表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
城から始まる異世界物語  作者: 紅蓮
大陸騒乱編
138/160

135話 演習とカマイタチ

カイザー達はケインの指示により城外で総合模擬演習を行っていた。


「今日の模擬戦は先日の陣形に不備がないかの確認を最重要事項とする!!各部隊長及び小隊長は指示のタイミング等しっかり確認するように!!ではこれから模擬戦を始める!!戦闘開始!!」


「「「おお〜〜〜〜!!!!」」」


カイザーの掛け声と共に演習が開始される。

東軍はケインが作った陣形を西軍はフランが作った陣形を作っていく。


東軍の総指揮官はマーチで騎馬隊と弓騎兵が核をなし、歩兵を前衛に置き後衛に魔法兵が援護射撃する形だ。

西軍の総指揮官はクーパーで武闘歩兵と剣客歩兵が核となり弓兵と魔導兵団を後衛に置いている形になっている。


お互いの歩兵同士が前線でぶつかり合うと各所で戦闘が行われている。

そこに後方から弓騎兵と弓隊の矢と魔法兵の魔法と魔導砲が飛び交う。


模擬戦と言いながら実践さながらの攻防が繰り返される。

回復はノエルとライズが担い、アドオンは中立の立場で医療行為を行っている。


その他、各部隊長が小隊長に指示を出し少しずつ陣形を変えていく。


「左側が手薄になっています!!気をつけてください!!」


「それでは遅いですよ?」


すでにそこにはチャコが忍部隊長を連れて深くまで入り込んでいた。


「くっ!!ゼキルさんお願いします!!」


「任された!!」


チャコの後ろから気配を消したゼキルが羅刹と共に現れる。


「わっ!!まじ?」


キンッという音と共に火花が飛ぶ。

突然後ろから攻撃されたチャコは驚き部隊を後退させる。


「流石にやるね〜」


「そう簡単に進ませないよ?」


ゼキルのアサシン部隊が忍部隊を追撃する。


「こちらもこれで終わりじゃないですよ?」


チャコがそう言うと次の瞬間、ドンッという衝撃と一緒に羅刹の体が宙を舞う。


「マガストールさんですか!!」


そこには伏兵のマガストール部隊がゼキル達の背後から攻撃を仕掛けていた。


「流石ですね!!一度退がります!!」


ゼキルの号令にアサシン部隊も後退する。

左方の攻防は互角だ。


一方右方ではロイとセシルが戦闘中だった。


「セシルさん行きます!!」


ロイは剣客歩兵を引き連れて真っ直ぐセシルの歩兵隊に向かって行く。


「簡単には通しませんよ?」


セシルも歩兵隊を進めてロイを迎え撃つ。


「ネージュさん今です!!」


ロイの指示でネージュの武闘歩兵がセシルの横から攻撃を仕掛ける。


「そうはいきません!!」


そこにワイズが歩兵を連れて割って入る。


「ワイズさん助かりました」


「こちらは任せてロイさんに集中してください」


セシルはコクッと頷くと再度前を向く。


「やりますね、これは長期戦になりそうです」


「ええ、簡単に負けませんよ?」


こちらも一進一退の攻防だ。


中央ではカイザーとゲーリックの騎兵隊が向き合ったままどちらも動いていなかった。

しかしその上空ではギートの弓隊とユリーカの弓騎兵隊の矢が飛び交っていた。


「ユリーカちゃん強くなったね」


「ギートさんに負けませんよ?」


「じゃあこれはどうかな?」


ギートはそう言うと弓隊を退かせ弩級隊を前に出す。


「弩級隊撃て!!」


山なりに飛んでいた先程とは違い、早い矢が真っ直ぐ飛んでいく。


「流石にこれは!!弓騎兵隊右方散会!!」


ユリーカは機動力を生かし素早く陣形を動かす。


「やるね!!」


「まだまだこれからです。弓騎兵隊ヒットアンドアウェイ!!」


今度はユリーカの弓騎兵隊が前方に突進しながら矢を放ち撃ったら退くを繰り返す。


「これじゃ狙いが定まらないね……弩級隊後退!!」


ギートは弩級隊を退かせ体制を整えると撃ち方を止め距離を空ける。


「魔法部隊用意!!」


『ファイヤー!!』


『コールドボルト!!』


マーチの指示でギートの後ろにいた魔法部隊が一斉射撃を始める。


「そうはさせまへんで?魔導砲用意や!!」


サリーの号令で魔導兵団の魔導砲が発射される。


ドーン!!と上空でお互いの攻撃が衝突する。


「やるじゃない?猿」


「中々のもんでっしゃろ?せやけどこれで終わりとちゃいまっせ?」


サリーがそう言うと後方から巨大な魔導兵器が空に飛び上がる。


「ミーシャはんお願いします!!」


「任された!!拡散メガ魔導砲!!


