51話 リブとクーパーと新しい部隊?
遺跡の探索を終えた俺達は、ノエルのワープで城に戻る。
玄関に入ると、セバスチャンが待っていた。
しかし、毎回思うけど、セバスチャンは俺達が帰って来ることをどうやって知っているのだろう?
まさか、ずっと玄関に立っている訳じゃ……
いや、それはないな。
ちゃんと、他の仕事もしてるし、それにしてはタイミングが良すぎる。
なんてどうでもいい事を考えていると
「リブ様、おかえりなさいませ。クーパー様がお見えになっております」
と、何か見透かされた感じで報告を受ける。
執事に任命した時に、何かスキルでも手に入れたのだろうか?
この世界はよくわからない事が多いな……
と、クーパーを待たせているんだった。
俺は、アホなことを考えるのをやめて大広間に向かう。
中に入ると、クーパーとマーチンがケインと話をしていた。
「クーパーさんいらっしゃい」
俺がクーパーに声を掛けて席に座ると
「ねえ!!この城は一体どうなっているの?なんでこんなに快適な訳?ここって異世界だよ?日本の一般家庭より良い生活してるんじゃない?」
とクーパーに早口で捲し立てられる。
うーん、と言われても……ほとんどミーシャが開発した物だし、俺は風呂とトイレ後は、食べたい物を適当に開発しただけだし……
俺が何から、どうやって答えたらいいのか考えている隣でケインが笑っている。
ケインさん説明してないの?と思ったのだが、多分説明出来なかったのだろうと思いやめておく。
「えっと、とりあえずお風呂とトイレは俺のスキルで作ったんだけど、他の物はミーシャが開発してくれて、後はラーメンとかハンバーグとか、俺が食べたかったものでこっちでも作れそうな物を適当に……」
俺がそこまで言うと、クーパーは呆れた顔をしている。
「まぁ、もうすぐ夜になるし、みんなが戻って来たら紹介するね」
俺が誤魔化すように言うと、
「そういえば、ここのメンバーさんもみんな日本からなんでしょ?会うのが楽しみだ〜」
と、クーパーが楽しそうに言う。
ん?もしかして?
俺が、そう思っていると
「クーパーさん達も日本からこちらに来たそうです」
と、ケインが教えてくれた。
「なるほどね、じゃあもしかしてコウリュさん達も?」
「ええそうよ。みんな日本からこちらに来たの」
それで、保護したのか。
なんとなく納得が出来た。
そして、4人でお茶を飲みながら雑談をしていると
「戻りました」
とカイザー達が帰って来た。
「リブ様、聞いてくださいよ!!カイザーさんたら間違えてケンタウルスを一撃で倒しちゃって、森を消しちゃったんですって!!」
カイザーの隣で、ミーシャが爆笑しながら報告している。
しかし……あんなに苦労したケンタウルスが一撃ですか……
俺はそっちに驚いてしまった。
「まぁ、今はお客さんがいるから、とりあえず挨拶してもらってもいいかな?」
俺が、爆笑しているミーシャに、そう言うと
「あら?ごめんなさい。私はミーシャです。こちらで研究室長をしています」
ミーシャは、すぐに正気に戻ると挨拶を始めた。
「私はカイザーです。リブ様のモンハン部門を預かっております」
とカイザーが続く。
って……え?モンハン部門なんてあった?
俺が混乱しているのを他所に
「僕はギートです。矢塔防衛官と弓騎兵部隊を率いています」
「私はロイと申します。警備責任者と第一歩兵隊を率いています」
「私はネージュです。デパートホテルの支配人と第二歩兵隊を率いています」
「ワイはサリーって言います。兵器開発部門と魔導兵団を率いてます」
と次々に挨拶をしている。
のだが……聞き覚えのない部門と隊ができていた。
「ちょっと待って?その担当と隊の名前って何?」
俺は、思わず話を止める。
「いえ、皆さんがかっこいい担当名と部隊名を仰るので、先程話し合いをしまして、決定した所です」
へー、そうなんだ……
確かに、なんかかっこいい。
って!!魔導兵団って何!!
