10話 ボスとの遭遇
ゴゴゴゴっといつもの地震と共に城下町が変化していた。
「きゃっ」
「何?」
初めての2人は初々しい反応をしている。
俺達はと言うと………
無反応………
もう、完全に慣れてしまっていた。
ミーシャに至っては、鼻歌混じりで晩ご飯の用意をしにキッチンに向かっている。
「さて見に行ってみますか」
俺は、ケインとマーチの2人を連れて玄関の外に歩いて行く。
内壁の門の近くに、立派な3階建ての建物が建っていた。
「何?あれ?」
流石の俺もびっくりした。
あんなデカい建物が、門のすぐ隣にあったら圧迫感がやばい。
ケインも慌てて本を開いている。
「あれは大使館ですね。この建物もリブ様の建設スキルで移動可能なようです」
俺はすぐにケイン、マーチと大使館の配置場所を相談する。
「城のすぐ前がよろしいかと」
「そうね、さすがにあそこはまずいわね」
それぞれに意見を出してくれる。
あれ?この2人意外と合うんじゃね?
初対面とは思えないほど息がぴったりなのを見て、思わず微笑んでしまった。
「ちょっとリブ様!!ちゃんと聞いてる?」
そんな俺を見ていたマーチに怒られてしまった……
ヤバい、これからはしっかり盟主の仕事をしないと、マーチにめっちゃ怒られそうだ……
ケインは優しかったから、困った顔はするものの怒りはしなかった。
でも、マーチははっきり言いそうな予感がした。
しっかりしなければと思わされた瞬間だった。
「じゃあここに移動するね」
そう言うと、怒られた事を誤魔化すようにスキルを発動させて建物を移動させた。
ちなみに、大使館はマーチとノエルの役職の分が合体して統合された物だ、という事だった。
2人の役職が合体しているなら、それはデカくなるか……
そしてもう1つ
参謀本部もデカくなっていた。
これも恐らく、ケインとマーチの分が合体したのだろう。
マーチの城は『魔法訓練所』になり、ケインの訓練所から独立した建物に変わった。
ノエルの城は、病院になったのだが、ミーシャと合わせ効果で、3階建ての総合病院規模の建物が出来上がった。
参謀本部の中は、中央に階段があり、1階の右にケインの軍事部門、左がマーチの外交部門、2階は内政部門となっていた。
着々と、大人数が住める環境ができて行くのだが、そもそもこんな施設必要なのだろうか?
未だに、この世界と目的は見えてこないのであった。
とりあえず夜も遅いので、城に戻りご飯を食べて風呂に入る事にした。
そう!!マーチ達の件で忘れていたが今日は初風呂なのだ!!
マーチとノエルに風呂とトイレを説明したら、2人とも目を丸くして驚いていた。
「まさかお風呂とトイレがあるなんて」
「温泉みたいです」
最初は驚いていた2人も、大喜びで脱衣所に入って行った。
そうして風呂から出た俺達は、今後の活動計画を立てる為に大広間に集まっていた。
「まずはこの世界の把握と目的を調べないと」
俺が議題を提起すると、ここまでの調査結果をケインが報告する。
「この世界にはモンスターとボスモンスターが存在します。
そしてボスモンスターには領域があり、ボスによって支配地形が変わる様です」
「じゃあ急に森が出来たのって、そこにボスが支配領域を作ったから?」
「ええ、そのようです」
「それと、これは私の憶測ですが我々のように、どこからか集められた人達が各地に散らばっていて、同じように仲間を集めて同盟を結成しているのではないでしょうか?」
「私達の近くにあったお城も、今頃はどこかの同盟に吸収されているのかしら?」
それぞれがここ数日で見たり調べたりした事を話あい、情報を擦り合わせて行く。
「とりあえず、森を支配しているボスの強さを確認しないとだな」
俺の意見に賛成なのか、みんなケインの前に開かれている本を見ていた。
そこには、以前ケインが言っていた『ケンタウルス』が描かれていた。
俺が倒したゾンビも一応ボスらしいのだが、あれは雑魚の部類だろう。
「あっそういえば…」
ケインが何か重要な事を思い出したように話出す。
「私達のスキルも成長するようです。後、今日のように建物も拡張されたりするみたいですね」
えっ?俺達自身もまだ成長出来るって事?
