゴブリンのような奴なら負けません!!」


と、あまり見かけないモンスターの名前が出てきた。

俺は知らないモンスターだったので、ミーシャやチャコの方を見るとお腹を押さえながら、声を殺して笑うのを必死に堪えていた。


ノエルは下を向いたまま、肩を震わせている。

あの普段無口なマガストールでさえ、斜め上を向いて今にも吹き出しそうだ。


「どうしたの?」


俺は不思議に思い聞いて見る。

すると、ミーシャが俺の耳元に近寄ると


「リブ様、クリオさんが言っているモンスターは蜘蛛やフクロウより弱い雑魚モンスターです」


え?それって雑魚の中の雑魚って事では?

それに勝てると豪語されたら、それは笑うよな……

これは、教えた方がいいのか?


あっ!!そうだ!!

クリオさんを岩山に連れて行って、身をもって実力差を知ってもらえばいい。


こういう人は口で言ってもわからないだろうから


「クリオさん。もしよければ今から俺達と一緒に狩りに行きませんか?見学でいいですので」


「それはいい考えですね」


と、ノエルが俺の意見に乗ってくる。

クリオさんは少し考えると


「しかし……城が……」


と城から離れるのを渋っている。


「うちのチャコとマガストールにここにいてもらいますので、心配はいらないですよ?」


俺がそう言うと、クリオさんは岩山に行く事を承諾した。


「という事で、チャコ、マガストール頼むね」


「はい、お任せください」


そして、俺達は岩山に向かう。

相変わらず入口には、スカルドラゴンが寝ていた。


「おお!!これはいきなり大物ですね!!かなりの強敵でしょう?」


と、クリオさんはすごい興奮している。

が……ミーシャがスキルも使わずに一発殴っただけで泡になって消えていく。


「は?え?」


と、クリオさんは困惑した顔をしていたが


「大きいだけの雑魚でしたか」


と、物凄い勘違いをしていた。

そして、今回の目的である特大魔法石を採取しながら中腹まで行くとウェアウルフが姿を現す。


「こいつはかなり危険なモンスターですね!!」


またしても興奮しているのだが、俺達にとってはもう雑魚の部類だった。

なので、ここはクリオさんに戦ってもらう事にした。

職業も知りたいし丁度いいのだ。


「とりあえず、危なくなったら手を貸しますので」


「了解した!!では!!」


クリオさんはそう言うとウェアウルフに突進していく。

あれ?そういえば装備がないけど?


そう、クリオさんは初期の布の服に素手なのだ。

大丈夫かな?と心配して見ていると


『忍び足!!』


と、ウェアウルフの目の前で忍び足のスキルを使う。

なるほど、隠密なのか。

そう思っていると


『ダブルアタック!!』


とまさかの素手で殴りかかった。


「ちょ!!まっ!!」


俺は大声で叫んだ。

しかし、時すでに遅し……

次の瞬間、胸元をウェアウルフの爪でバッサリ切り裂かれてしまった。


ってそれはそうだよ!!

俺がそう思っていると


『ヒール!!』


とノエルの声がした。

ですよね……無謀にも程がある……


しかし、彼は諦めなかった!!

ノエルのヒールで回復すると、再度ウェアウルフに……


ってストーップ!!


この人なんでまた行けると思ったの?

自殺願望でもあるの?


俺は、クリオさんを後ろから羽交い締めにすると、そのまま引きずって後退させる。


「な……何を!!」


何を!!じゃないよ!!


「クリオさんじゃ勝てないです。ミーシャお願い」


俺がそう言うと、笑いながらミーシャが前に出る。

そして、ウェアウルフと対峙すると今度は向こうから突進してきた。


ウェアウルフは長い爪をミーシャ目掛けて振り下ろす。

ミーシャはそれを余裕で躱すと


『鉄拳!!』


とパンチをウェアウルフの背中にヒットさせる。

すると、ウェアウルフは泡になって消えていくのだった。


「は?」


クリオさんは言葉を失う。

そろそろ、実力差に気がついて欲しい。


「さて、ここのボスを倒して帰ろうか」


「え?今のはボスじゃないのですか?」


俺がそう言うと、クリオさんが目を丸くしている。


「今のはウェアウルフっていう中ボスですよ?ここのボスはマンティコアっていう奴です」


その言葉を聞いてクリオさんは黙ってしまった。

まぁ、自分が勝てないモンスターを目の前で一撃で倒された上に、それがボスじゃないって言われたら流石に気がつくだろう。


そのまま、頂上まで行くとあいつがいた。


「ライオンヘッド!!」


今度はミーシャが興奮している。

って……だからそれはマンティコアだって……


ミーシャが前にでると、ノエルもそれに続く。


「あれがボス……大丈夫なのですか?」


なんとなく、クリオさんの話し方が変わった気がする。


「うん、大丈夫ですよ。今のミーシャなら雑魚と変わらないでしょうし」


「え?あんなに強そうなボスが雑魚?」


クリオさんはもう大人しくなっていた。

そして、ミーシャとマンティコアの戦いが始まる。


『気功!!』


ミーシャの手のひらから、何かが飛び出すとマンティコアは翼を羽ばたかせ空に回避する。


『猛龍拳!!』


ミーシャの声と共に、空に向かって龍のような閃光が走る。

その閃光がマンティコアの体を貫くと、泡になって消えていくのだった。


「こんな一方的に……」


「あら?リブ様なら私達がパーティーじゃなければ倒せない、もっと強いボスも一撃ですよ?」


それを聞いたクリオさんは、俺を見ながら驚いている。

そして岩山は消えていく。


草原に戻った俺達は、チャコ達と合流すると帰る準備を始める。

クリオさんは呆然としたまま、俺達を見ていた。

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