36話 猿?人間?
昨夜とは大違いで、大広間には爆笑の声が響いていた。
うん、やっぱりこの方がいいな……
陽炎城は笑いが溢れる城にしたい。
そのためには、やっぱり俺は王にならないと……
そんな事を考えていると、ケイン達とギート達が一緒に帰ってきた。
「何やら、楽しそうですね?」
ケインが何があったのですか?と言いながらテーブルに本を置きながら聞いてくる。
「まぁ、笑いが多いのはいい事だ」
説明するほどの事でもないので、適当に流しておいた。
これで、カイザー以外は全員揃ったかな?
「じゃあ、始めようか」
俺が、会議を始めようとした時だった。
「戻りました!!リブ様、猿を見つけたのですがどうしますか?」
カイザーが、タイミングよく帰ってきた。
って……何?猿を見つけた?
カイザーの謎の言葉に、全員が一斉に入り口を見る。
するとそこには、猿がいた。
「いや、ワイ猿やないですよ?サリーいいます。よろしゅう」
猿が、人間の言葉で挨拶してきた。
「喋る猿?珍しいね」
「せやから!!猿とちゃうって!!さっきからそう言うてるやろ?」
猿は、すごい勢いで捲し立てる。
「ワイはサリーっちゅう獣人で猿人や、日本からこっちに来た人間や」
猿人なのに人間?
訳が分からん。
「っで、その猿がなんでカイザーに捕まったの?」
そのやり取りに、ミーシャがまたツボっている。
「もう猿でもええわ……森で狩りしとったら、この兄ちゃんがいきなりテイムする!!ゆうて攻撃してきてん」
カイザーは、猿をテイムしたかったのか。
もうミーシャだけじゃなく、女性陣全員が爆笑の渦になっている。
「ミーシャ、絶対明日の朝シックスパック確定だな」
「だ……だから……それは……勘弁……」
もう笑い過ぎて、死にそうな勢いだ。
「姉ちゃん達、笑い過ぎちゃうか?」
「だ……だって……まさかの……猿……」
もう、ミーシャはダメだな。
「まぁ、今から重要な話合いをするから、ちょっと待ってて」
俺は、場の雰囲気を戻そうと頑張ったのだが、
「く……くく……リブ様……この雰囲気は流石に無理です。一度休憩にしましょう」
ケインも、笑いを必死になって堪えている。
全く……
「アイーナ、お茶のお代わり頂戴」
俺はアイーナにお願いすると、お茶をすするのだった。
しばらくして、大広間の空気も落ち着いたので、まずはサリーの話を聞く事にする。
「それで?サリーはなんでここに?」
「ん?なんでやろ?」
何故か、サリーも一緒になってお茶をすすっている。
「おいおい……まずはどうしてあの森にいたの?」
「ああ、2日ほど前にな、突然知らん城の前におってん、ほいでもって登録っちゅうのをしたらな、猿になってん」
いや……それはお前が決めたんだろう?ってツッコミたかったのだが、話が進まなそうなのでやめておく。
「んでな?腹も減ったから、食べ物探しに森に入ったら、このお兄ちゃんに捕まってん。ほいでな、勝手にここに連れて来られてん」
なるほど……
運が悪かった訳か
「そうか、それはうちのカイザーが迷惑かけたな。じゃあもう帰っていいよ?お疲れさん」
「いやいやいやいや!!ちょい待ちーな!!ちゃんと話聞いとったんか?帰っても何もないんや。ここに置いてーな」
「はっ?勝手に連れて来られただけって言ったじゃん。それに、なんで俺がお前をここにおかなきゃならないの?」
「いや……すんまへん……是非ともワイも仲間に入れてください。よろしゅうお願いします」
猿は、土下座をして額を畳に擦り付けながら、深々と頭を下げる。
「リブ様、漫才はその辺りで……今は1人でも戦力が多い方がよろしいかと」
ケインが、猿を仲間にと言っている。
「うーん……まぁケインがそう言うならいいか。それで?サリーの職業は?」
「ありがとうございます。ワイの職業は生産職や」
「そこはボケないんだ……」
俺は、まぁいいやと胸元から本を取り出すと
「サリーには、兵器工場の開発担当の役職を与える」
俺がそう言うと、サリーの体が光出し、服装がツナギのような作業着に変わる。
そして、お決まりの地震が起こる。
「これでいいかな?とりあえず会議を始めよう」
「なんか、ワイの扱いが軽くない?」
気のせいだろ?と言いながらサリーの言葉を流す。
長かったが、やっと会議が始められると思ったのだが……
やはり、今度は全員がツボってしまっているのでもう一度、休憩を挟むのだった。




