22話 執事とメイドと盟主覚醒!!
街に向かう道中に、何度かモンスターと遭遇して戦闘になったが、無事辿り着いた。
街の門の前に、ケインとノエルが見えた。
「リブ様、お待ちしておりました」
数日振りに会うケインは、相変わらずだった。
「ケイン、お疲れ様。それで?転移する場所はここでいいの?」
会うが早いか、早速ケインに転移先を確認する。
「そうなのですが、まずは、この街の代表とお会いください」
ですよね〜?
それは流石に、俺でもわかってましたよ?
いや、本当に
「だね……とりあえず街に入ろうか」
ケインとノエルに連れられて街に入る。
「リブ様、こちらがこの街の代表のセバスチャンさんです」
「初めまして、陽炎城の城主で盟主をしています、リブ・クロートと申します」
俺は、先手必勝とばかりに挨拶をする。
「盟主様に先にご挨拶をさせてしまうとは……私もまだまだでございます……申し訳ございません……この街の代表をさせて頂いております。セバスチャンと申します。以後お見知りおきを」
白髪で口元に髭を蓄えた上品な老紳士が、俺に先に挨拶をされて一瞬緊張した面持ちだったが、優雅に深々とお辞儀をしながら自己紹介をしてくれた。
その様子を見ていたケインが、若干呆れた顔をしていたが気にしない。
「まずは、私から説明をしますのでこちらへどうぞ」
セバスチャンに連れられて、街の奧にある広い屋敷に入る。
鉄で出来た門を抜けると、そこにはメイド服に身を包んだ女性達が並んでお辞儀をしていた。
「えっと……なんか恥ずかしいから、こういうのはいいや、普通にしてくれないかな?」
俺がセバスチャンにそう声をかけると、ニコっと微笑みメイド達のお辞儀を辞めさせてくれた。
「やはり、リブ様はそう言うと思っていました」
ケインが俺の隣で笑いながら、後ろを歩くノエルと目を合わせている。
「ですね、リブ様だったら絶対そう言うと思ってました」
ノエルも、後ろから笑いながらそう言っている。
「わかってたならやらないで……」
俺は、なんとなく嵌められた気がした。
まさかこれもケインの仕業か?
「そうですよ?」
ノエルが、読心術で俺の心を読んで答える。
「全く……」
楽しそうに、笑いながら歩く2人を横目に玄関に入る。
「ケイン様のおっしゃった通りの方のようで、安心しました」
セバスチャンは、何か含みを持たせた言い方をした。
「もしかして……俺、試された?」
なんとなくそんな気がしたので、口から出てしまった。
「申し訳ございません、これからお仕えさせて頂く方ですので、ケイン様にお願いしてリブ様の人となりを見させて頂きました」
セバスチャンが真面目な顔で深々とお辞儀をすると、メイド達も一斉に頭を下げる。
「いや……だから……そういうのはいらないから……」
俺はセバス達にそう言うと足早に部屋に入るのだった。
部屋の中には大きめのテーブルがあり、椅子が並んでいた。
「こちらにお座りください」
セバスチャンに促され、俺が上座の席に座るとケインとノエル、ロイも席に着く。
「では、説明させて頂きます」
「ちょっと待って、セバスチャンさんこっちに座ってくれていいですよ?」
セバスチャンが立ったまま説明を始めようとしたので、俺は慌てて座らせようとしたのだが
「いえ、ご主人様の前に座る事はできません」
と、力強く断られてしまった。
って………ご主人様?
「ご主人様って何?」
俺は配下に入るとは聞いていたけど、ケイン達みたいな立ち位置いになると思っていたので、セバスチャンの言葉にかなり動揺してしまった。
「はい、私共は執事とメイドとしてリブ様にお仕えさせて頂きますので、ご主人様なのでございます」
セバスチャンが、真面目な顔でそう答える。
「どう言う事?」
俺は、ケインとノエルを見る。
「セバスチャンさん達は、陽炎城の雑務を担ってくれる方々です」
ケインが、真面目な顔で答えた。
「雑務って事は炊事、洗濯、掃除みたいのを全部やってくれるって事?」
「左様でございます」
なんとなく理解出来た。
今は、みんなでやっている事を全て彼らが引き受けてくれると言う事だ。
「雑務は我々が引き受けますので、皆様はご自分のお仕事に集中して頂きたく存じます。
それから、私どもに敬称など不要にございます」
「あっ……うん……了解しました。ごめん、話を続けてください」
「それでは、まずお話をさせていただく前に、確認したい事がございます」
セバスチャンが、俺を見ながら何やら不思議そうな顔で聞いてきた。
「ん?何かな?」
逆に俺が、不思議に思い確認する。
「はい、リブ様は何故、盟主として覚醒していらっしゃらないのでしょうか?」
ん?どういう事?
盟主として覚醒って何?
意味がわからないんだけど?
「覚醒って何?」
俺はセバスチャンに聞いてみた。
「申し訳ございません。失礼ながら、リブ様はまだ盟主のスキルを有していない様に思えたものですから」
確かに、ケイン達は役職スキルを持っているが、俺は役職スキルを持っていなかった。
「重ね重ね申し訳ございません。同盟の領土の名前はお付けになられましたでしょうか?」
「え?陽炎城じゃないの?」
城の名前が、そのまま領土の名前じゃないの?
確かに、みんなの城が統合してるから領土は別なのかな?
「陽炎城はお城の名前でございまして、城内が領土になります。
それを同盟の領土と申します。ですので、その領土の名前をお考え頂ければ、リブ様に盟主としてのスキルが付与されて、覚醒されると思われます」
でたな……名前……俺、苦手なんだけど……
この際だから、英語で考えてそれっぽくしてみよう。
どうしようかな?
領土ね……テリトリーだっけ?
あっ!!
「じゃあ……most attractive territory( モースト アトラクティブ テリトリー)の頭文字をとっ
て……mat……『マット』なんてどうだろう?」
『最も魅力的な領土』って意味だけどいいよね?
マットシティとかなんかカッコいいし
すると、俺の胸の本が光る。
『同盟都市マット……登録しました……盟主はリブ・クロートです』
またあの声が聞こえる。
あっ……マットシティじゃなくて、同盟都市になっちゃうんだ……
「素晴らしい名前ですね。では、今後、我々の領土は同盟都市マット、お城は陽炎城という事になりますね」
ケインがなんか感動している。
次の瞬間、俺の体が光り服装が変わる。
それを見たケインは席から立ち上がり、ノエルはなんかうっとりしている。
ロイは驚いて固まっていた。
セバスチャンとメイド達は跪いている。
「えっと……鏡ってあるかな?」
俺は、自分の格好を確認したくて鏡を求めると、ノエルが魔法のバッグから姿見を取り出してくれた。
そして鏡を見てみると、右肩には金色で装飾がされている肩当ての様な物が、左の脇まで皮のベルトで止められている。そして、右の脇の下から左肩に向かって赤いロングマントが、上半身は胸元に羽の様な物が付いた黒いロングコート、下半身はスラックスにロングブーツという、完全にファンタジーの世界の貴族みたいな格好をしていた。
「紋付袴じゃないんだ……」
俺はそう呟く。
しかし、それよりも驚いたのは、顔が変わったのだ。
今までは、黒髪の短髪で見た目は30代前半の、おっさん風だった。
しかし今は、髪型は短い散切りの赤い髪で、見た目は20代のイケメンになっているのだ……
この変化には、流石の俺もかなり驚いた。




