表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
城から始まる異世界物語  作者: 紅蓮
建国奮闘編
109/160

106話 青いドラゴン

王城前に着いた軍勢はカイザーを中心に鶴翼の陣を展開する。

ケインは後方でノエルとクーパーに通信をしている。


「カイザーさん!!ノエルさんが範囲ワープしてきますので、準備をお願いします」


「了解しました。こちらはいつでも大丈夫です」


ケインはカイザーに指示を出すと陣の後方に下がる。

そこは王城の目の前だった。


「後はクーパーさん達が到着するまで待機ですね」


ケインは誰に話かけるでもなく独り言を呟く。


「ここから1番近い城で約20分です。告知を受けてから準備を始めた場合最短で1時間なので開始と同時に開戦の可能性がありますね」


ケインはその声に後ろを振り向く。

そこには、チャコとクリオがいた。


「チャコさんでしたか……驚きました」


「ごめんなさい。驚かすつもりじゃなかったのですが」


チャコが笑いながらケインに答える。


「1番近い城というとあの城ですか?」


「そうですね。あの城の城主が王候補だった場合の話です」


「単独か、それとも……」


「それは始まってみないとわからないですね」


ケインとチャコが話をしていると


「ケインさん、こちらの準備が整いましたので城をワープさせます」


と、クーパーから通信が入った。


「はい、こちらも準備完了です。いつでも大丈夫ですのでお願いします」


ケインがそう答えた次の瞬間ドーン!!という音と共にクーパーの城が王城の隣に出現した。

そして城門を潜り軍隊が出陣してくる。


先頭はクーパーとマーチンだ。

その後ろにコウリュ達の姿も見える。


「さぁいよいよ始まりますね」


「ええ、私達も持ち場に戻りますね」


「お願いします」


チャコはそう言うとふっと姿を消す。

何か新しいスキルを手に入れたみたいですね……

ケインはそう思っていると


「ケインさん、よろしくお願いします」


とクーパーが隣まで来ていた。


「それではこちらに陣を展開して頂き、クーパーさんとマーチンさんは私と一緒に王城に行きましょう」


クーパーはケインに言われた場所に軍を配置すると王城の前に立った。


「いよいよですね……緊張します……」


「前回はリブ様があっさり入りましたからね……」


「あのお方は観光気分でしたから」


3人はリブの事を思い浮かべると少し緊張が解けるのを感じた。


「では行きましょう」


ケインの合図で王城に入る。


『お主が新しい王候補か?』


声がする方を見上げると、そこには青いドラゴンがいた。

ドラゴンは王城の屋根の上でくつろぎながらこちらを見下ろしている。


「ええ、私が王候補のクーパー・アルジョンテです」


『アルジョンテ……そうか……クロートには会ったのか?』


「クロート?ああ、リブ様でしたら私の主ですね」


『リブというのか?ではクロートは王になったのだな?』


「ええ、リブ様はイグニアス王国の王様ですね」


『イグニアス……という事は赤いドラゴンの住む城か?』


「フェルノさんですね?」


『何?名前があるのか?という事はあの若輩者は人化出来たりしていないか?』


「ええ、人の姿になってリブ様達と一緒に生活してますね」


『なんだと〜〜!!!!』


「えっと……お話中失礼致します。私、リブ様の参謀をしておりますケインと申します」


『ふむ、してその参謀が何用だ?』


「はい、リブ様とフェルノ様のお話は後程ご本人達として頂き、今は王城攻防戦を進めたく」


『おお、そうであったな。では今から王城攻防戦を開始する。細かいルールは知っているようなので今回は割愛させてもらう』


「はい、では我々はこれで」


『待て!!』


「はい?」


『お主達はもう準備ができているだろう?もう少しクロートの事を教えてくれ』


「何故そこまでリブ様にこだわるのですか?」


『それは……その昔、我がクロートの従者だったからだ』


「「ええ〜〜!!」」


「しかしフェルノさんは違いましたよ?」


『ああ、あの赤いのは生まれたばかりの若造だから知らんのだ。あいつはケルティックの化身だが神力を失って新たに生まれ変わったドラゴンなのだ」


「ではあなた様は?」


『我はファフニール本人だ。邪龍アジ・ダハーカが大陸を支配した時に我々もクロートと一緒に参戦したのだが、人間に裏切られて神獣達は封印され我々ドラゴンは捕捉されて神力を奪われた。悪魔族と天使族は光と闇の世界にそれぞれ強制的に戻されてしまい、クロート達も時空の狭間に……』


「その話は聞いていたのですが、ひとつ疑問がございます」


『疑問とは?』


「はい、それだけの戦力がありながら何故当時のクロート様達は負けてしまったのですか?」


『あの時……我等は信用していたのだ……シルバー家をな……』


「シルバー家?確か召喚4家のひとつでクロート家の分家でしたか?」


『ああ……だが奴らは裏切ったのだ』


「奴ら?シルバー家の当主は1人では無いのですか?」


『シルバー家は大陸中の王達を味方に付け他の3家を亡き者とし自分が本家になろうとしたのだ……だがアジ・ダハーカに戦いを挑み負けたのだ』


「少々お待ちください。という事は、クロート様達は邪龍に負けたのではなくシルバー家とその他王家に裏切られて時空の狭間に?」


『そうだ。まぁ結果としてそれを真似した邪龍に時空の狭間に飛ばされたのだがな」


ケインとクーパーは顔を見合わせる。

どうやら当時の召喚一族は仲間の裏切りで負けたみたいだ。

ならば、気をつけなければならないのはシルバー家という事になる。


『そんな事よりクロートの事をもっと教えるのだ。我はかの者が復活するのを待っておったのだ』


「リブ様ですか?」


『そうだ、そのリブという者は現在何体召喚しておるのだ?』


「リブ様は現在ドリー様、リコル様、ハティ様を召喚されています。遺跡よりドラゴンの石版も手に入れておりますので間もなく召喚されるかと」


『ドリーとリコルも復活したか……それよりハティとはあの狼の事か?』


「はい、昨日召喚されたようです。現在はリブ様と同期して獣人の容姿となってリブ様をお守りしています」


『そうか……あの狼が……時間が経てば変わるものだな……いや、奴の場合は後悔と反省の数100年と言ったところか……』


青いドラゴンが何か思いにふけているが、ケインは腕に付けた時計に目をやる。


「そろそろ時間ですのでこの辺りで失礼させて頂きます。リブ様の件はこの戦争は終わり次第直接ご本人とお話しして頂ければ」


『うむ、我は手出しできぬゆえそなたらが勝つ事を祈っておこう』


「ありがとうございます。では」


そう言うとケイン達は王城から出ていく。


「時間がかかりましたね」


外ではカイザーとコウリュ達がケインとクーパーが戻るの心配そうに待っていた。


「申し訳ありません。少々ドラゴンさんと話し込んでいました」


「そうですか、無事なら良かったです。では私達は持ち場に戻ります」


そして、全員が配置につくと丁度開始の時間になった。


兵士達も緊張した顔でその時を待っていた。

この後何が起こるかも知らないまま、開戦の時が来たのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