28話 そこに愛はあるんか?
大広間に戻ると、セバスチャンとアイーナが待っていた。
「セバスチャン、今からお客さんが4人来るから準備してもらっていい?」
「了解致しました」
そう言うと、セバスチャンとアイーナは準備を始める。
俺達も座って、ギート達が帰って来るのを待つ。
「ただいま戻りました」
玄関から、ギートの声が聞こえる。
セバスチャンとアイーナが、玄関まで出て迎え入れる。
「ギート様、ロイ様、おかえりなさいませ。お客様方も、中でリブ様がお待ちでございます」
セバスチャンはそう言うと、俺達が待つ大広間まで連れて来る。
ギートとロイはいつもの場所に座ると、客の4人は俺の正面に座るように促されていた。
全員が席に着くと、アイーナ達がお茶を運んで来る。
「はじめまして……じゃないよね?そちらのお2人は、はじめましてになりますが。俺がこの同盟の盟主をしているリブ・クロートです」
俺が、4人に自己紹介すると
「私はチャコと言います。こっちの大きいのがマガストール、私達は日本から来た夫婦です」
チャコと名乗った女性は、短めの赤茶色の髪で、額に小さな角が生えている。隣の大きな男性は男にしては長めの黒髪で、優しそうな顔をしているのだが、がっちりとした体型をしている。この2人は夫婦だった。
「私はネージュと申します。私も日本から来ました」
「私はカイザーと言います。私も日本からです」
ネージュとカイザーも、日本に転生した王か将軍だろう。
ネージュは、白い髪に猫耳が付いている子供っぽくて可愛らしい女性だった。
カイザーは、銀色の短髪に、整った顔立ちのイケメンで、大人しそうな男性だった。
「私は、リブ様の参謀をしているケインと申します。今回、あなた方が陽炎城に来られた理由を教えてくださいますか?」
ケインが、事情を聞きたいと言った。
「それに関しては、私から……
まず最初に、私達がいた城の城主は、日本人ではありませんでした。
本人は、元々この世界で王をしていたと言っていました。
そして、この街の様に住人を大事にしていなかった……
私達に対しても、ただの駒としか思わない人でした。
自分は王になる人間だから、全て自分に従えと言う……所謂、独裁者です。
それに嫌気がさしていた時に、この同盟都市が近くにできました。
私と旦那は職業が隠密だったので、この街の偵察を言い渡されました。
その時に、リブ様に出会ったのです」
チャコが説明している間、他の3人は下を向いている。
「そして、広場であの演説を聞いたのです。
その時に、私達が本当に仕えるべき人物はリブ様であると考えました。
なので、日本から来た仲間を連れて一緒にこの街に来ようと、自分の城に戻ろうとしたそのタイミングで、街に軍勢が攻めて来たのです。
私達は、近くにいた男性にその事を伝えました。
それで、リブ様は自ら前線に立ち、あの軍勢を一撃で壊滅させてしまった。
あれには正直、自分の目を疑いました」
あっ……あの時チャコさん達も近くにいたんだ……
「すみません……一歩間違えたら巻き添えでしたね……」
「いえ、私達はその時にはもう自分の城の近くにいましたから大丈夫です」
それなら良かった。
あれ?でもそれって…
「横からごめんなさい、チャコさん、そのタイミングってあなた達のお城も攻撃されていたのではないの?」
俺が思っていた事を、マーチが聞いてくれた。
「ええ、私達が城に着いた時に、あの城にも軍勢が攻めて来ていました。
でも、あの城主はネージュとカイザーの2人だけを城に残して、自分達は逃げたんです。
2人からその事を聞いた私は、今すぐこの城を捨てて、一緒にここを出ようと提案しました。
そして、この城に向かっている途中で彼らに会ったので、事情を説明してここに来させてもらいました」
なんとなく、事情はわかった。
「酷い城主ですね」
と、マーチが怒っている。
「ええ、私達は最初に会ったのがリブ様で良かったです」
ノエルもマーチに同感だと言っている。
そのノエルの発言に、残りのメンバーも大きく頷くのだった。
「えっと、それでうちの同盟に入りたいって事なのかな?」
俺は恥ずかしくなったので、話を変える。
「はい、出来れば4人ともこちらでお世話になりたいのですが」
その様子を見て、チャコさんが笑いながらそう言うのだった。




