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城から始まる異世界物語  作者: 紅蓮
建国奮闘編
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103話 王城攻防戦前日会議

私は今王城攻防戦に向けて準備をしていた。

リブ様の提案で隣国の王城を占領して、祭りを無事成功させる為だ。


しかし、自分の部隊はそこまで多くない。

配下といえば日本にいた時から一緒にいるマーチンだけだ。


コウリュ達は一緒に生活をしているものの配下ではない。


なので、こちらに来て配下を作りどんどん大きな存在になっていくリブ様の事が正直羨ましかった。

リブ様が王になるのも当然だと思った。


しかし、今回は私が一度王にならなければならない。

その後で、リブ様にその王城を占拠してもらいイグニアス王国に編入させるのだ。


その作業をここ数日で行わなければならない。

何故なら1週間で隣国の街や城を平定しなければならないからだ。


前回と違い、今回は時間がないのだ。

戦力に関してはリブ様の配下の方達が助力してくれるので心配はしていない。


しかし、逆に言えば怪我をさせたり、死なせてしまうなどもっての他なのだ。

その責任に押しつぶされそうになる。


リブ様はこのプレッシャーに耐えているのかと思うと、本当に尊敬できる。

いくら配下とは言え、みんな日本では別々に暮らして来た他人なのだ。


ヒールで治るとはいえ、もし取り返しのつかない事になれば今後罪悪感が消えなくなってしまう。

今まで他人事だったが、いざ自分の事となると相当なプレッシャーなのだ。


「クーパーさん?大丈夫ですか?」


隣でコウリュが心配してくれるが、その声さえ遠く感じる。

それほど緊張しているのだ。


「みんなの命を預かるってこんなに怖いのですね……リブ様は凄いです……」


「ええ、何気なくやっていますが、あのお方は凄い人だと思います」


マーチンでさえ、緊張しているのがわかる。


「しかし、このミッションを成功させればリブ様の配下として認めてもらえると思えば気合いが入りませんか?」


マーチンの言う通りだ。

今までは友好同盟として接して来たが、ここで成果を上げれば間違いなく配下に入れてもらえる。

コウリュ達の事がネックだったが、最近の会議で自分とマーチンがリブ様の配下になりコウリュ達はその後でいいと決まったのだ。


その事もあり、今回のリブ様の提案に乗ったのだ。

なので、必ず成功させて私とマーチンをリブ様の配下として認めてもらうというのが計画の第一段階なのだ。


「ええ、私達の未来の為に必ず成功させなければならない」


「はい、その為にもケインさん達と連携をしっかり取りながらも手柄を上げませんと」


「クーパー様、ケイン様達が到着されました。すぐにでも会議を始めたいとの事です」


「ありがとうマリー。それと、あなたもアイーナさんの下に入れるようにしてもらうから心配しないでね?」


「ありがとうございます」


マリーは私達のメイドをしてくれている。

執事はいないがそれでもしっかり私達の世話をしてくれている。


「さて、それじゃあ行きましょうか」


私達はケインさん達の待つ会議室に向かう。


「ケインさん、お待たせしてすみません」


「いえ、今回の大将はクーパーさんですのでお気になさらなくても大丈夫です。私達はあくまで戦略担当ですので」


ケインさんはリブ様の右腕とも呼べる人だ。

こちらの世界に来て1番始めにリブ様の配下になった人だと聞いている。

なので、リブ様もケインさんを最も信頼している。


リブ様の代理と言っても過言ではないのだ。

その人が自分を大将として認めてくれている事が心強かった。


「私達は戦争の経験がないので、ケインさん達が助力してくれる事がとても心強いです」


「と言っても、私達もいつもリブ様が後ろにいるという安心感がない戦いは初めてですので……

私達も仲間とはいえ、傷つけてしまう事は怖いですから……リブ様ほど気丈には振る舞う事は出来ませんよ……」


よく見ると、ケインさんも緊張していた。

