101話 会議、人材、隠キャ
大会議室に幹部だけではなく、全てのメンバーが揃っていた。
日本出身という事で、ヨシツネ達も参加している。
何故かフェルノもいるのだが……
この世界の代表という事で参加を認めた。
「さて、みんなに集まってもらったのは他でもない。ここにテーマパークを建設する計画があるのだが、そのテーマパークの名前やアトラクションを決めたい」
俺の発言に何も知らないメンバーがザワザワしている。
「リブ様、そのテーマパークとは……やはりあの?」
セシルが俺に確認してくる。
「ああ、みんなの想像通りのあれだ」
「あれをここにですか?」
「全く同じ物というわけにはいかないから、こっちの世界に合わせた形の物を作ろうと思っている」
「なるほど、こちらに合わせたテーマパークですか……」
「アトラクションに関してはある程度考えてはあるのだが、細かい部分をみんなで考えたいと思っている。なので、まずは名前を考えて欲しい」
各々、テーマパークの名前を考え始める。
そのタイミングでアイーナがお茶を淹れてくれている。
すると、セバスチャンが会議室に入って来た。
「リブ様、クーパー様達がお見えです」
クーパーさんが?
「なんの用だろう?一応通してくれる?」
「かしこまりました」
セバスチャンが深くお辞儀をしていると
「ちょっと!!リブ様?どうして私達をこの会議に入れてくれないのですか?私達も日本人ですよ?」
と、すごい勢いでクーパーさんが入って来た。
「ちょっと、クーパー様?リブ様に失礼ですよ?」
後ろからコウリュさんがクーパーさんを止めに入る。
「ああ……確かにみんな日本人でしたね……では、会議に参加してもらいましょう」
俺がそう言うとクーパーさん達5人も席につく。
「それで?今はどこまで進んだのかしら?」
「ああ、今は名前を考えてもらっている所だよ」
「名前ね〜確かにあのままじゃおかしいしね」
「こっちの世界に馴染みのある名前にしたくて」
俺は名前を考えるのが苦手だ。
なので、ここは他力本願でいこうと思っている。
「リブ様、1ついいかしら?」
「マーチどうしたの?」
「はい、もしこのテーマパークが完成したらお金の管理を専門でやって頂ける方が必要になるかと思いまして、それにパークの管理や修繕の専門家も必要になると思うのですが、その辺りはどうお考えかと思いまして」
そうなのだ、受付や各アトラクションの管理者、それにインフォメーションセンターや医療班など人手がかなり必要になるのだが、信用できる人材でなければならない。
特にお金に関しては、信用だけではなく計算や管理ができなければ意味がない。
「それなんだよね〜みんな今の仕事で手一杯だから新たな人材を発掘しないとなんだけど、信用できるかどうかが問題なんだよな……」
持ち逃げされたり、誤魔化して横領されても困るのだ。
「住民から従業員を集めるにしても管理者はこちらで選ばないとだし、やっぱり人材が……」
「それでしたら、いい人材に心当たりがあります」
「え?チャコどういう事?」
「今からその人材を連れて来ますのでノエルさんのワープをお借りしてもいいですか?」
「ノエルいいかな?」
「はい、チャコさん行きましょう」
他のメンバーには名前を考えてもらっている間に、チャコとノエルがその人材を迎えに行くことになった。
「人材に関してはチャコに任せるとして、名前はどうかな?」
「ランドが難しいならパークを残すのはどうでしょう?」
「何とかパーク?」
「はい、例えばアドベンチャーパークとか?」
「ふむ、それは悪くないね。他に意見はあるかな?」
「リブパークとかはどうですか?」
「それは……やめておこう……」
「キャラクターの名前を使うのはどうでしょう?」
「キャラクターって事はみんなの名前になるけど?」
「それは勘弁してください」
「ドリームパークとかどうですか?」
「ほう、それもいいな」
