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城から始まる異世界物語  作者: 紅蓮
群雄割拠編
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67話 その女性ワガママにつき

暗い部屋に1人、下を向いてぶつぶつ呟く男がいた。

彼の城に街はない。

施設はあるものの、配下の者はここにはいない。

彼は本当に1人きりだった。


城の外には草原が広がり、他には何もない。

ただそこにあるのは、強い顕示欲だけであった。


しかし、彼の配下達には、それを理解してもらえなかった。

故に、彼は配下達を捨て単身ここにいる。


配下達は、こちらの世界に来た時に偶然近くにあった城の者達だった。

彼は、その者達を攻撃して無理矢理配下にしただけに過ぎない。


そこには情もなければ、仲間意識など皆無なのだ。

それなのに、あの者達は人権を主張してきた。

彼はそれが気に入らなかった。

自分の下につく者に何かを言われる筋合いはないのだ。


そして彼は、その者達を捨ててここに転移してきた。


「俺の覇業の邪魔をする奴は、全て等しく敵だ。全てを駆逐してやる。そして俺がこの世界の唯一王になるのだ」


彼は、そう呟くとゆっくり目を閉じるのだった。



-----------------------------------------------------------



俺は、陽炎城の外にある小さい木の小屋の中にいた。

久しぶりに入った小屋のカウンターには大量のアイテムが置いてあった。


「メンバーが増えたのに、全く来てなかったから凄い事になってるな……」


別に忘れていたわけではないのだが……

本当に忘れていたわけでは……

忘れて……


すみません、すっかり忘れていました。

最近はやる事が目白押しで、小屋の存在自体を忘れていたのだ。


そこには、セシルやフラン達の初期装備や、お金、巻物、そしてパズルのピースが置いてあった。

俺に関係ありそうなのはパズルのピースだろう。

全てのアイテムを魔法のバッグにしまうと小屋を出て訓練所に向かう。


訓練所では、大勢の一般兵達が訓練していた。

俺が入って行くと全員が直立不動になり挨拶をしてくる。


なんか凄く恥ずかしいけど、今ではマットの盟主なので一応堂々としておく。


「リブ様が訓練所に来るなんて珍しいですね」


俺の前にギートが笑いながら近づいてくる。

カイザーやロイ、ネージュも俺の前に来ると、個々に挨拶をしてきた。


「それで、今日はどの様な用事ですか?」


ロイが俺に聞いてきた。


「うん、たまには訓練を見ようと思って……」


本当は召喚をしに来たのだが、思っていたより人数が多くて、場所を開けて欲しいと言えなくなってしまったのだ。

すると、一般兵達は目の色を変え、気合の入った訓練を始めた。

仕方ない、また夜にでも来よう。


「全く……いつもそのくらい気合を入れて訓練して欲しいよ……」


その光景を見ながら、ギートがそうぼやいている。

カイザー達もギートの言葉に頷いている。


「そういえば、リブ様にお願いがあるのですけどいいですか?」


珍しくギートが何かお願いがあるらしい。

普段はあまり主張してこないので、たまには聞いてあげよう。


「何?俺で出来る事なら大丈夫だよ?」


「リブ様にしか出来ない事なのですが、弓隊の小隊長を選任して欲しいんです。弓隊から5人、弓騎隊から3人選びたいと思っていて」


ギートがそう提案してきた。

なるほど、部隊を小隊に分けてそこを任せる長が欲しいって事か。

そうすれば、ギートの負担も軽減できるという事か


「それはいい考えですね」


そう思っていると、カイザーやロイ達もその案に乗ってきた。


「でも、役職の本には小隊長なんてないよ?」


俺は本を見ながらギート達にそう言うと


「大丈夫です。リブ様が選任したと言うだけで部隊内では上下関係が生まれますから」


と、ギートは笑いながら適当でいいんですと言っている。

まぁ、部隊長がそれでいいなら問題はないか。


「じゃあ、各部隊の小隊長候補を教えてくれる?」


俺がそう言うと、ギートが8人の男女を呼ぶ。


「この8人が訓練で上位の成績を収めた者達です」


ギートがそう紹介すると、8人は俺の前に跪いて頭を下げる。

ふむ、すでに選考会をしていたのか。


「えっと、弓隊が?」


俺が、ギートに尋ねると


「左から1番隊ドラン、2番隊クラリス、3番隊コーネリア、4番隊モーリス、5番隊シュウです」


と紹介を始めた。


「うん、じゃあ5人はこれから弓隊の小隊長としてギートを支えて欲しい」


俺がそう言うと、5人は喜びを押し殺しながら更に頭を深く下げる。


「と言う事は残りの3人が弓騎隊って事だな?」


「はい、左からジュアン、カリネロ、オスナです」


「弓騎隊は騎兵部隊と共闘する事が多くなると思うから、ギートだけじゃ無くてカイザーともしっかり連携して上手くやって欲しい」


俺の言葉に、3人は深く頭を下げる。

そして、訓練所にいる兵士達から大きな拍手が起きる。

ついでだから、ギート達の悩みも解消しておこう。


「ここにいる兵士達全員に言っておく!!これから戦争は多くなるだろう!!その時に活躍出来れば、俺の目に止まる事もあるかもしれない!!そうすれば、俺の推薦で小隊長になれるチャンスも出てくるだろう!!なので、日々の訓練を常に本番だと思って訓練に励んで欲しい!!諸君の今後の活躍に期待している!!」