その様子を見ながら、リブ様の凄さを再度確認する事になった。


「まぁあの人は、そこまで深く考えていないと思いますけどね?」


ケインさんの隣でマーチさんが軽く首を振っている。


「だとしても、このプレッシャーに耐えれるのは凄いですよ?」


「ふふふ、それはそうでしょうけど?まぁ気楽に行きましょう?リブ様もそう言われてましたし」


そう、リブ様の考えでは、仮に失敗しても相手の戦力を削れれば回復するまで数ヶ月は攻撃してこないだろうという事だった。


しかしここにいるメンバーは全員、必ず成功させるつもりでいる。

それは、今回の祭りは関係なくしても、今後リブ様が大陸の王になるには絶対に避けて通れないからだ。

ここで隣国の王城を占領しておけば、大陸の王になる道が近くなるという判断の元、今回の計画が進んでいるのだ。


「それで?攻城戦の戦略はどうなっているのかしら?」


マーチさんが話を進める。


「今回は鶴翼の陣を敷きます。両翼の前衛にロイさんとネージュさんの歩兵部隊を置き、その後ろにカイザーさんの騎兵部隊を分けて配置します。そして、中央後方にミーシャさんの兵器部隊を配置しその両脇にギートさんの弓隊を配置します。大将であるクーパーさんの両脇にギートさんの弓騎兵部隊を配置し、遊軍として右手にマーチンさん、コウリュさん。左手にワイズさん、ゲーリックさんを配置する予定です。今回はヨシツネさん達や、セシルさん達も参加しますので、ミーシャさん達の前に歩兵として組み込もうと思っています」


「凄い編成ですね……それで?大将の私は何をすればいいのかしら?」


「クーパーさんにはチャコさんとマガストールさんを使って情報収集と状況判断をお願いします」


「その場でどうするかを考えろって事ですね?」


「はい、私とフランさんもサポートさせて頂きますので心配はいらないですが、私も本職はタンクですので状況に応じて戦場に出てしまう場合もありますから基本的にはフランさんがクーパーさんの隣にいる事になります。それにすぐ後ろにライズさんやアドオンさんを置きますので回復は任せて大丈夫かと」


「本当に総力戦ですね」


「ええ、リブ様から全力でと言われていますので」


「わかりました。この攻城戦はみなさんの協力無くしては勝てない戦争だと思っています。リブ様に与えられた使命ですので必ず成功させましょう!!」


「「おお〜!!」」


戦略は決まった。

軍隊の準備も万全との事。

後は私達の準備が整い次第出陣との事だった。


「では、明日の早朝に出陣しましょう。移動はどうしますか?」


「これだけの人数ですので範囲ワープという訳にはいきません。ですが移動に時間をかけたくもないです。そこで歩兵隊は先行して今すぐに向かってもらいます。機動力のある騎兵隊と魔導兵器部隊を早朝の出陣にして配置が完了したところでクーパーさんにはノエルさんの範囲ワープで王城に来てもらいます。王候補の方が王城に入らなければ王城攻防戦は開始されませんし各王候補にも連絡されないので」


「もし王城の近くに城があった場合はどうしますか?その時点でバレて戦闘になったりしませんか?」


「それに関してはすでにチャコさん達が偵察済みですので安心してください」


「ケインさん、その事なのですが……」


「ん?チャコさん何か問題でもありましたか?」


「問題というか……少し気になる事がありまして……」


「それは?」


「はい、城のテレポートです……最初の攻防戦の情報が各王候補にまわっていまして、城のテレポートを集める動きが活発化しているみたいです。なので今は王城周辺に城はありませんが、私達が出陣した事がわかればすぐに飛んでくる可能性は捨てきれないです」


「なるほど……しかしこれだけの軍勢を秘密裏に動かすのは難しいですね……」


全員が黙ってしまった。


「それなら、一度全員クーパーの同盟に入れってこの城事テレポートすればいいじゃない?」


静まり返った部屋にその人の言葉が聞こえた。

全員がドアの方を向くと、そこにリブ様が立っていたのだった。


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