表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
城から始まる異世界物語  作者: 紅蓮
建国奮闘編
111/160

108話 悲しい初戦と陰謀?

カイザーは迷っていた。

目の前のゲーリックは共にモンハンをした仲間であり、訓練を一緒に行った友なのだ。


「ゲーリックさん……これは訓練ではありません……本気でいかせて頂きます」


「ええ、これは生きるか死ぬかの戦争です。手加減など必要ありません」


『ソニックウェーブ!!』


カイザーは槍で地面を強く叩きつけ衝撃波を発生させる。


『ヘビーボディ!!』


ガキンっという音と共に、ゲーリックはその衝撃波を大盾で受け止める。


『アースブレイク!!』


ゲーリックはそのまま地面に槍を突き立てると地震とともに大きな亀裂が走る。


『リフレクトシールド!!』


カイザーの足元まで来た亀裂はスキルによって無効化される。


「このままでは決着がつきませんね。次で最後にさせてもらいます」


カイザーはそう言うと槍を天高く突き上げる。


『イグニッションブレイク!!』


カイザーは突き上げた槍をそのまま地面に叩きつける。

そして、叩き付けられた槍から強烈な爆発が起こり、ゲーリックは吹き飛ばされてしまった。


「ぐはっ!!」


ゲーリックは地面に叩きつけられ、口から血を吐き倒れ込む。

そして、そのまま動かなくなってしまった。


「ゲーリックさん……残念です……」


カイザーは頬を伝うものを感じながらその場を後にするのだった。


---------------------------------------------------------------------------


ロイはワイズと対峙していた。


「ワイズさん……」


「ロイさん手加減なしで行きますよ?」


ワイズはそう言うと、ロイに剣を振り下ろす。

カキンっとロイはその攻撃を剣で受け止めるとすかさず切り掛かる。


『高速剣!!』


剣を弾かれたワイズは再度高速で剣を振り下ろす。


『カウンター!!』


ロイはその攻撃を弾くとそのままワイズを切る。

ワイズはその攻撃を間一髪の所で躱すと


『バッシュ!!』


と武器に気合いを込めた必殺の剣を放つ。


『バックステップ!!』


ロイはその攻撃を後ろに下がって躱す。

しかし、振り下ろされた剣の衝撃で飛ばされてしまう。


「くっ!!」


地面に転がったロイは倒れたまま剣をしまうと槍を取り出す。

残念ながら剣士としての実力はワイズの方が一枚上手だった。


「さすがはワイズさんです」


ロイはゆっくり立ち上がると槍を構える。


「ロイさん……行きます!!」


『バッシュ!!』


ワイズは更に必殺の剣でトドメを刺しに来る。


『スパイラルピアース!!』


ロイは手に持った槍を高く突き上げる。

すると、旋風が巻き起こりワイズの体を吹き飛ばしながら切り裂いていく。


「むぅ!!」


ワイズの体かr無数の血飛沫が飛び散る。

そして、そのまま地面に倒れ込んでピクリとも動かなくなってしまった。


ロイはその光景を見ながら目に手を当て俯くのだった。


---------------------------------------------------------------------------


コウリュはネージュの前に立っていた。


「コウリュさん……どうして?」


「こうするしかないの……ごめんなさいね」


コウリュはそう言うと


『飛び蹴り!!』


ネージュ目掛けて鋭い蹴りを放つ。


『陽炎!!』


ネージュはゆらゆらと揺らめくと姿を眩ます。

 

