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城から始まる異世界物語  作者: 紅蓮
異世界生活編
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11話 会議は踊る?いや城は燃えるらしい

大広間のテーブルに全員が揃った所で会議が始まる。


「という訳で、パーティーでの戦闘が必要なんだけど、肝心の近接攻撃ができる職業の人がいないんだよね」


俺は今日見かけた『ケンタウルス』について説明をすると、みんなの意見を求める。


「確かに、私がタンク役で攻撃を受け止める事はできますが、スピードには対応できそうにありませんね」


ケインはどちらかというと重騎士なので、パワータイプとの相性はいいのだがスピードタイプとの相性は悪いのだ。


「もし攻撃されても、回復は私かノエルさんで対応できますが攻撃は不向きですね」


ミーシャとノエルの2人が回復してくれれば、死ぬ事はないだろうが倒す事もできない。


「私やリブ様の魔法も詠唱に時間がかかりますから、その間に攻撃されてしまうと厳しいですね」


マーチや俺は魔法攻撃は出来るが、詠唱時間がある。

その間に接近されてしまうと、避けるために詠唱を中断しなければならないのだ。


「僕もケインさんが止めてくれている間は攻撃できますが、もし矢を躱されてしまったら接近されてしまいますね」


ギートも遠距離攻撃のため、接近されるとどうする事もできないのだ。


「剣士か格闘家の職業の人を探して仲間にするって言っても、そんな都合よく見つけられるかわからないしな〜」


ここにいるメンバーは偶然出会って仲間になっただけで、職業を見ながら集めた訳ではない。

しかし、今回は剣士か格闘家の職業の人を選んで探さなければならないのだ。


「そもそも迷い人がどこにいるのかもわからないのに、ピンポイントで欲しい職業の人を探すのはさらに難易度が高いな………」


そう、1番の問題は人を見つける事なのだ。

偶然迷い人を見つけたとしても、その人が探している職業である確率も低い。


「みんなでバラバラに探すのはどうかしら?」


マーチがそう提案してくれたが、俺は首を横に振ってそれを否定する


「バラバラで探すのは危険が大きすぎるな」


6人で探すにしても、索敵があるギート以外はボスと遭遇してしまう危険もある。

そもそも1人でいる時に大怪我をしたり、最悪死んでしまったら意味がないのだ。


それに回復が出来るミーシャやノエルも、どの程度の怪我までを治せるかわからないのだ。


「俺達もまだ成長するって事を考えると、ミーシャやノエルのヒールも初級の可能性が高い。そうなると、仮に森の中で致命傷を負った時にどこまで治せるかわからない、そこまでのリスクは負えないな」