「マットドリームパークなんてどうでしょう?」
「うーん、何となく安易じゃないかな?」
「そこは、パークの名前より中身で勝負すればいいのではないでしょうか?」
「そうだな、名前は簡単にしておいて内容が良ければみんな来てくれるか」
「では、マットドリームパークで決定という事でよろしいですか?」
「ああ、そうだな。次にアトラクションだけど、エリアに関しては参謀会議で決まった事を資料にまとめてあるのでそれを参考にして欲しい」
その後、数時間をかけてアトラクションの詳細を決めて行く。
みんなあそこには最低でも1回は行った事があるので、共通認識は完璧だった。
「ここまで決まれば後は作るだけちゃいますの?」
「いや、今回はプランまでだ」
「は?なんでですのん?」
「俺達には機械の知識は無いからだ。想像で作っても安全とはいえないだろ?アトラクションに乗るのは一般人だ。もし怪我をさせてしまったり最悪死人を出してしまったら2度と誰も来なくなる。だから、何よりも安全は1番に考えなければならない」
俺の言葉に全員が無言になる。
理想だけで作っても現実は厳しいものなのだ。
「わかりました。では、機械に詳しい人材を探さなければですね?」
「機械だけじゃ無い。接客、教育、エンターテイメント、保守、警備……その全てに安全と安心を提供出来なければ夢の国とは呼べないからな。そのためには経験と知識が必要だ。見様見真似でやっていい事じゃ無いと思う」
「万全の体制で臨まなければ予期せぬトラブルが起きると言う事ですね?」
「ああ、だからここまでは計画と準備だけはしておくが、ここから先は専門家が必要という事だ」
会議室にいる全員が頷いている。
「全力で人材を探さないとですわね」
マーチの発言に全員がやる気になっている。
今後、マットでは大陸中から大規模な人材集めが始まりそうだ。
「戻りました!!」
俺がそう感じていたそのタイミングでチャコとノエルが戻ってきた。
「リブ様、こちらの方は元々日本で銀行員をされていたというヤリスさんです」
「は……はじめまして……」
チャコに紹介されたヤリスはみんなの前で緊張している。
「はじめまして、俺がこの国の王のリブ・クロートです。これから俺達の仲間として参加してもらえますか?」
「は……はい……チャコさんからお話は聞いております。私でよろしければお役に立ちたいと思います」
これで、この国の経済面は大丈夫だろう。
「ヤリスには経済大臣の役職を与える。これからはイグニアス王国の経済面を全て任せる!!」
「え?は?」
ヤリスは困惑しているが、役職を与えた事で容姿が変化する。
「えっと……テーマパークの管理ではないのですか?」
「テーマパークは国営なんだ。だから、この国の全ての財政を管理して欲しい。もちろん今後部下や官僚は付ける予定だから、1人で全部をやる必要はない。参謀のケインやマーチ、外交官のノエル、軍事顧問のフランも協力するから連携を上手く取って国の財政管理をやってくれ」
「は……はい!!期待に応えれるように精進致します!!」
「そんなに硬くならなくていいよ。俺達は家族なんだからもっと気楽にいこうよ」
「リブ様?はじめましてでいきなり幹部にして大丈夫ですか?」
「マーチの心配はよくわかるけど、彼は生粋の隠キャだから大丈夫だ」
「なんですか?その基準は?」
みんな不思議そうな顔をしているが、俺も向こうでは人見知りの隠キャだったからヤリスを見た瞬間に同類だとわかってしまったのだ。
こっちに来て人の上に立った事で慣れてきてはいるが、人間の本質は変わらないのだ。
「まぁそう言う事だからよろしく頼む」
「全く……ヤリスさんよろしくお願いしますわ?後で引き継ぎをさせていただきますわね?」
マーチは俺に呆れながらもヤリスを信用したようだ。
こうしてお金の管理の専門家がみつかった事で、テーマパーク計画は一歩前進したのだった。