「なっ!!」


『閃光脚!!』


「きゃあ〜〜!!」


ネージュの蹴りがコウリュの背中に突き刺さる。


「なんてね」


ネージュに蹴られたはずのコウリュはその場から姿を消す。


「朧ですか」


「ええ、あなたと同じ技ばかりだと勝てないでしょ?」


ネージュの後ろからコウリュが現れる。


「そうですね」


コウリュは称号の分岐でネージュとは違う方向に進んだのだ。


「なるほどです。これは簡単に勝たせてもらえそうにないですね」


「ふふふ、いい勝負にしましょうね」


互いに拳を交える。


コウリュの蹴りをネージュがガードし、カウンター攻撃をコウリュが受け止める。

両者から次々と繰り出される技の応酬が続く。


「さすがはネージュさん。しかし、このままでは埒が明かないですね」


「私も負けるわけにはいかないですから」


「これで決めさせてもらいます!!」


『虎襲崩拳!!』


コウリュが気を溜めて、一気に放出すると激しく拳を突き出す。


「それを待ってました」


『龍旋脚!!』


待ち構えていた、ネージュの渾身のカウンターが炸裂する。

コウリュの拳を左足の蹴りで跳ね上げるとそのまま回転して右足でコウリュの顔面に強烈な一撃が入る。


完全に無防備になったコウリュはネージュの蹴りを食らってしまった。


「さ……さすがですね……」


コウリュはその場にうずくまって動かなくなってしまった。

ネージュはその姿を見ながら肩を震わせるのだった。


---------------------------------------------------------------------------


クーパーとケインは後方から3箇所の戦闘を見ていた。

それぞれ、こちらのメンバーが一騎討ちで勝利したのだが、心中は複雑だった。


クーパーにとっては一緒に過ごして来た仲間だったからだ。


「クーパーさん?大丈夫ですか?」


クーパーの隣にいたマーチンが心配そうに聞いた。


「ええ、コウリュ達も何か事情があってこの結果でしょうし……」


「そうですね」


クーパーとマーチンがそんな話をしているとケインの元にチャコが戻ってきた。


「ケインさん、コウリュさん達がハンに逆らえない理由がわかりました」


「どのような理由が?」


「はい、街の住民と1人の男性を人質に取られているようです」


「街の住民はなんとなくわかりますが、その男性との関係は?」


「コウリュさんの大切な方のようです。日本から一緒にこちらに来た方みたいですね」


「なるほどです。しかしコウリュさん達は捨てたのに何故その男性だけ手元に残したのでしょう?」


「それが……街の人の話ではその男性はハンに従っているようで……コウリュさん達はハンのやり方に対して反抗したようです。しかしその男性だけはハンと意気投合したみたいで……」


「えっと……それは人質というよりその男性の意思でハンと一緒にいるのではないのですか?」


「私もそう思いました。なのでコウリュさん達の行動が不思議なのです」


ケインとチャコは頭を悩ませる。

その話を隣で聞いていたクーパーが何かを思い出した。


「もしかして……その男性の戦略かもしれないです……」


「クーパーさん?どういう事ですか?」


「コウリュ達が私と初めて会った時、3人で森の中にいたんです。それで話かけたら盟主に追い出されたって言っていたので私の城に連れて行ったのですが、今考えると彼女達の城がないのが不自然なんです」


「確かに、コウリュさん達の城は見たことが無いですね。という事はハンの城に統合されているって事ですよね?」


「ええ、でも自分の城も統合されていて、しかも大切な人がいる城から追い出されてその男性が何故3人を放置していたのか?私がもし今マーチンを追い出されたら一緒に出ますよ?」


「それはそうですね……という事はハンの意思ではなくその男性が裏で糸を引いている可能性があると?」


「今の所恐らくとしか言えませんが……目的もわからないですし……」


「目的は偵察かスパイですね」


「そうだとしてもスパイする意味はなんでしょう?」


「それは……」


「いつ交戦するかもわからない人のスパイをしても意味ないですよね?」


「あの……ちょっといいですか?」


「マーチンさん?どうしました?」


「はい、例えば日本からこちらに来たばかりの人がこちらの世界で何をしたらいいのかわからないですよね?」


「それはそうですね。私もリブ様に会わなければ本だけでは理解できませんでしたから」


「もし、その状態でいきなり攻撃されて盟主になった方がいた場合、その人の常識が全てになりますよね?」


「あっ!!そう言う事ですか!!」


「あくまで私の憶測ですが」


「いえ、マーチンさんの考えが正解だと思います」


「全然わからん……結局どういう事ですか?」


「チャコさんも最初の盟主さんに偵察させられてましたよね?」


「はい、今となっては思い出すのも嫌ですが」


「それと同じことをその男性がやっていたとすると?」


「そう言うことですか」


「だとしても3人で同じ所に?」


「それに関してはいくつか仮説があります」


「と言うと?」


「まず、いくつかの城に向かっている途中でクーパーさん達と会ってしまったパターン、3人1組で報告等の行動がバレないようにするパターン、そして最後に……他の城にも数人送り込んでいるパターンです」


「最後の仮説だとしたら怖いですね」


「その男性がこの攻防戦に出てくる事も視野に入れて編成し直さないとですね」


「そうですね、まだ始まったばかりですし、後続も向かって来ていますからね」


4人は気を引き締めて前線の様子を伺うのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