俺が大声でそう叫ぶと、訓練所内の兵士達からオオー!!と喝采が起こる。

これで、訓練を適当にやる兵士が減るだろう。


ギート達も楽になると思う。

まぁ小隊長も選任した事だし、大丈夫かな?

騎兵や歩兵隊はまだ小隊長の席は空席だから更に訓練は激化する事だろう。


戦争で死人など出したくないので、真剣に訓練する事が大事なのだ。

そうすれば、必然的にうちの部隊が強くなるだろう。


「リブ様ありがとうございます。これで訓練がもっと良くなります」


ギートは大喜びしている。

カイザー達も、嬉しそうにしていた。


結局、俺の召喚するという目的は果たせなかったのだが、結果的にいい感じになったのだった。

当初の目的とは違うが、今後のマットの戦力アップには貢献できたわけだ。


俺は満足気に訓練所を後にすると、今度は兵器開発工場にいるサリーの元へ向かう。

魔導兵器がどうなったのか気になったのだ。


兵器開発工場に入ると、見慣れない人が数人作業をしていた。


「サリーいる?」


俺が何気にサリーを呼ぶと、作業中の数人の人達は一斉に顔を上げて俺の顔を見ると突然立ち上がり頭を下げる。

ああ、この間マーチ達が選考した一般作業員かな?


「これはリブ様、こないな所にくるなんて珍しいでんな」


俺がそう思っていると、奥からサリーが出てきた。

なんか疲れてない?


「それはそうや……ミーシャはんがメチャクチャですねん……リブ様なんとかしてーな……」


サリーは疲れきった顔でそう訴えてきた。

ミーシャをなんとかするなんて俺には出来ない相談なので、とりあえず聞かなかった事にしよう。

そう思いながら、サリーと一緒に奥の工場に向かうと、そこにはミーシャとウェンツが楽しそうに作業をしていた。


「あら?リブ様、珍しいですね」


ミーシャは、何やら大きな大きな翼を持つ兵器を作っていた。


「何これ?俺の知ってる魔導兵器はこんな形じゃないんだけど」


前回の戦争の時は、二本足の搭乗型魔導兵器だったはずなのだ。

それなのに、今目の前にある魔導兵器はドラゴンの様な翼がついた流線型の兵器だった。


「えっとね、空を飛んで上から攻撃出来ればいいなって感じなんだけど、魔法石に風魔法を付与して飛ばす予定なんだけど、上手く飛べないの」


ミーシャは、困った顔をしながら恐ろしい構想を教えてくれた。

騎兵とか歩兵とか戦国時代の様な戦争に、戦闘機の様な兵器を持ち込むと言っているのだ。


「それって完成したらヤバくない?空爆出来るって事でしょ?もう兵士とかいらなくなっちゃうよ?」


「それは大丈夫。完成しても1機しか作れないし、重さの関係で攻撃用の魔法石も2個しか搭載できないから。まぁただの脅しくらいにしか使えないかな?」


そんな物に時間と素材を使わないで……と思ったのだが、本人は一生懸命作っているので、敢えてスルーしておいた。

隣でサリーが、ほらね?みたいな顔をしているのだが、見なかった事にしておこう。


「それで?本命の魔導兵器はどうなっているの?」


「ああ、そっちは完成してますよ?今、色をどうするとか、魔法石にエンチャントする魔法をどうするかとか機動力を上げるのに風魔法を使ったからどうやって止めるかが決まれば完璧ですね」


うん、それは完成してるとは言わない気がする……

ミーシャの興味が、魔導兵器から空を飛ぶ兵器に移ってしまったようだ。


サリーはやれやれといった感じで両手を顔の横に上げている。

これは、サリーが疲れるわけだ……

ウェンツもミーシャと一緒になって飛行兵器に夢中らしい。


「じゃあそっちは、俺とサリーでやっておくよ」


俺がそう言うと、ミーシャは飛行兵器の方を見ながら、右手をヒラヒラさせてよろしく〜と言っている。


仕方ないので、サリーと一緒に魔導兵器を完成させるために隣の工場に行くのだった。


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