58話 決着
フランはガンマを連れてグランツの前に立つ。
「グランツ様、ガンマ様をお連れしました」
グランツは、そっと目を開けるとフランを見る。
そして、隣にいるガンマを見ると口元に笑みを浮かべる。
「フラン、ご苦労だった。下がっていいぞ」
グランツはフランを下げて、久しぶりの友との会話を楽しもうとした。
しかし、フランは思いもしない事を告げる。
「もうひとつご報告がございます。ジーガ様が裏切り者だったようです。謀反を企てているとの情報を確認しました。現在、城門の外で戦闘が行われております」
グランツは大きく目を見開くと、君主覇気を放つ。
フランは覇気に当てられ動けなくなる。
「セシルと共にジーガを打て!!俺も後で行く」
「はっ!!」
フランはそう返事をすると、セシルの元へ急ぐ。
グランツは怒りを露わにするが、ガンマと会話をする。
「友よ、無事で何よりだ。向こうの城はどうだった?」
「グランツ、心配をかけた。向こうの盟主はいい奴だった。部屋に閉じ込められたが、拷問などはされていない。逆に食事をくれた。とても美味しい食事だった」
それを聞いたグランツは安心する。
「そうか、では休むといい」
短い会話だけで、友の無事を喜ぶのだった。
そして、裏切り者のジーガを打つべく城から出る。
セシルの元に来たフランは、事の次第を全て説明する。
リブが今調略を施し、グランツを倒すという事も全て話した。
「という事で、私達はリブ様に付こうと思う」
セシルは目を閉じて、無言で聞いていたがフランの話が終わるとゆっくり目を開ける。
そして、フランを見ながら
「そう言うことか……しかし、そのリブという男はグランツに勝てるのか?」
「きっと勝てます。あのお方は戦略、武力そして何より素晴らしい配下をお持ちです。それにあのレナードが既にリブ様に協力していますので」
「レナードが?そうか、わかった。では私達はそのリブという男に命運を預けよう」
セシルはライズを呼び出すと、フランと3人で戦場に向かう。
城門の前には、ロイとネージュの歩兵隊が陣を張っている。
その後ろに、弓隊が陣取る。
その間からカイザーの騎兵隊とギートの弓騎隊が前に出る。
そして最後尾にサリーの魔導兵団がいる。
対する相手は、グランツの城からジーガが率いる騎兵隊が出てくる。
その後ろに、セシルの歩兵隊が並ぶ。
最後尾にウェンツの攻城兵器隊が準備している。
リブ側戦力 14000
弓兵3000、弓騎兵5000 隊長 ギート
騎兵3000 隊長 カイザー
第一歩兵(槍剣)2000 隊長 ロイ 副隊長 マーチン
第二歩兵(剣拳)900 隊長 ネージュ
魔導兵100 隊長 サリー 副隊長 ミーシャ
総大将 マーチ 補佐官 クーパー
グランツ側戦力 21500
騎兵16000 隊長 ジーガ 副隊長 ビル
歩兵5000 隊長 セシル 副隊長 ライズ
攻城兵器500 隊長 ウェンツ
総大将 グランツ 補佐官 フラン
総勢35500の兵士が草原に向かい合う。
しかし、リブ側の歩兵の奇襲でグランツの城門は既に燃えている。
「このジーガ様率いる騎兵隊に勝てるものか!!」
そう言うとジーガが戦闘を開始する。
カイザーはニヤっと笑うと、わざとジーガにやられたように騎兵を割る。
あっさり倒してしまったジーガは高笑いで
「どうだ?俺様に従えば命だけは助けてやる!!」
と大見得を切る。
しかし、最後方からそれを見ていたグランツは、ジーガの芝居に見えてしまった。
やはり、あいつは裏切り者だ。
あの戦力を味方にしたように見せて、初めからこの俺を倒すつもりだったのだろう。
