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城から始まる異世界物語  作者: 紅蓮
大陸騒乱編
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128話 それぞれの役割

「俺にもお茶をもらえるか?」


リブは席に座るとアイーナがお茶を淹れる。


「さて、みんなに集まってもらったのは他でもない。半蔵との戦いの件だ。ケインからある程度の話は聞いていると思うが、まず半蔵の城では戦争は起こさない。なので、向こうの兵士や住民達は傷つけないように。だが、相手がどう動くかわからないのでマットの防衛はするつもりだ」


「いまいちよくわからないのですが?」


「それで?具体的に俺達は何をすればいいんだ?」


「ゼキルとチャコには暗殺をしてもらう。カイザー、ケインはネージュと一緒に陽動作戦だ。ノエルは転移と回復を頼む」


「半蔵を暗殺ですか?でも隠密衆は欲しいんですよね?」


「ははは!!半蔵は暗殺しないよ!!暗殺するのはここに来た5人だ」


「へ?祭りに来たあの7人のうちの5人ですか?」


「ああそうだ。今は地下牢にいるらしいがそれは偽物だ」


「どういう事ですか?」


「あの5人は半蔵の所に潜り込んだどこかの城のスパイだ」


俺がそう言うとチャコとゼキルはお互いの顔を見合わせる。


「という事は相手は半蔵ではないと?」


「そういう事だ。相手の思惑も誰なのかもまだわからないが、この混乱に乗じて何かを仕掛けてくるのは間違いない。だから裏で動いている奴を釣り出して一気に叩くつもりだ」


「しかし、何故そのような事がわかったのですか?」


チャコが不思議そうに聞いてくる。


「ああ、それはこっちも監視していたからな」


「えっと……私は何も知らないですよ?」


「ははは!!チャコ達には祭りを楽しんでもらいたかったからな!!」


「では一体誰が?」


「ハティだ」


「なるほど……それなら納得しました」


「いくら半蔵に内緒でも祭りに来たのに無一文はおかしいだろ?だからお金を渡してどうやって祭りを楽しむのかを影からハティに監視してもらったんだ。その行動が日本出身者ではあり得ない行動だったんだ。だから、わざと宿の部屋をバラバラにしてみたら夜中にあの5人が集まって話をしていたらしい。その会話の内容も全てハティに盗聴させた。それであの5人は半蔵の配下であってそうじゃないってわかったんだ」


「では残りの2人は?」


「正真正銘の日本出身の半蔵の配下だ。恐らく半蔵も怪しいと思って監視を付けたんだろう」


「という事は、今回の半蔵の準備も?」


「ああ、俺じゃない誰かの攻撃に備えたんだろうな」


「しかし、クリオさんの報告ではリブ様が攻めて来るって……」


チャコが困惑している。


「スパイがいるのに本当の事は言わないだろ?」


「所で俺達の相手は殺してもいいのか?」


ゼキルが難しい顔で聞いてくる。


「暗殺とは言ったけど、人殺しをさせるつもりはないよ。抵抗させる事なく拘束してくれればそれでいい」


俺達は日本から来たのだ。

戦争もなく平和な国にいたので、人を殺める事など出来ないのだ。

俺は自分ができない事を人に押し付けるほど、独裁者ではない。

だから雰囲気的に暗殺という言葉を使ったが、本当に殺人など起こさせる訳にはいかない。


「なるほどな……それは助かる……」


ゼキルがホッと胸を撫で下ろす。

アサシンという職業を選んだが、殺人は流石に気が引けるようだ。


「だが、本気で殺すくらいの気持ちで行かないと逆にこっちがヤラれる可能性がある。相手は人を殺す事を何とも思わないかもしれないからな」


「わかった。そのつもりで臨むよ」


「ああ、頼む。チャコにも無理を押し付けるが気をつけてくれ」


「わかりました」


ゼキルとチャコは2人で打ち合わせを始める。


「さて、ケイン達の方は陽動作戦な訳だが基本的には相手の攻撃をケインとカイザーで受けてネージュが行動不能にしてくれればいい。ノエルは相手の回復を頼む」


「回復って相手を回復するのですね?」


「ああ、それともしゼキル達が殺してしまったら生き返らせれるか?」


「リザレクションで大丈夫だと思うのですが、使った事がないのでどの程度の効果なのかはわかりません」


「まぁ使わないのが1番なんだけどな。それと回復が追いつかない場合はライズを連れに戻ってくれ。2人で回復すれば楽になるだろう?」


「そうなのですが、何故始めからライズさんを連れて行かないのですか?」


「こっちでも何が起こるかわからないからな、回復役はこっちに多めに欲しいんだ」


「そういう事ですか。まぁ私の1番の仕事は戦後にありそうですが?」


「そういう事だ。半蔵との交渉とスパイの尋問の時にノエルが必要だからよろしく頼む」


ノエルが大きく頷く。

これで、大体の作戦は決まった。

見えない敵と戦う事になる訳だが、無事終わってくれる事を祈るばかりだ。

俺は、細かい確認作業を終えるとマーチの元に向かう。


マーチは参謀本部でフランと話をしていた。


「マーチいいか?フランもいるなら丁度いいな」


「ええ、こちらの準備もあらかた終わっていますわよ?」


「それは良かった。今回は何が起きるかわからないからな。もしかしたら全戦力で対応する事になるかもしれないし、逆に何も起こらないかもしれない。難しい判断になると思うけどよろしく頼むよ」


「お任せ下さい。こちらには幹部メンバー含め大勢のメンバーがいますし、フェルノさんやハティさんもいらっしゃいますので」


「そうだな、属州都市はシールドもあるし何とかなりそうだな」


「ですが、本当にこの王城に攻めて来る人なんかいるのかしら?」


「さぁ?それはわからないけど用心に越した事はないだろ?」


「そうですわね、油断しないように心して待ちますわ?」


「ああ、そうしてくれ」


俺はマーチと軽く打ち合わせをすると王城に戻るのだった。

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