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城から始まる異世界物語  作者: 紅蓮
群雄割拠編
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42話 休戦協定と危機


クーパーの言葉に、俺達が困惑していると


「それは、こっちの話だからいいの。私がリブさんとしたい話は、そんな事じゃないし」


クーパーが笑いながら、気にしないでと言っている。

まぁ、確かに俺達が気にする事じゃない。


「それで?話って何?」


「グラン城の戦いを見て、今の私達じゃ太刀打ち出来ないと感じたの。だから、休戦協定を結んで欲しいと思って。私は別に王になる気も無いし。それに、今は彼女達の盟主を探して、コウリュ達を解放してあげたいし」


クーパーがそう提案してきた。

休戦協定か……まぁ戦わなくていいのなら、その方が俺も助かる。


戦争になれば、少なくとも被害が出るだろう。

前回のグラン城の戦いで俺が倒した兵士達も、まだ負傷して病院で寝てる人も多いし。


本格的な戦争になれば、最悪死ぬ人も出てくるかもしれない。

そうなると、残された家族が悲しむだろう。


無駄な犠牲は出ない方がいいのだ。


「わかった。マットはクーパー達とは争わない事にしよう」


「ありがとう。今は口約束だけど、私達が同盟を組んだら正式に申し込みしに行くね」


クーパーは、嬉しそうにそう言った。

そして、お互いが知りうる情報を交換している時だった。


「リブ様!!聞こえますか?」


胸元の本から、慌てているマーチの声が聞こえてきた。


「マーチ?どうしたの?」


俺は、その声から何かあったのだろうと感じる。


「緊急事態ですわ!!今、陽炎城が突然、敵の攻撃を受けていますの!!カイザー達が応戦していますが、急いで戻って来てください」


マーチの言葉に、俺達は固まる。


陽炎城が攻撃されてる?

誰に?


突然の報告に、パニックになっていると、


「リブ様、大至急戻りましょう。クーパー様、申し訳ありませんが、今日のところはこの辺で失礼致します」


ケインが、そういいながら俺の両脇を抱えると、無理やり立ち上がらせる。


「ええ、私達の事はいいから急いで戻ってあげて、大丈夫だといいけど」


と、クーパーが心配してくれているのだが、その言葉を背中に聞きながら城を出るのだった。


城門の前に出ると、ミーシャがワープの魔法を唱える。

そして、俺達の足元に魔法陣が描かれると、一瞬にして陽炎城の近くに転移した。


「マジか……」


そこで俺達が見た光景は陽炎城の城壁が燃えていて、その前の草原で戦っている両軍の兵士達だった。

そこには、ガキン!!ガシン!!という音と、ワー!!オー!!という声がこだましていた。


「ここからでは、城門まで行くのは厳しいですね。しかし我々は今、戦場の背後にいます。後ろから敵の総大将を狙うのはどうでしょう?」


ケインが、冷静に分析して、案を出してくれている。

確かに、俺達3人は敵の背後にいる、それならば前で戦っているカイザー達と挟撃が可能なのだ。


「よし!!そうしよう。両軍入り乱れているから、俺の魔法が使えない。ケイン、敵の総大将を見つけられそう?」


戦場の中には、敵だけじゃなく味方もいるので殲滅はできない。

なので、ケインに見つけてもらうしか無いのだ。


戦場は砂煙と兵士達の熱気で、蒸れたように暑かった。

現状、見ているだけしかできない俺は、焦りと、その熱気で額から汗が流れ落ちる。


「ギート、聞こえますか?敵の総大将がどこにいるのかわかりますか?」


ケインが通信でギートに、総大将の位置を確認している。

そうか、ギートのわしの目なら戦場全体が見渡せる。


しかも、ギートは矢棟の頂上にいる。


「ケインさん、見つけました!!リブ様のいる場所から、左手方向の1番後ろにいる、馬に乗って指示を出しているのが敵の総大将です」


ギートが敵の総大将を見つけた。


俺達は、敵に気づかれないようにそっと移動すると、大きな声で指示を出している人物の後ろに行く。


そして、


『ライトニングサンダー!!』


俺が魔法を唱えると、総大将の上に魔法陣が描かれ、ドーン!!という音と共に極大の雷が落ちる。

次の瞬間、指示を出していた人物は馬と共に地面に倒れて動かなくなってしまった。


それを見ていた周りの兵士達は、一瞬固まると、混乱しながら逃げ始めた。


前線はまだ乱戦中で、後ろの混乱には気づいていない。

俺は、倒れている総大将を捕虜にするべく、魔法のバッグから縛れそうな紐を取り出すと、

両手を後ろに組ませて上半身をぐるぐる巻く。


その隣で、ケインがカイザーに通信で勝利した事を伝えている。


「我らが主の勝利だ〜!!」


すると、城門の前からカイザーの声が響いた。


「おー!!」


と、マットの兵士達も、勝ちどきの声をあげている。

その声を聞いた敵の兵士達は、後ろを振り向く。


そして、悲壮な顔で跪く者、慌てて逃げ出す者とそれぞれ様々な行動に出る。

とりあえず、これで陽炎城防衛戦は勝利に終わったのだった。


俺達は、捕虜にした将軍を連れて城門を抜けると、マットの住民達が大喜びしていた。

その中を、城に向かって歩いて行く。


「なんか、映画のワンシーンみたいだな」


「ええ、英雄になった気分です」


俺とケインは笑いながら、城に入って行く。


「おかえりなさいませ」


玄関にセバスチャンとチャーリー、そしてアイーナが待っていた。


「ただいま、みんな無事でよかった」


「そちらの方はどうするのでございますか?」


セバスチャンが、捕虜の将軍を見る。


「まずは、こいつの盟主について聞こうと思ってね、次の相手の情報収集ってやつだね」


「次の相手……という事は」


「ああ、俺の家と家族に手を出したんだから、その報いは受けてもらわないと」


俺は、基本適当で面倒くさがり屋だから自分から何かをする事はない。

でも、それはあくまで基本の話だ。


流石に攻撃されて、笑って見過ごすほど甘くは無いのだ。

それに、今後こんな事が続くと、俺は城から出る事も出来なくなってしまう。


「面倒な芽は摘んでおかないと」


俺はそういうと、元鍛冶場だった場所に捕虜を繋ぐ。


「さて……みんなありがとう。陽炎城を守ってくれた事を感謝している……本当にありがとう……」


俺は、泣きそうになるのをグッと堪えて、メンバーに深くお辞儀をする。


「私達も家族なんでしょ?それなら自分の家を守るのは当然な事ですわ?だから頭をあげて下さい」


マーチが俺の肩を掴みながらそう答えた。


「そうですよリブ様、いつも通り笑って下さいよ」


ギートもマーチの後ろから声をかけてくれた。


「俺は本当にいい家族を持ったよ……みんなこれからもよろしくね」


そういうと、顔をあげてみんなの顔を見るのだった。

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