さらっと聞き流すところだったよ!!
「それで?魔導兵団って何?」
俺は暴れ出したいところだったが、クーパーの手前それもできず、グッと堪えて落ち着いた雰囲気でサリーに聞く。
「それが、ミーシャはんがどうしても魔導兵器を作りたい言わはりましてん。せやから、今開発中です」
サリーがちょっと困った顔で俺に説明してくれた。
って何?魔導兵器?ミーシャさん今度は一体何を開発してるの?
「魔導兵器って、あのゲームの?」
「あっ!!リブ様も知ってる?そう、あれを作りたいの!!だから、リブ様も協力してくださいね」
ミーシャが笑顔で怖い事を言っているのだが、ここはスルーでいいのか?
多分、明日くらいに協力させられるんだろうなと、思ってしまった。
「ここは、すごい所ですね……ここまでの生活水準なのに、魔導兵器も開発しちゃうなんて……」
マーチンが驚いている。
「ねえ、人数多くない?しかも全員役職持ちで部隊長まで兼ねてるって、協定を結んで正解だったわ」
「あっ、後2人いるよ?今偵察に行ってもらってるから、帰って来たらまた紹介するね」
「まだ他にもいるんだ……」
クーパーは、驚きを通り越して、もう悟りを開いた気分だった。
「とりあえず、ご飯の前に風呂入っちゃおう。アイーナ、今日は日本食を用意してあげて?」
俺はクーパー達が日本食を食べたいかな?と思いアイーナにそう頼むと
「リブ様、申し訳ございません。本日はクーパー様達の歓迎会をするのかと思い、宴会料理をご用意中でございます。今からでも変更できますが如何致しましょう?」
アイーナは、既に宴会が開かれる前提で仕込み中だった。
「あーいいや、じゃあ今日は宴会で明日以降でまたお願いするよ。それで、例のあれは?」
アイーナに頼んだ例のあれ……
「ケイン様より、ご要望頂きましたので、ただいま脱衣所のほうに桶に入れてご用意させております」
あれとは……そう、湯船に浮かべる日本酒だ。
「あれ?ってなんですの?」
ここまで一切口を出さず、忍のように気配さえ絶っていたマーチが突然食いついて来る。
「あ……うん……湯船で日本酒が飲みたいなって……ねえ?ケイン」
マーチに睨まれるのが怖いので、ケインに話を振ってみる。
「アイーナさん、女性の方々にも同じ物をお願いします」
ケインも若干ビビりながら、アイーナに注文する。
「あら?ありがとう」
マーチの機嫌が良くなって、この場はなんとか平和になった。
そのやりとりを見ながら、クーパーとマーチンは笑いながら
「ここにはお酒もあるんですね。こんな事なら3人も連れて来るんだった」
「本当ですね、でも彼女達は縛られてますから……」
と、気になる事を口にする。
「縛られてるって?」
「ああ、ごめんなさい。こっちの事だから」
クーパーが誤魔化そうとすると
「リブさんに助けてもらえないかな?」
マーチンがクーパーに問う。
「でも、さすがにそこまでは頼めないわ?その為に今回参加させてもらうんだから」
と何やら2人で話し合っていた。
「まぁ、とりあえず食事が出来る前に風呂に行きましょう。それに、しばらくはここにいるんだから、気が向いたら話してくれればいいよ」
俺は無理に話を進めず、まずは風呂を勧めるのだった。
そう、今はグランツだ。
申し訳ないが、他の城の事に構っている余裕はないのだ。
チャコ達が戻って来るまでに、出来るだけ準備をしておきたい。
まぁ宴会をする余裕はあるのだが……俺は、それはそれと都合よく割り切って風呂に向かうのだった。




