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土曜日のショッピングモール

俺は今日、珍しく大学近くのショッピングモールへ来ている。普段は外出をしないこの俺がだ!この陰キャの俺がだぞ?もちろん目的は一つである


「奈古、どこまで進んだんだよ、」


「あーね」


柚乃の心境を聞きにきたのだ!!!


「えっとねー...」


「ん?」


「ふつう...」


「ええええ。まじかよおおお、この前頑張ったのに...」


「は?このまえ?」


「ああ、実はな、この前の午後の授業が同じだったんだよ。」


「ふーん」


「それでよお、連絡先交換できたんだよ!!」


「ちょっ!あんた声でかいって!てかあと立つな!」


「やべっ」


「はあ、ここカフェなんだから静かにしてよね。」


「それはごめん」


「ふっwマジで落ち込んでて草」

「っせえよ」


「んで、連絡先交換できたんだよ」


「はいはい。よくできましたねw」


「だからよ、出来るだけ早く心境が欲しいんだよ。」


「んじゃ何?あんたは柚乃の心がどうなってて欲しいわけ?」


「そりゃあ...好き。だろ」


「あのね、そもそも柚乃とお前が関わったのはまだそんな少ねえんだわ。だからそんなすぐに好きになったりするわけw」


「じゃあそれでもいい、嫌いでもいい。とにかく俺は柚乃の気持ちを知りたい、頼むよ」


「いや、協力はするけど。お前も何か行動しろ...よ?」


「わーったって」


「あっ」


奈古は腕時計を見て声をあげた


「どうしたんだよ」


「もう、お前が長話するから2時間もここにいるじゃねえか!」


「は?奈古が色々注文するからだろ!」


「はあ、もういい、これ金」

「あいあい」


ちっ...!


俺はバレないように舌打ちをした


「今舌打ちしたでしょ」


「してない。」


それに気付くのは会計を終えて店を出た瞬間だった


「奈古、なんか電話なってんぞ」


「ちっ!!」


奈古は俺にどうどうと舌打ちした


「頭いかれてやがる」


「ついでにトイレ行くからそこら辺ぶらぶらしといたらー?」


「わかりましたよ!」


俺はまたバレないようにため息を吐いた



「もしもしー?」


私がそう言うと、向こうから声がした


その声は柚乃だった──────


「もしもし、奈古。」


「ん?どうしたの?」


「暇だから明日遊びたいんだけど明日空いてる?」


「うん空いてるよ」


「やった!じゃあどこ行く?」


「んーと...じゃあカラオケ?とか?」


「お!いいね!じゃ、それで!待ち合わせとかは後で連絡するね!」


「ありがと。」


「それじゃ」


「あっ!ちょっと待って!」


私は思い切って聞くことにした


「なに?」


「柚乃ってさ...釜崎くんと連絡先交換したりとかした?」


「あー!したよ!」


「あっ...そう、なんだ。」


「何ならあれだよ?来週遊ばないって誘われた!」


「え!?ほんと!?」


「うん。今予定確認中だからまだ行くかわかんないけど」


「そっか。なんかごめん時間とらせて」


「大丈夫だよ!」


「じゃ、バイバイ」


「ばいばいー」


電話が切れた音が鮮明に聞こえた


「釜崎くん...思ったよりやるじゃん。私、どうしよ...」


私は意味もなく手を洗ってからトイレを出た


「奈古、おせえよ。」


「あ、うん」


「あとちょっと待ってろ」


「え?うん」


私が返事をすると、釜崎くんは急にどこかへ走っていった


「なんだろ。」


今度は、釜崎くんは何かを持ちながら歩いてきた


「ほら、これ。」


「えっ、これ、」


「お前こういうの、好きそうだから」


私の手に渡してきたそれはソフトクリームだった


「ソフトクリーム...」


「なんだ?不満か?」


「いや、ありがと...」


私は舌でそれを舐めた──────だが涼しくなるどころかむしろもっとドキドキして暑くなっていった


「奈古、トイレ行ってからなんか落ち込んでね?下痢か?」


「ざけんな!」

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