まだ出会ってそこまで経っていないが、仲間になった人が目の前で死ぬなんて嫌なのだ。


「ですね。私も目の前で仲間が傷つき倒れる姿は見たくありません」


ケインも俺と同じ意見らしく、バラバラで探すのは危険であると言ってくれた。

そうなると、この議案は暗礁に乗り上がった訳だが…


「そういえば、思い出した事があります」


みんなが困っていると、そこまで無言で聞いていたノエルが何かを思い出す。


「ん?何かあるの?」


ノエルの不意の発言に、俺が反応する。

他のメンバーも興味深々でノエルを見る。


「私達がこちらの世界?に来たばかりの頃、お姉ちゃんと通信する前に話をした方がいました」


ノエルが言うには、急にマーチと別れてしまって1人で城に閉じ込められて不安になったので、必死に通信していた時に偶然繋がって話をした事がある人がいる。

との事だった。


「もしその人が剣士か格闘家だったらいいのですが……

ただ…… 今どこで何をされているのかわからないです」


ノエル達の城はすでに陽炎城に統合されてしまっているので、元々の詳しい場所もわからない。


しかも、その人物もまだそこにいるとも限らないのだ。

ノエルの意見は非常に興味深かったのだが、結果としてまた振り出しに戻った。


「あっ、そういう事でしたら、通信に履歴があるようで遠くにいても再通信が可能だそうです」


本と睨めっこしていたケインが、特に問題ではないですね的なノリで超重要事項を言っている。


「うん、ケインそういう重要事項はもっと深刻な顔で言おうか」


あまりにも、さも当たり前みたいに言われると、何も知らない俺達がアホに見えてしまう。


「っで、ケインさんその再通信とはどうやればいいのですか?」


ノエルが自分の本を取り出すと、早速ケインにやり方を聞いている。


やはり、この姉妹は行動力がすごいな。

などと感心していると、謎の人物と通信が繋がったようだった。


「もしもし?以前お話しさせていただいたノエルですが、覚えていらっしゃいますか?」


相手はノエルの問いかけにしばらく無言だったが


「ああ〜良かった……誰かに助けて欲しかったんです」


涙声の男の人の声が聞こえて来た。


「何かあったのですか?」


俺が横から話かけると


「あれ?女性の方お1人だけじゃないのですか?」


驚いた声で逆に質問されてしまった。


「突然すみません、俺は陽炎城の城主で、同盟の盟主をしているリブと申します。

よろしければあなたの名前を教えていただけますか?」


まずは向こうの状況を確認しなければならないのだが、自己紹介は重要なのだ。


「ご丁寧にありがとうございます。私はロイと申します。突然見知らぬ城に閉じ込められまして……

そして今日その城が誰かに攻撃されて今、燃えているんです……」


ロイと名乗った男の人は衝撃的な事を言っている。


「え?大丈夫ですか?」


城が攻撃された?燃えている?誰に?

そもそも燃えているって壊れたりしないの?


ケインは本をすごい勢いでめくっている

他のメンバーも心配そうな顔で通信の本を見つめている。


「ご心配なく、城門が燃えていますが、熱くもないですしお城も壊れてないです。

ただ…この3日くらい1人きりで……ずっと不安で……隣にあったはずのお城も急に消えてしまうし…何がなんだかわからないし……」


そういうと、ロイはまた涙声になる。

それを聞いた俺達は、ほっとしたが心配である事には変わりない。


「ロイさんお城の周りに何か見えますか?」


まずはこちらに来てもらうか、迎えに行って保護する方がいいだろう。


「えっと……ちょっと遠くに森が見えます。すぐ隣に西洋風のお城があります。後は草原ですね」


ノエルが通信できて、ロイの隣の城が急に消えたという事は、その消えた城がノエルの元の城である可能性が高い。

となると、見えている森が陽炎城の隣にある森だろう。


しかし……今はもう夜になる。

どこにあるかわからない城を探しに行くのは危険すぎる。


どうしようかと俺が悩んでいると


「リブ様、通信をしたままでギートさんの索敵スキルで危険を避けながら迎えに行く、

というのはどうでしょうか?」


俺の考えがわかったのか、本をめくっていたケインから提案された。


「でも……今から夜になって方向もわからない森の中で、ロイさんの城を見つけるのは難しいんじゃないかな?」


そう、東西南北がどうなっているのかわからない上に、森に入ってしまうとこちらが迷子になる確率が高くなってしまうのだ。


「あーそれなら大丈夫です。僕のワシの眼で森の中にいても外が見えます」


ギートが爆弾発言をした。


「え?でもギートに最初に会った時は森の中で迷子になってたよね?」


俺は、初めてギートに会った時の事を思い出していた。


「あの時はスキルの使い方がわからかったですが、今ならケインさんに教えてもらって全部のスキルを使えます」


ケインありがとう……


「じゃあ、通信を繋いだままロイさんを助けに行こう。メンバーは俺とギートで」


と言いかけた所で


「私も連れて行ってください」


ノエルが身を乗り出して嘆願して来た。


「そうですね、通信はノエルさんの本なので、繋いだまま行くとなれば必須かと」


攻撃が出来ないノエルを連れて行くのは危険では?と思ったのだが、ケインにそう言われてしまったら仕方ない。


「じゃあ俺と、ギートとノエルで」


と決めて出かけようとすると


「今回は、私とギートさんとノエルさんで行って来ます。リブ様はこちらでお待ちください」


いつもはお留守番担当のケインが、自分が行くと言い出した。


「え?ケインが行くの?珍しくない?」


思いもしなかった発言に、俺は驚いてしまった。


「そうですね、今回はケインさんが行くのがいいと思います」


マーチまで、ケインが行く案を支持している。


「あら?マーチさん、その理由を聞いてもいいですか?」


ミーシャが、ケインを推す理由をマーチに尋ねる。


「理由は簡単ですわ?

ロイさんは何者かに攻撃されてお城が燃えているのですよ?その事案をケインさんが直に見て今後の陽炎城の防衛に生かす為ですわ」


さも、当たり前の事を聞かないで?

みたいにマーチが理由を述べる。


それを聞いた俺達は深く納得した。

そう、今後この陽炎城も誰かに攻撃される可能性があるのだ。


となれば、今何者かに攻撃されたロイさんの城を見ておくのは、軍事参謀として当たり前の事なのだ。


「よし、じゃあ3人に任せる。ケイン頼んだよ」


俺は、ケイン達にロイ救出を任せて、もし何かあればすぐ通信するように伝えて3人を見送った。


しかし…誰がロイさんの城を攻撃したんだろう?

可能性があるとすれば、隣にあるという西洋風の城だろう。


でも、どうやって攻撃したのかとか詳しい事はまだわからない。

とりあえず、俺はケイン達が帰ってくるまで城で待機だ。

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