3話 同盟と盟主
通信が切れた後、俺は大広間に戻って考え込んでいた。
そういえば人の城に勝手に入れるのか?
城門は開くのか?
いきなり攻撃されたらどうしよう?
などと思い更けていると
「お邪魔します!!」
玄関から、声が聞こえた。
慌てて玄関まで行くと、そこには見た目は20代半ばの、鎧をきた青髪のイケメン紳士が立っていた。
「先ほどは通信で失礼しました。ケインと申します。」
深々と頭を下げお辞儀をする紳士に
「イエイエ……コチラコソ……ワタクシ……」
と何故か緊張してカタコトになってしまう。
一度呼吸を整えて名前を言おうとしたら
「リビュ・キュロートともうしましゅ」
と噛み噛みになってしまった。
その挙句には正座をして、まるで土下座をするかのように深々とお辞儀をしてしまう。
「ふふふ……」
そんな俺を見て、吹き出しそうに笑うケインさんだが、土下座中の俺には声は聞こえても顔は見えない。
「リブさん顔をあげてください」
それどころか、ケインさんにそう言われて、初めて自分が土下座している事に気がつく始末だ。
「ま、まぁ……とりあえず上がってください。まだ何もないですが」
俺が取り繕うように言うと、ケインさんも微笑みながら上がってくる。
俺は、玄関に入ってすぐの大広間に案内して座ってもらう。
「えっと…お会いして突然なのですが、リブさんは何故生産職を選ばれたのですか?」
座ると同時くらいにいきなり質問を投げかけられて一瞬固まってしまった。
「それは……ここに来た時に1人だったから……1人でも生きていけそうな職業をと……
後、さんはいらないのでリブでいいですよ」
先ほどから敬称が気になっていた。
せっかく知り合えたのだからもっと気楽に話たいと思ったので提案してみたのだが。
「…………」
ケインさんは、何かを考え込んだまま無言になってしまった。
そして次の瞬間、俺の手を握ったと思ったら、
「リブさん!!私決めました!!あなたを主としてこの世界で生きたいと思います」
と、いきなり訳のわからない提案をして来たのだ。
「うん?どういう事ですか?ちょっとよくわからないのですが」
俺が困惑していると1冊の本を取り出した。
「これは私の城にあった本なのですが」
なんの本だろうと差し出された本の表紙を見るとそこには
【 同盟に参加 】
と書かれていた。
あれ?確か俺の本は【 同盟と役職 】だったはず。
「中を見てもいいですか?」
と俺が聞くと、どうぞと渡してくれた。
そこには……
《同盟に参加する為に盟主となる人物を選択してその人物の下で仕事をする》
と書かれていた。
盟主になるじゃなくて、選択する?
確か俺の本の中身は
《同盟を作り仲間を集めて役職を与える》
だったはずだ。
ん?これって必然的に俺が盟主側にいる事になりませんか?
「あの〜本当に俺でいいのですか?」
恐る恐る聞いてみた。
俺は基本、適当で自由奔放な性格で、盟主などという人の上に立つ事など無理ゲーなのだ。
「大丈夫です。私は今からリブさんの下に入ります」
と、何故か意気揚々と答えられてしまった。
「ではケインさん……いえケインに参謀の役職を与えます」
なんか、どこかの王みたいなセリフになってしまった事は一旦置いておく事として。
本に書かれていた役職から参謀をチョイスしてケインに与えてみた。
するとケインの体が光出し、着ていた鎧が法衣のような衣装に変化したのである。
「リブ様の為に参謀として頑張る所存であります」
様?やめて……恥ずかしい……様はやめようよ……
顔が火照るのを感じた俺は
「リブ様はやめてくれないかな?なんか恥ずかしい」
とケインにお願いしたのだが……
「盟主に対して不遜な言い回しはできません」
と却下されてしまった。
何はともあれ、ここにケインと同盟が成立したのである。
ちなみにケインは参謀になった事でスキルも増えたらしい。
ステータスはというと
名前 : ケイン
種族 : 人間
職業 : 騎士(参謀)
性別 : 男
基本スキル
片手剣装備、両手剣装備、盾装備、重鎧装備、身代わり、資源回収、素材回収、
光魔法使用、直接攻撃耐性、間接攻撃耐性、全属性耐性
参謀スキル
情報収集、計略、地形感知、育成、測量
ケインも俺に負けず劣らずの能力だった。