27話 盟主はチートになりました
スピーチ台を降りるとケインが笑顔で待っていた。
「素晴らしい演説でした、これでこの街の住人達も喜んで協力してくれるでしょう」
「俺は恥ずかしいから、もう2度とやりたくないけどね」
俺はそう言うと、広場を後にするのだった。
広場から離れて、街の中を歩いていると、先程の男女を見つけた。
「あの……先程はありがとうございました」
「ん?ああ、盟主様か、別にお礼なんかいらないよ?」
女性がそっけなく答えた。
「じゃあ、私達はこれで」
そう言うと、人混みに消えて行った。
この街の人じゃないのかな?
謎の男女と別れて、内門の前まで来るとギートが立っていた。
「ギート、どこに行ってたの?」
「はい、ミーシャさんと岩山に狩りに行ってきました」
そう言われて、ギートの後ろを見るとミーシャがいた。
「これは、リブ様。やっぱり狩りは楽しいですね」
ミーシャは満面の笑みだ。
なんか、ミーシャの開けちゃいけない扉を開けてしまったみたいだ。
そこに、1人の男の人が慌てて走って来た。
「リ……リブ様!!城の外に謎の軍勢が向かって来ています!!」
そう言われた俺は、内門の城壁の上に登る。
城の外を見ると、遠くに砂煙が上がっていた。
「ミーシャ!!急いでケインとセバスチャンに報告して、街のみんなを非難させて!!ギートは、残りのメンバーを外の城壁の前に集合させて!!」
俺は、ギートとミーシャにそう指示を出すと、城壁に向かう。
城壁に着くと、砂煙が陽炎城の近くまで来ていた。
とりあえず、あれは敵なのか?
大きな旗を掲げた歩兵や騎兵、弓を持った兵士が城に迫って来ている。
こちらから攻撃を仕掛けていいのかわからず、戸惑っていると
「リブ様!!ご無事ですか?」
ロイが城壁に走って来た。
「ああ、ロイ。まだ大丈夫だけど、あれってやっぱり敵だよね?」
「あれは多分、私の城を燃やした人達ですね。あの旗を見た事があります」
ロイに確認すると、やはりロイの城を攻撃した人みたいだった。
「じゃあ、こっちから攻撃しても大丈夫だよね?」
俺は、そう言うと
『エクスブロード!!』
軍勢に向けて、覚えたばかりの魔法を放つ。
すると、軍勢の下に大きな魔法陣が描かれる。そして次の瞬間、爆炎と共にドーン!!という爆発が起こり軍勢は壊滅した。
「あれ?一撃で終わった?」
「みたい……ですね……」
ロイは何が起きたのかわからない様子で、驚き固まっている。
「リブ様!!ご無事ですか!!」
ケイン達が、爆発を見て大急ぎで城壁に駆け寄って来た。
「今の爆発は一体?」
俺の横まで走って来ると、息を切らしながら確認してくる。
「あ〜、うん、俺の新しい魔法を全力で撃ってみたら、一撃で全滅しちゃったみたい」
俺の言葉に、集まって来た全員の顔が固まる。
「えっと……かなりの数でしたが?え?本当にたった一撃で?」
ケインは信じられないと言いながら、一部始終を見ていたロイを見る。
「えっと……はい……ケインさん……間違いなくリブ様の魔法一撃で軍勢は壊滅しました」
ロイも信じられないが、その目で見た以上嘘はないと言っている。
「ま……まぁ……とりあえず、これで危機は去ったんだから良しとしよう。ロイとギートであの場所を確認して来て欲しい。俺達は天守閣から向こうの城の様子を見たいから先に行ってるから」
俺は誤魔化すように、ロイとギートに現場の確認を任せて、残りのみんなを連れて天守閣に向かって歩き出す。
城門をくぐると、住人達が大騒ぎをしていた。
「さすがはリブ様だ〜〜!!」
「マットは安泰ですね!!」
そんな声が聞こえるが、恥ずかしいので無言で通り抜ける。
そして城に入ると、セバスチャンとメイド達が並んで頭を下げていた。
「だから……それはやめて……」
そう言うと、そそくさと天守閣に向かう。
天守閣に着いた俺達は、ベランダから先程の場所を確認する。
そこには、ロイとギートが確認作業をしているのが見える。
「そういえば、ここに転移してから周辺の確認をしてなかったな」
そう言うと、俺は辺りを見回す。
攻撃を仕掛けて来た城は、転移前に陽炎城があった場所から見えた所にそのままある。
マットのすぐ近くには狩りをした岩山がある。
そして、反対側を見た時だった。
ここから少し遠くに、マットくらいの大きさの西洋風の城が見えた。
そしてその城が、今まさに攻撃を受けていて、燃えているのだ。
「あの燃えてる城って、もしかして同盟都市じゃない?」
「大きさから言えば、マットより少し大きいですかね?先程の軍勢に攻撃されているのでしょうか?」
「あそこを見てください」
マーチが燃えている城の方を指差すと、そこには人影が見えた。
俺は急いで望遠鏡を取り出すと、人影を確認する。
「4人いるな、あれ?あの人は……」
望遠鏡で見た人は、先程マットにいた女性だった。
その隣に大柄の男性が、こちらもさっき女性と一緒にいた人だった。
「リブ様?知り合いですか?」
ケインが確認してくる。
「ああ、さっきの騒ぎの時に声をあげてくれた女性だよ」
俺が、街であった事をみんなに説明する。
「その女性達が何故、あの城からマットに向かって来ているのでしょう?」
ミーシャが、不思議そうな顔をしている。
「それは、本人達に聞いてみよう」
そんな話をしていると、4人の謎の人物達がギートとロイに接触したのだった
「リブ様、見られていると思いますが、僕達にリブ様と話をしたいという人達が」
そして、ギートから通信が入る。
「うん、こっちから見てた。その人から話を聞きたいから城に連れて来てくれないかな?」
俺がそう言うと、
「わかりました。では今から城に戻ります」
ギートはそう言うと、通信が切れるのだった。
「さて、ギート達が彼女達を連れて帰って来るから大広間で待つ事にしよう」
そして全員で大広間に戻るのだった。




