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城から始まる異世界物語  作者: 紅蓮
建国奮闘編
113/160

110話 決着!!

シトーとカイザーの戦いはシトーの勝利で幕を閉じた。


「しかし、リブという人は何者でしょう?これほどの人物が心酔するほどの城主だと?」


シトーは倒れたカイザーに目を落とすと戦場に向かって歩き出す。


「しかし、後発隊が来ないのはどういう事でしょう?そろそろ着いてもいい頃なのですが、おかしいですね」


シトーはふと思い出し後方を振り返る。

しかし、そこに軍勢の姿は見えない。


「まぁいいでしょう。この戦争の勝利は間違いないですから」


「それはどうでしょう?」


「あなたは?」


「私はリブ様の配下でチャコと言います。まぁ覚えなくてもいいですけど」


「またリブ様ですか……」


「シトーさんでしたっけ?カイザーさんとは相性で勝ったみたいですがここから先はそうはいかないですよ?」


「あなたなら私に勝てると?」


「ええ、勝てますね」


「自信過剰なのですね?」


「そうですか?やってみればわかると思いますが?」


「そうですね、負けても言い訳は無しですよ?」


『闇雲!!』


「忍者の上位職ですか……カイザーさんは知らない職業かもしれないけどうちの旦那もそれなんだよね」


『べナムダスト!!』


チャコは自分の周りを毒沼に変える。


「さぁどこからでもどうぞ?闇雲の効果は10秒でしょ?どうせトンネルドライブで逃げるでしょうけど」


チャコは周りの気配を感じながらシトーが出てくる場所を予想する。


「そこね!!」


『ダブルアタック!!』


カキンっとカタールと短剣がぶつかる音がする。


「よくここがわかりましたね」


「ええ簡単でしたよ?」


「そうですか……ではこれはどうですか?」


『龍炎陣!!』


シトーの周辺に炎の柱が数本立ち上がる。


「本当に……ワンパターン……」


「もう負け惜しみですか?」


「いえ?攻撃がつまらないって言ったんですけど?」


「ははは、それを負け惜しみと言うんですよ?」


「は〜〜……なんでこんなので……」


チャコはため息を吐きながら呆れている。


「全く……」


『クローキングエクシード!!』


チャコはその場から消える。


「な?私でも気配を感じることができないハイディングですと?」


シトーは周りをキョロキョロする。

しかしチャコの気配は全く感じられない。


「仕方ないですね、こんな所で使いたくなかったのですが」


シトーはそう言うと大きく息を吸い込む。


『気功!!』


『龍炎爆王陣!!』


シトーの体が青白く光ると周囲に龍の形をした炎が立ち上がる。


「これは体力を消耗するのであまり使いたくないのですが……さぁどこからでも来なさい!!」


シトーはゆっくりと周囲を見回す。


『ハルシネーションウォーク!!』


『クロスインパクト!!』


影から飛び出したチャコはシトーの右手側から攻撃を仕掛ける。


「はっ!!その距離では私の龍炎の餌食です!!」


シトーの炎の龍がチャコ目掛けて攻撃を開始する。

しかし、チャコはこの攻撃を全て回避しながらシトーに近づくとカタールによる連撃を見舞う。


「ぐっ!!どうして当たらないのだ?」


「面倒だからいちいち教えてられないわ……」


「だが!!これで終わりだ!!」


「ええ、あなたがね?」


シトーが短剣を振り下ろすとチャコに当たる。

だが、攻撃が当たったはずのチャコの体は陽炎のようにゆらめくと消えて行く。


『ダブルアタック!!』


その直後、チャコの攻撃がシトーの背中を斬る。


「な……なぜだ……たしかにそこにいたはず……」


「分身よ?こんな簡単な技に引っかかるなんて実践が足りないんじゃないの?」


「ふっ……だが戦争はこれからです……間もなく私の配下達がここに……」


「あーもう……本当に面倒……終わったから教えてあげるけどその軍勢ならここに到着する前に全滅したわよ?」


「な……」


「もういいかな?私も暇じゃないの。あっ!!そうだ!!ちなみにあなたの本当の名前はなんていうの?」


「私は……シトール・シュバイン……日本から来た転生してきた王だ……」


「へーそうなんだ。ついでに教えておくけど、私達は転生じゃなくて帰還らしいよ?それに王じゃなくて候補ね……まぁもうあなたには関係ない話だけど……じゃ!!」


チャコはそう言うとシトールを置いて戦場に戻って行く。


「帰還?転生者はチートではないのか?まぁ私は負けてここまでみたいですが……」


シトールはそのまま意識を失ってしまった。


「ケインさん、王候補のシトール・シュバインを倒してきました。これで私達の勝利です」


シトールを倒したチャコはそのままケインの元に報告に戻った。


「チャコさん、ありがとうございます。これで後10分持ち堪えれば完全に王城も手中に収めれますね」


「でも、まさかあんな方法で大軍勢を全滅させるなんてさすがケインさんですね」


「クーパーさん?すごいのは私ではなくリブ様ですよ?」


「まぁ……あの方は規格外ですから……」


「確かに……配下になっておいて正解でした。敵対していたら今頃私はこの世界にいないでしょうね……」


「ええ……」


2人はそう言いながら遠い目をするのだった。


「そういえば、この世界に来た転生者達って死んじゃうんですかね?」


「はて?そう言われてみれば聞きませんね……チャコさん、シトールという方は殺してしまったのですか?」


「さすがに殺しまでしませんよ?私だって人殺しなんていやですから」


チャコは笑いながらそう答える。


「ではそのうち気がつきますね。その後は彼がどうするのか次第ですが」


「リブ様の配下にはいらないと思いますよ?なんか勘違いした嫌な人でしたから」


「コウリュ達はどうするのでしょう?」


「そうですね……心配ですがこればかりは……」


そんな話をしていると王城攻防戦の制限時間が終了した。


『この時を持ってこの王城はクーパーのものとなった!!この国の王はクーパー・アルジョンテとする!!』


周辺にファフニールの大きな声がこだまする。

その声を聞いたケイン達はカチドキをあげるのだった。


「「「おお〜!!!!!」」」


「リブ様との約束は守れましたね」


「はい、これでゆっくり祭りが開催できます」


「ふふふ、でも祭りの安全を確保する為に隣国の王城を制覇するなんてリブ様は怖い人ですね」


「結果的に、大陸制覇に一歩近づいたのですからよかったかと?」


「私的には、リブ様の性格を読みきってそこに向かわせたケインさんもかなり怖いのですけど?」


「はて?なんの事でしょう?私は祭りを楽しみにしているだけですが?」


「今はそういう事にしておきます」


ケインとクーパーはお互いの顔を見合わせて笑う。

そして、王城の中に入って行く。


『クーパー・アルジョンテ!!この国の名前を決めるのだ。』


「急いで決めなければダメですか?」


『いや?そういう訳ではないが名前を決めなければ国として機能しないぞ?』


「それでしたら、間もなくリブ様がお見えになりますから一緒に決めますね」


『リブ……クロートか?この国の王はお前なのになぜクロートを待つ必要があるのだ?』


「それはすぐにリブ様に占領されるからですわ?」


『クロートに占領される?なるほどそういう事か!!面白い事を思いついたものだ!!』


「ええ、それが今回の目的ですから」


『良かろう。ならばクロートが占領しに来るまで待つとするか』


ファフニールはそう言うとそっと目を閉じる。

クーパー達もその場に座り、しばしの休憩をとるのだった。

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