グランツはそう考えてしまった。
この時点で、リブの策略は成功したのだった。
「セシル!!ジーガを打て!!」
グランツのその命令で、セシル率いる歩兵隊がジーガを攻撃する。
突然、後ろの味方から攻撃を受けたジーガの騎兵隊は混乱する。
「セシル!!グランツ様!!どう言う事ですか!!」
ジーガは訳がわからない。
何故、自分は味方から攻撃されているのか?とりあえず、この危機を脱しなければならない。
「仕方ない!!前方の兵士達は雑魚だ!!騎兵隊!!まずは、後ろのセシル達を倒すぞ!!」
そう言うと、リブ達の戦力を無視するかのように背中を見せる。
そこにカイザー達が襲いかかる。
後方から、重籐弓を持った弓隊がジーガ達を目掛けて矢を放つ。
弓騎兵がヒットアンドアウェイで弓を放って離れるを繰り返す。
前からと後ろからの攻撃にジーガは、振り回される。
ジーガは騎兵隊を2つに分けると前方のリブ軍と後方のセシル軍に対抗する。
ロイの歩兵隊が槍で騎兵隊を攻撃して、落ちたところにネージュの歩兵隊が攻撃を加える。
そして、サリーの声で歩兵隊は、一度後ろに下がると、そこに魔導兵が前に出て、機関銃とファイヤで攻撃する。
前線が崩壊したジーガは、後方に集中する事にした。
しかしセシル達も、中々崩れない。
「くそ!!こうなったら!!」
ジーガはそう言うと、スキルを発動させようとする。
その時、グランツの城から火が上がった。
「なっ!!」
グランツは、後ろを振り返る。
「どういう事だ?何故城が燃えている?」
今度はグランツが混乱する。
燃える城を見て隙が出来たグランツに、ジーガが襲いかかる。
『ソニックウェーブ!!』
ジーガは、馬の上からジャンプするとグランツ目掛けてスキルを発動させる。
『ヘビーボディ!!』
グランツは、その攻撃を大盾で受け止めると
『グランドクロス!!』
すかさず、ジーガに攻撃を仕掛ける。
ジーガの下から十時の光が天に昇ると、ジーガは吹き飛ばされる。
『ハイディング!!』
『トンネルドライブ!!』
ビルが、グランツの下から飛び出す。
『ソニックブロー!!』
両手に持った短剣で、グランツの死角から攻撃を仕掛ける。
この攻撃は流石に防ぎ切れず、グランツは地面に平伏す。
「ライズ、回復を!!」
グランツは、回復をかけるようにライズを見る。
しかし、ライズはこれに応えない。
ビルは、グランツに攻撃を仕掛けると、傷付いたジーガを連れて、一時その場から離れる。
『連撃!!』
そのビルに、カイザーが攻撃を仕掛ける。
ビルは、不意を突かれてカイザーの攻撃が直撃してしまう。
「うわっ!!」
ジーガを抱えたまま、地面に叩き付けられる。
地面に平伏したグランツは、ライズを睨みつける。
なんとか気合いで起きあがろうと、膝を立てた。
『トールハンマー!!』
グランツの頭の上に魔法陣が描かれると、俺の精霊魔法が落ちる。
グランツは、その魔法をモロに食らって、上を向いたまま動かなくなる。
「やったのか?」
俺は、戦場に姿を現す。
次の瞬間、グランツが覇気を飛ばす。
「まだだ〜!!」
グランツはよろけながらも、立ち上がり俺の方を睨む。
だが、俺の隣にガンマがいる事に気がつき、膝から崩れ落ちる。
「グランツ……俺達の負けだ……」
ガンマはグランツに駆け寄り、強く抱きつくとそう呟く。
「そうか……負けたのか……」
グランツはガンマに抱かれたまま空を見上げる。
「すまない、友よ……」
「別に構わない。どこかで一緒に静かに暮らそう」
グランツはその目に大粒の涙を溜めて、自分の野望が崩れ去った事を受け止めていた。




