59話 戦後処理とそれぞれの道
俺達はカチドキを上げる。
グランツの兵士達は、膝から崩れ落ちる。
グランツはガンマと抱き合ったままだ。
ジーガとビルは倒れたまま動かない。
ウェンツは何も出来ず、状況を理解出来ていない。
セシルとフランは握手をしている。
「さて、戦後処理だな」
俺は、ケインと目を合わせる。
「そうですね。ジーガ達はどう致しますか?」
「本人達に任せよう。好きにさせればいいよ」
「ではグランツは?」
「ガンマと一緒にどこか誰もいない所で暮らさせてあげよう。きっとグランツも寂しい男なんだ」
俺はなんとなくそう思った。
「了解しました。では、セシル達はこちらに?」
「それも本人達次第だな。別に俺から勧誘する事はしないよ」
これからもっと厳しい戦闘は起こるだろう。
無理に参加する必要はないのだ。
「そうですね。今後はこんなに上手くいかないでしょうし」
俺とケインは今後の戦争はもっときつい事を理解していた。
今回は、些細な隙を突いて勝利できただけに過ぎないのだ。
「リブ様!!」
フランが俺の前に跪く。
それに合わせて、セシルとライズも跪く。
「ああ、そういうのはいいよ、普通にしてください」
俺は、跪く3人を起きるように促すと、3人は驚いた顔をする。
「しかし、我々は負けた将ですので……」
「ああ、俺は家来はいらないんだ。みんな仲間というか家族として接しているんだ。だからそういうのはいらない」
「なるほど……グランツでは勝てない訳だ」
セシルは、笑いながらそう言うと
「では、私達も是非その家族に入れてもらえないでしょうか?」
と、頭を下げる。
本人達がそれでいいなら受け入れるしかないな。
「わかった。それじゃあ3人を俺の……」
そこまで言うと、もう1人俺の前に現れる。
「僕も入れて欲しいです」
そう言ったのはウェンツだ。
あれ?でもこいつジーガの部下だよな?
「えっと、ジーガはいいの?」
俺は、ウェンツに尋ねる。
「はい、僕は、ジーガさんの部下ではないので大丈夫です」
ん?意味がわからない。
セシル達もキョトンとしている。
「ああ、僕はジーガさんに城を奪われた元王候補の日本人です。こちらに来てすぐに、ジーガさんに攻撃されてしまって、無理矢理仲間にされていただけですので」
ウェンツは笑顔でさらっと重要な事を言う。
「それに、あれって魔導兵器でしょ?あのゲームの!!という事は、リブさんは日本人って事ですよね?」
魔導兵器を見ながら目を輝かせている。
「そうだな、うちのメンバーはみんな日本人だよ?」
「えー!!全員?それは凄い!!是非仲間に入れてください!!」
そこまで言われたら入れるしかない。
「日本人でしたか、私はイギリスからこちらに来ました」
セシルは、自分がイギリス人だと言っている。
「私と、ライズはアメリカからです」
なるほど、日本だけじゃないんだな。
確か、ガンマはロシアだと言っていた。
という事はグランツもロシアなのではないかと想像してしまった。
「わかった、4人ともうちで預かろう。役職はまた後日決めるから今は戦後処理を急ごう」
俺はそう言うと、グランツの元に歩み寄る。
「グランツ、俺はこの街を統合する。お前の城はどこかに飛ばされるだろう。そこでガンマと静かに暮らすといい」
俺が話かけると、下を向いていたグランツは顔を上げる。
「ああ、敗者はそうなるだろうな……だが、これだけは言わせてくれ、俺はもう王にはなれない。しかし、お前が困ったらいつでも声をかけろ。ガンマと共にいつでも手を貸そう」
え?
俺はその言葉に固まってしまった。
「そう、固くなるな。お前は俺を倒した男だ。その男に協力する事は当然だろう?」
グランツは笑いながらそう言った。
「では、また会おう。次に会うまでにもっと強くなっておいてやる。お前の力になる為にな」
グランツはそう言うとガンマと共に去って行く。
悪い奴では無かったみたいだな。ただ、不器用なだけか……
俺はグランツの背中を見ながらそう思うのだった。
街に戻ると、マーチがいつの間にか転移の書を持って立っていた。
「リブ様、転移をお願いします」
ケインにそう言われて、俺は転移の書を開くと魔法陣に手をかざす。
ドシンッという音と共に陽炎城が姿を現す。
街は更に大きくなり、城をぐるりと囲んでいる。
「さて、帰るか」
俺はそう言うと、みんなと一緒に城に入って行くのだった。
一方、気がついたジーガとビルは途方に暮れていた。
自分達の居場所を探す為に草原を彷徨う。
そして、1つの城に辿り着く。
そこはローズ城と呼ばれる大きな城だった。
城門の前にいる兵士に声をかけると、中に通してくれた。
城の中には10数人に配下が並んで立っていた。
「あなた達が、私の配下になりたいという人ですか?」
長い髪を掻き分けると綺麗な顔立ちの女性が、ジーガとビルを見る。
その吸い込まれそうな澄んだ瞳に、ボーっとしていると
「おい、何とか言え。クイーン様が聞いているだろう?」
と、ジーガよりもひと回り大きな男が怒鳴りつける。
「は……はい。俺………いや、私達もあなた様の配下に入れて頂きたく」
ジーガは、片膝を着くと深く頭を下げる。
「どこぞの、敗戦した将ですか?まぁいいでしょう。ボルド彼らに部屋を」
そう言うと、大男はジーガ達を小部屋に連れて行く。
「これからはここがお前達の部屋だ。いいか?ここではお前達はまだ最も下の扱いだ。その事を忘れるなよ?」
ボルドと呼ばれた男はそう言うと、その場から去っていく。
「ビルよ、ここでもう一度成り上がるぞ、そしてあの忌々しい奴らを倒すのだ」
ジーガはそう言うと、部屋に入って行くのだった。




