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城から始まる異世界物語  作者: 紅蓮
群雄割拠編

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54話 不穏な空気

グランツは、椅子に座って頭を抱えていた。

フランに命令してから2日経った。

しかし、いまだにガンマ釈放報告も偵察からの情報も、何も来ないからだ。


「一体どうなっている?何故、何も報告がこないのだ?」


今まで城を3個落として、2つの城の盟主を部下にした。

最初に落とした城の盟主は、誘いを拒否してどこかに行ってしまった。

そして、グランツはジーガとセシルを信頼はしていても、信用はしていない。

唯一、信用できるのは友になった、ガンマだけだった。


ガンマは、自身も王候補でありながら戦闘ではなく、友好を選んだのだ。

その時何故かグランツは、心地良い気分になった。

理由は自分でもわからない。

だが、心から信用出来る男だと感じたのだ。


そのガンマが、捕虜として捕まった。

グランツは、お金をいくら使ってでもガンマを取り返したかった。

金など、住民から税金で徴収すればいい。


現在の住民だけで足りなくなれば、またどこかの街を吸収すればいいのだ。

グランツにとって、住民などその程度でしかなかった。


今、あの城を攻撃しないのはガンマを人質に取られているからという理由だけだった。

ガンマさえ取り返せれば、あのお城も攻撃して奪い取って部下にすればいい。


それなのに、ガンマ保釈の報告が来ない。

これでは、グランツは動けない。


しかも、2回の攻撃が失敗している。

その為に偵察を送っているはずなのだが、そちらの報告もまだ来ていなかった。


グランツは通信の本を取り出す。


「フラン、報告が来ないのだが、一体どうなっている?」


「申し訳ありません。現在、保釈の使者を送ってはあるのですが、戻って来ていないのです」


フランは焦っていた。保釈金は十分の額を渡してある。

なのに、未だに保釈されたという報告は来ない。


偵察者も街に入ったと報告がきたのを最後に、なんの音沙汰もない。

それもそのはず、マットの街の入口にはチャーリーの町長スキルで、入って来た者の素性と名前を開示させるようになっている。


普段はそれで、リブ達が戻った事などをセバスチャンに連絡しているのだが、今回のように使者や偵察者なども見分ける事が出来る為、危険人物を排除する事も可能なのだ。

その為偵察者は、連絡を受けた警備責任者のロイによって、捕縛されてしまったのだ。


保釈の使者も、その責任を追及されて、今はガンマと同じ監禁部屋に入れられてしまった。


そんな事は知るはずのないフランは、グランツに詰め寄られても何も返せないのだ。

フランは、何度も通信を試みる。


しかし、使者も偵察者も通信に出ない。


そして、何度目かわからない通信をしていると、反応があった。


「私です。一体どうなっているのですか?」


「そちらの偵察者は捕縛させて頂きました。現在は使者の方も監禁させて頂いております。ご用件をどうぞ?」


聞きなれない男の声に、フランは混乱する。

捕縛された?使者も監禁中?


フランが、用意した偵察者は普通の住民のはずだ。

下手にスキルを持つ者を送り込めばバレるのが早いと考えたのだ。


だからこそ、街にいた普通の住民に声をかけてお金を渡して、偵察して来るように雇ったのだ。

しかし、向こうの街では入ったと同時に偵察者だとバレたみたいだった。


おかしい?何故だ?一般人は出入り自由なはず。

フランには、全く理解できなかった。


「お返事がないようですので、通信を切らせて頂きます」


「あっ、申し訳ない。少々よろしいでしょうか?」


フランは切られる前に、確認したい事があった。


「その者は、一般人のはず。何故偵察者だと?」


「はい?何をおっしゃっておられるのですか?この者は暗殺者のスキルを持つ危険人物ですよ?そんな人物を街に入れるはずがないではないですか?」


男の、その返答にフランは固まる。

暗殺者?何故そんな奴がこちらの住民に?


「それでは、失礼致します」


男はそう言うと、通信が切れてしまった。

しかし、今はそれどころではない。

暗殺者のスキルを持つ者が、一般人としてこの街に住んでいる。


それは、こちらが危険だという事だ。

まずは、暗殺者を送り込んだ犯人を探さなければならない。


フランは急いで、セシルの元に向かう。


「セシル様、ご相談したい事がございます」


「フランどうした?今は、お前の方が役職は上なんだぞ?」


慌てすぎて、ついセシルが盟主だった頃の感じで話をしてしまう。

しかし、今はそんな事どうでも良かった。


「あの城に、一般の住民を雇い、偵察に向かわせたのですが、その者が暗殺者のスキルを持っていたとの事です」


「なに?何故そんな人物が街で生活していたのだ?


「わかりません!!しかし、何者からか送り込まれた暗殺者を、偶然私が雇ってしまったようなのです」


「なんと……まずは、グランツ様に報告だ」


2人は、グランツに報告する為に城に向かう。


「グランツ様、非常に重要な事案がおきました。フランより説明申しあげます」


「どうした?」


セシルがグランツに、報告するとフランを見る。

フランはどうやって説明するべきか、悩んでいた。


「フラン、報告せよ」


グランツはフランを急かす。


「は……はい、先程偵察の者に通信を行ったのですが、どうやら向こうの城に捕まったようなのです。その者は私が街で見かけた普通の住民だったのですが、何故か暗殺者のスキルを持っていたらしく……そのせいで、保釈の使者も監禁されてしまったと……」


フランは失態を起こしてしまった。

グランツに制裁されても仕方ない状況だった。


「住民に暗殺者?俺の住民に暗殺者のスキル持ちなどいないはずだぞ?」


グランツは、失態よりそちらを気にした。

暗殺者のスキル持ちがいれば、当然雇用しているはずなのだ。


「はい、ですので他の城から送り込まれた可能性がございます。ですが、あの城は捕縛して監禁したと言っておりましたので、また別の城からだと思われます」


「そうか……フランお前はあの城に謝罪に行け。暗殺者を送り込んだ犯人はその後で探そう。街で生活していたと言う事は、内部に手引きした人間がいる可能性も捨て切れん」


「ですが、街の人間には監視がついております。内部でと言うことになれば疑われるのは監視のいない我々幹部だけ……」


そこまで言ってフランは黙る。

セシルはここにいるが、もしかしたらそれが演技で、犯人の可能性がない訳ではない。

もしくは、ここにいないジーガが犯人でもおかしくはないのだ。


「そう言う事だ」


グランツもそう言うと、セシルを睨む。

元は同じ王候補同士、いつ首を掻かれてもおかしくないのだ。


「承知致しました」


フランはそう言うと、セシルの方をチラッと見るとそのまま城から出ていく。


「さてセシル、フランは元々お前の部下……だがあの慌て振りから見て無実であろう。しかし、貴様は違う。疑いを晴らすには犯人を見つけ出すしかないのだが?どうする?」


「ええ、その疑い晴らして見せましょう」


セシルは、グランツに一礼すると城から出ていくのだった。

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