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城から始まる異世界物語  作者: 紅蓮
異世界生活編
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5話 森とモンスターと私?


ケインと別れた俺は地下の訓練所にいた。


そこは部屋が剣、弓、魔法と3つに分かれていて、各部屋にはカカシみたいな的がいくつか立っている。


「とりあえず魔法だな」


俺は魔法訓練所と書かれた部屋に入り、ドアを閉めると技能の書を見ながら右手を差し出すと、カカシに向かって『ファイヤ』を詠唱する。


「ファイヤ!!」


すると、突き出した右手から火が飛び出して的に命中する。


「おお〜これが魔法か〜」


その後、何回か試してわかった事は、火力の加減はイメージ次第という事だった。

強いイメージをすれば大きな火が出るし、弱いイメージをすれば小さい火が出るのだ。


これは1つの魔法で攻撃の時と、鍛治の時で使い分ける事ができるという事だ。


「うん、便利」


何個も魔法の名前なんて覚えられない。

1つの魔法で火力調整ができるなら、こんな楽な事はないのである。


そして全ての属性の魔法を試してみた結果


火属性は『ファイヤ』、『ファイヤウォール』、『ファイヤピラー』、『メテオ』

水属性は『ウォーター』、『コールドボルト』、『ストームガスト』

風属性は『ウィンドカッター』、『ウィンドブレス』、『ウィンドエリア』、『トルネード』

土魔法は『サンド』、『アーススパイク』、『アースシェイク』、『ロックレイン』

光魔法は『ライト』、『ライトアロー』、『ライトクロス』、『ホーリーカノン』、『リフレッシュ』

闇魔法は『ダークアロー』、『ソウルストライク』、『シャドウエッジ』、『パラライズ』


を覚えた。


これだけ魔法が使えればとりあえず装備が無くても大丈夫かな?

訓練所を出て本を調べているケインの元に向かう。


執務室に入るとケインが難しい顔をして本を睨んでいた。


「ケイン、どうしたの?」


俺はドアを開けて中に入るとこっちに気がつかないケインに声をかける。


「あっ、リブ様、魔法はどうでした?」


ケインは見ていた本から目を離し、こちらに向かって笑顔を見せる。


「とりあえず全属性3個から4個は使えるようになったから、外に出て材料を集めに行こうかな?なんて」


何気なく答えたのだが、ケインは目を丸くして俺を見ている。


「リブ様は全属性の魔法が使えるのですか?」


そういえば、ケインに俺のスキルは教えてなかったと反省した。


「ごめん、俺のスキルを教えて無かったね」


そう言うとケインに俺のステータスが書かれた本を見せる。


「さすがリブ様ですね…盟主に選ばれた理由がわかりました」


そう言うと、ケインは自分の決断は間違って無かったと頷いている。

そして、おもむろに持っている本に目をやると


「それなら大丈夫ですね」


と呟いて俺に持っている本を差し出す。

それを受け取って開かれているページを見ると、そこには1匹のモンスターが描かれていた。


上半身は人間で下半身が馬の『ケンタウルス』というモンスターだった。


両手に剣を持っていてそれで攻撃してくるんだろうな?

と思わせる風貌だった。


「このモンスターがどうしたの?」


俺がケインに尋ねると


「どうやらこの辺りに出没するボスらしいです。馬の素早さと剣士のスキルを持つらしく、スピードで間合いを詰めて剣で攻撃してくる厄介なモンスターみたいです」


それは俺の想像通りのモンスターだった。

それがこの辺りに出るらしい。


それ以外にも雑魚モンスターもいるみたいだけど、こいつだけは気をつけなければならない。


「弱点とかあるの?」


あわよくば簡単に倒せないだろうかと思って聞いたのだが、ケインは難しい顔をして


「弱点は書いてないのです。実際戦って倒してみない事には…」


と今度は申し訳なさそうな顔をする。


「いや、もしかしたら何か書いてないかな?と思って聞いてみただけだから、ケインがそんな顔しなくても大丈夫だよ」


そう言うと、俺は右手をひらひらさせて部屋を出て行くのだった。

そのまま城門を潜って外に出た俺は、右手側に見慣れない森がある事に気がつく。


「こんなところに森なんかあったっけ?」


もしかしたら採集ポイントとかモンスターがいるかもしれない。

そう思ったら行くしかない。


迷わず森の中に入ると、どこかから悲鳴のような声が聞こえた。


女の人?モンスター?


どちらともわからない声がする方に向かって走って行くと、ひらけた場所にゾンビに襲われている女の人を見つけた。


「これはやばい、助けないと」


俺は木の影から飛び出してゾンビに向かって右手を突き出して『ライトアロー』の魔法を唱える。

光の矢がゾンビの頭を突き抜けた瞬間、ゾンビの体が泡になって消えて行く。


そこには怯えている女の人と、ゾンビからドロップしたであろう素材が落ちていた。


「あの……大丈夫……ですか?」


女性と話をするのが苦手な俺は、勇気を振り絞って必死に声をかけながら近寄ると、

怯えていた女の人は、ちょっと落ち着いた感じだった。


「ありがとうございます」


俺はドロップ品を拾うと、顔を確認する。


茶髪のショートカットで耳は尖り、可愛らしい顔立ちでお転婆っぽいのに頭の良さそうな感じの不思議な雰囲気の人だった。


「えっと……あなたは……どこから……来たんですか?」


俺は人間っぽくないその雰囲気に、もしかしたら、この世界の人かもしれないと思い質問してみた。


「わからないんです。気がついたら見た事もないお城にいて……周りに人もいなくて……1人でいるのが怖くなったから……お城から逃げ出そうと外に出て……この森に入ったら、ゾンビに襲われてしまって…」


どうやら、この人も俺達と同じ経緯でここに来た人らしい。


「とりあえず……俺の城に来ますか?仲間も1人いますし……」


モンスターが徘徊する森に、女性を1人置き去りにするのも気が引けたので、落ち着いて話せる俺の城に招待する事にしたのだ。


「え?あなた以外にも人がいるのですか?」


女の人は少し驚いた顔をしたが。


「お願いします。私を連れて行ってください」


そう言うとスッと立ち上がり俺の隣まで歩いてくる。

ケインとも相談したいし、とりあえず城に戻ろう。


俺は女の人を連れて森を出るのだった。

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