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城から始まる異世界物語  作者: 紅蓮
群雄割拠編
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47話 チャコの気合いとロイの思い

チャコとマガストールは変装をして、酒場の地下通路を歩いていた。


「偵察はアークの時以来だけど、今回は嫌な気分じゃないね」


前回、アークにマットを偵察して来いと言われた時は、正直気が乗らなかった。

従者でもなければ、盟主でもないアークに命令されて、他の街や城を偵察するのが嫌だったのだ。


チャコとマガストールが隠密の職業を選んだのには理由がない。

ただ、単純にカッコいいと思っただけなのだ。

それなのに、アークから隠密だからと言われて偵察ばかりさせられていた。


しかし、リブは違った。

チャコとマガストールの性格をわかった上で、酒場のマスターとママという役職を与えたのだ。


そこには、会話を盗み聞くとか、相手の本音を聞き出すなどの雑務が加わるのだが、リブには、そんなに真剣にやらなくても、お酒の席でただお客さんと話をするだけでいいと言われたのだ。


それは仕事なのか?と思ったのだが、


「本当に重要な話は、酒場でなんかしないし、酒場で聞ける情報はガセもあるだろうから。その辺はチャコとマガストールが真意を見極めて報告してくれればいい。それに、仕事は楽しい方がいいしね」


と、リブに言われたのだ。

これには、チャコとマガストールも驚いた。

仮にも、一国の王になろうとしている盟主が、気楽にやればいいと言うのだ。


そのリブが今回は、自分達に偵察という重要な仕事を与えたのだ。

2人は、逆にやる気満々だった。

しかし、今回も出かける前に呼び止められて、


「何日かかってもいいし、どんな小さな情報でもいい。その代わり絶対無理はしない、危険な事も回避する事」


と、言われて送り出されたのだ。

自分達が隠密という駒ではなく、同盟の一員として信頼されているのがよくわかった。


同盟に途中から参加したにも関わらず……だ。


「いい?今回は今までとは違って、じっくり偵察するからね」


チャコが念を押すが、マガストールもそんな事はわかっていた。

今回の偵察は、自分達の大事な城が攻撃された事への復讐戦に繋がるのだ。


リブにはああ言われたが、2人とも事の重大さは理解していたし、自分達の情報が今後の戦いを左右する事もわかっている。


「とりあえず、街に着いたら酒場を探すよ?それから、代表の屋敷とか、武器屋、道具屋、後は商店で聞き込みね」


チャコがそう言うと


「気持ちはわかるけど、あまり目立って情報収集すると、すぐにバレちゃうよ?それがわかってるからリブ様も何日かかってもいいって言ってくれたんだから」


と、いつもは黙ってチャコに従うだけのマガストールが、珍しく反論する。


「わかってるよ……でも、みんなの役に立ちたくて……」


チャコもその危険性はわかっていた。

しかし、自分達が信頼されて任された以上、適当な事は出来ないと思ったのだ。


すると、胸の本から声が聞こえた。


「もしもしチャコ?言い忘れたけど、向こうの街で美味しそうな食べ物があったら調べて来て〜!!それと、流行とかわかったらそっちもよろしく!!」


リブの笑い声が、通路にこだまする。


………………


この人、本当に戦争する気があるの?

と一瞬思ったが、


「まぁ、そのくらい気楽に偵察して来て。じゃあ」


最後にそう言われて、チャコは自分が気負い過ぎていた事に気がつく。


「さすがリブ様ですね。チャコの気持ちはお見通しという事です」


と、マガストールは笑みを浮かべる。

チャコも、最後の言葉で気持ちが楽になった。


「じゃあ、観光にでも行こうか」


「美味しいものを沢山食べて、面白そうな所も見て回って、いい報告ができるようにしよう」


そう言うと、2人は笑いながら地下通路のを上がる。

そして、外に出ると、目の前に大きな城が聳え立っていた。


「大きな城ね。楽しそう」


「ああ、いい旅行にしよう」


2人はそう言うと、城門をくぐり街の中に入って行くのだった。



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ロイは歩兵の訓練をしていた。

今まで剣だけしか使えなかったが、称号がナイトになった事で槍も使えるようになった。


そこで、前衛の歩兵に槍の訓練をさせる為だ。


前回の防衛戦で、剣だけでは騎乗の兵士には届かなかった。

地上戦ではそこそこの戦果を上げたのだが、それだけでは足りないと感じたのだ。


歩兵部隊は少数だ。

ネージュが格闘術をロイが剣術を教えていたのだが、騎兵に対しては意味をなさなかった。


それが、悔しかったのだ。

槍が使えるようになれば、中距離の攻撃も可能になり、騎乗の兵士にも攻撃ができる。


「槍と剣の二刀流が出来れば、お互いの武器の短所が補えるはず」


ロイは、そう考えていた。


槍は、中距離の攻撃が可能だ。

しかし、近接には向かない。


逆に、剣は近接には強いが、中距離は届かない。

それを、両方使えるようになれば弱点が少なくなる。


「長槍と短槍の部隊を作れば、更に強化できるかもしれない」


しかし、その為には部隊人数が足りない。


「リブ様に歩兵の人数も増やしてもらおうかな?」


リブが弓部隊を増やして、主力部隊にすると言っていたのを聞いていた。

それならば、歩兵も増やしてもらえれば、部隊に厚みが出来る。


特に、城攻めには歩兵は欠かせないはずだ。

その事を強く薦めれば、リブなら増やしてくれるはずだと思った。


リブは、自分達の意見をしっかり取り入れてくれる。

ならば、歩兵に関しても了解してくれるはずだと確信していた。


「その為には、槍の訓練をしっかりやって成果を見せないと」


いくら話がわかる盟主だとしても、根拠のない申し出を簡単に提案出来ない。

それは、マットのメンバー全員の暗黙のルールだった。


「とりあえずネージュさんとも相談して、今後の戦い方を変えていかないと歩兵の存在意義がなくなっちゃう」


ロイは、次の戦いでどうやったら勝てるのか真剣に考えるのだった。


すると、そこにギートとカイザーが来る。


「ロイ、ちょっといいかな?問題が発生したみたい」


ギートが少しだけ困った顔でロイに話かける。


「何かあったのですか?」


「はい……すみません……私が間違えてケンタウルスを倒してしまって……」


「あー森が消えちゃったのですね?」


「はい……」


カイザーが事情を説明すると、ギートとネージュが爆笑している。

ロイも、明日からどのモンスターで都市シールドをドロップさせるか一瞬考えたのだが……


事情が事情だけに、カイザーを責める事も出来ず、笑ってしまう。


そして、なんとかなるでしょうと言うのだった。

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