次の瞬間巨大な魔導兵器の胸元が光出し無数の光線を放つ。


「全く……相変わらず面倒ね……」


『フロストノヴァ!!』


マーチの魔法が光線を全て凍らせる。


「また?もう……改良が必要ね」


ミーシャはゆっくりと地面に降りる。


「ふぅ……そろそろ決め手が欲しいわね」


マーチは戦場全体を見回す。

と、クーパーの後方に見慣れない山が出現している。


「ね!!ねぇ!!あれ何?」


「全体止まれ!!」


マーチの声にカイザーが反応し、その声に全部隊が停止する。


「モンスターですかね?」


「多分そうじゃない?でも見た事ない地形ね?」


「ここは危険なので今日の模擬戦は終了ですね、とりあえず私が調査してきます」


「初めてのモンスターに単独は危険だわ?パーティーで挑んだ方がいいわね」


「メンバーはどうしますか?」


「私とカイザーさん、ノエル、ネージュさん、ギートさん、ミーシャさんでどうかしら?」


「前衛と後衛、回復のバランスがいいパーティーですね。ではそれでいきましょう」


「じゃあ行って来るからみんなは待機で総指揮はロイさんにお願いしますわ?」


「わかりました!!お気をつけて!!」


こうしてカイザー達は見た事のない地形に挑んで行く。


「普通の山ですね?」


「ですね?」


ギートとミーシャは辺りをキョロキョロしながら登る。


「ねぇお姉ちゃん今度はどんなボスなのかな?」


「わからないわね?でも油断は禁物よ?」


ノエルとマーチは周囲を警戒している。


「ネージュさん私がタンクをやりますので先制をお願いします」


「はい、しっかり準備しておきます」


カイザーとネージュは戦術を確認しながら歩く。


その時だった


『餌がわざわざ自分からやってきたか?』


目の前に大きな翼の生えた赤い虎が現れた。


「え?話せるモンスター?」


「餌って私達の事ですかね?」


『他に誰がおる?黙って喰われるがよい!!』


「くっ!!」


赤い虎がカイザー目掛けて突然飛びかかってくる。


『リフレクトシールド!!』


カイザーは咄嗟に大楯を構える。


『我の攻撃を防ぐか……』


「簡単に食べられる訳にいきませんから……ネージュさん今です!!」


『閃光脚!!』


カイザーの後ろからネージュが飛び出すと鋭い蹴りを繰り出す。

しかし、カマイタチの体は鋼鉄のように硬くネージュは弾き返される。


「くっ!!」


ネージュは再度体制を整えると攻撃の隙を伺う。


『阿修羅爆裂拳!!』


そこにミーシャが強烈な一撃を加える。

ガキンっという音と共にミーシャも後方に弾かれる。


「なんて硬さなの……」


「それなら……」


『フロストノヴァ!!』


今度はマーチが後方から魔法で攻撃する。


『氷魔法か……』


カマイタチはそう言うと大きな翼を広げるとマーチの魔法を跳ね返す。


「きゃっ!!」


跳ね返された魔法そのままマーチを直撃する。


『今度はこちらの番だな!!』


赤い虎の体が光出す。


轟風雷神斬(ごうふうらいしんざん)!!』


「ぐはっ!!」


カマイタチの周囲から風の刃と雷の力が融合し、烈風が巻き起こり、雷光が瞬くとカイザーの大楯が弾かれ風の刃が体を切り裂く。


「カイザーさん!!ノエルさん回復をお願いします!!」


ネージュはカイザーの体を起こすと後ろに連れて行くとノエルに回復を求める。


「わかりました!!」


『ヒール!!』


ノエルはカイザーにヒールをかける。


「ありがとうございます。しかしこのままではジリ貧ですね……」


カイザーはゆっくり立ち上がると、胸元の本を取り出すと通信を始める。

が、しかし何かに妨害されて通信ができなかった。


「困りましたね……外に連絡も取れません」


「では私がワープで」


ノエルがワープを試みるが、こちらも同じく何かに妨害されてしまった。


「ワープもダメですね」


「ネージュさん、急ぎ山を降りリブ様にこの事を大至急連絡して欲しいとロイさんに伝えてください」


「しかし……」


ネージュが周りを見回す。


「大丈夫よ?リブ様が到着するまでは持ち堪えてみせますわ?」


「そうよ?簡単に餌になる気なんてないから!!」


マーチとミーシャが笑いながらネージュの背中を押す。


「わかりました!!急ぎ山を降りそしてまた戻ってきます!!みなさんそれまで必ず」


カイザー達は頷くとカマイタチの方を向く。


「ネージュさんお願いします」


そう言うとカイザーはカマイタチに向かって行く。

ネージュは目に涙を溜めながら、そのまま振り向く事もなく真っ直ぐ山を降りるのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