「もしかして、職業チェンジとかジョブアップみたいな事もあるって事?」
どこかのゲームで見たことのあるシステムを聞いてみたのだが
「すみません、そこまではまだ調べられてないのです」
ケインが申し訳なさそうに答えた。
「あっ!!でも今日新しい本が手に入ったわよね?」
マーチが思い出したかのように言うと
「確かに!!辞書のような物もありましたし、明日からまた新しい情報が手に入れられるかもしれません」
ケインも嬉しそうに反応していた。
「じゃあ明日からの方針だけど、ケインとマーチは新しく手に入れた本から情報収集を、ミーシャは研究をノエルはミーシャの補佐を頼む、俺とギートは森に入ってモンスターの強さを確認しながら素材集めと言うことでどうだろう?」
「かしこまりました」
「ではそのように」
「了解です」
「何を作ろうかしら?」
「お手伝いします」
各々が俺の意見に賛同し、明日からの方針が決まった。
話合いの後、マーチとノエルのベットと布団を製造して各部屋に配置してから、俺達は就寝したのだった。
翌日、俺は昨夜の方針通り、ギートと一緒に森の中にいた。
「この辺りのモンスターってどんなのがいるの?」
モンスターの特性がわかれば、どの魔法で攻撃するのが有効なのかわかるかと思い、ギートに聞いてみる。
「死霊系、昆虫系、鳥系、動物系が主ですね」
という事は火系か光系の魔法が有効そうだ。
でも火系の魔法は、ひとつ間違えたら大火事になりそうだから気をつけないと。
などと話をしながら歩いていると、突然ギートが身を低くして、警戒するように俺に声をかける。
「リブ様、この先に大物がいます」
ギートは索敵のスキルがあるので、それで獲物を見つけているらしい。
俺は言われた通り、身を低くしながら木の影に隠れて、顔だけ出してそっと前を伺う。
「もしかしてあれって……」
目の前に、下半身が馬で上半身が人間のモンスターが見えた。
「はい、ケインさんが言っていたケンタウルスでしょう」
他の雑魚モンスターに会わないうちに、いきなりボスに会ってしまった。
異様な雰囲気を放つボスは、雑魚とは違いとても一撃で倒せるレベルでないのは一目瞭然だった。
「リブ様どうしますか?他のメンバーを呼んでパーティーで倒した方がいいと思うのですが」
ギートも前の世界ではゲーム好きだったらしく、こういった場面での対処方は一通り理解していた。
「ケインを前衛にして俺とギートが後衛って感じか」
俺もその辺は理解しているので、パーティーを組むなら騎士のケインと俺、ギートだろう?
と提案した。
するとギートから思わぬ提案がされたのだ。
「ケインさんのスキルはタンク系なので前衛はありですが、スピードで負けるはずです。
そうなると後衛の僕達も安全ではないので、出来れば近接攻撃が出来る人が欲しいですね」
確かに…
しかし、うちの同盟にはスピード系の近接攻撃が出来る職業の人がいなかった。
その場合、剣士もしくは隠密、格闘家の職業が必要なのだ。
「今日の所は一旦引き返して、みんなと相談してみよう」
今、慌ててボスを倒さなければならない訳でもないので、ここは引くのが1番である。
ボスの強さが知れて、対策がわかるだけで十分な成果だ。
俺とギートはケンタウルスに気づかれないよう、その場を後にするのだった。
その後、夕方になるまで収集と雑魚モンスターを狩りながら素材集めをして
陽炎城に戻ると、ケインとマーチが内壁の上で城の方を見ながら何やら話をしていた。
「ただいま、何かあったの?」
俺は下から2人に声をかけた。
「リブ様おかえりなさいませ」
ケインが俺達に気がつき、こちらを向き返事を返して来る。
そして内壁から降りてきた2人と、内門の所で合流する。
「狩りの方はどうでした?」
マーチが微笑みながら今日の成果を聞いてきた。
「その事なんだけど……ちょっとみんなで相談したい事があって」
俺が困った顔で2人の顔を交互に見ると、ケインとマーチが顔を見合わせた。
「では、私がミーシャさんとノエルを呼んできますわ」
俺の顔をみたマーチが、何かを察して研究所まで走っていった。
「では、私は本をいくつか取りに行ってきます」
ケインも重要な事だろうと参謀本部の方に走っていく。
「さすがは参謀のお2人ですね、リブ様の顔を見ただけで次の行動に移れるなんてすごいです」
俺の後ろでギートが1人感心している。
「とりあえず、広間で会議の準備をしよう」
俺はギートに声をかけ、大広間に向かって歩き出すのだった。
ご覧頂きありがとうございます。
おかげさまで、初投稿から無事10話まで辿りつく事ができました。
これからも頑張って執筆させて頂きますので、よろしくお願いします




