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陽キャのギャルは妄想中毒

「何で知ってんだよあいつのこと」

そう俺が聞くと吉田が食い気味に言った


「俺実は奈古と幼馴染でさ、それで繋がってる」


「おいおい、高校の時そんなのいなかった気がするけど?」

吉田と俺は高校からの仲だ。だが、俺が覚えてる限り同じ高校に奈古みたいなやつは居なかったはずだ


「話す機会が無くて話してなかったんだけど、そいつ、好きな友達いるからって女子高入ったんだよ」


「そういうことか。」


「それで本題なんだけど、奈古がさ今度の土曜日に会いたいってさ」


「ええ?何でだよ!」


「なんかわかんないけどそれが言いたかっただけ」


「ちっ、また俺をからかう気だな...」


「釜崎、そんなにいじられてんの?」


「いじられてるどころじゃねえよ。」


「まあどうせ暇だから別に...いいか。進展も聞きたいしな」


「ん?進展?進展って何だ?」


「ああっ!なんでもない」


「てかやば、そろそろ授業だから行くわ!」


「おお急だな」


「じゃあな!」


釜崎は何かを隠すように走っていった


行っちゃったよ...なんかあいつも隠してるな


「まあいいか、むしろ電話しやすいし。」


俺はポケットから携帯を取り出して奈古に電話を掛けた


「もしもし、吉田だけど」


「吉田?どうしたのー?」


「どうしたって...そっちが頼んだんだろ?今度の土曜のこと。」


「あそっか。頼んだね」


「結果は?」


「あいつ、やっぱ優しいからさ、案の定すぐオーケーだったよ!」


「ありがと。これであいつのこと思う存分いじれるわw」


俺はさっきまでの声のトーンを少し下げて言った


「でさ、聞くの今更?かもしれないけど、なんで、釜崎に関わるようになったの?」


釜崎には申し訳ないが完全にあいつは俺と同じ陰キャだ、しかも地味陰キャ、なら、なんでこいつが?まあ理由は一つしかないだろう


「奈古さ、いい加減治さないとやばいよ?」


「へ?何のこと?」


「いやだから、奈古って、妄想中毒でしょ?」


「何それw知らないんだけど?」


「じゃあなんで心が読めるってこと話したの?」


「いや、それはからかおうと思って」


「実際、あいつの妄想がうるさいんだよ!それが悪いんだよw」


「だから、そろそろ相談してくれよ。友達でしょ?幼馴染だろ?もっと素直に言ってくれよ。なんか最近、性格変えすぎなんだよ、奈古はさあ、あいつをいじってるつもりだろうけど、本当は奈古こそ妄想中毒治ってないじゃん。」


「いや。何言いたいの」


「俺は心配なんだよ。あんな陽キャの中に混じって、ボスみたいな雰囲気出して。奈古はそんなんじゃないだろ?本当はもっと静かで優しいじゃん!」


「違う。私は違うから」


「なんかあんなら言えよ!釜崎に関わろうと無理矢理したのも、わざわざ心読めるなんて嘘ついたのも全部、そうだろ。不安になったから後でわざわざ全部俺に連絡したんだろ?また妄想で嘘ついちゃったって書いてたじゃねえか」


「だから、なに?」


「要するに、本当は釜崎が好きなんだろ。」


「は?そんなのあるわけないじゃん!あたしはあんな地味なやつ、臭いやつ、大っ嫌い!あいつは、あいつは!妄想中毒の陰キャなんだよ!」


「そろそろ相談してくれよ。そもそも、最初に俺に好きって中学校の時言ってくれたのはそっちだろ?」


今でも覚えている。俺は誰もいない教室でこっそりと奈古に告白をされた。その時の奈古は今とはまったく正反対、唯一の共通点は妄想が好きということぐらいだった


「俺も奈古みたいな落ち着いてて優しい子がタイプで大好きだった。なのに、高校入る前にさ、急に俺を振ったよな。」


「うん...」


小さい返事が聞こえた


「それから、別々の高校に入ったと思ったら突然連絡が取れなくなって、そしたら大学どこに入るかだけ俺に連絡して、で、こうやって大学入ったら奈古は校則違反してそうな派手な格好したり、陽キャと絡んだり。」


「なあ、いつでもいいから女子高で何があったか話してくれないか?少しだけでもいいから。別にもう一回関係を戻すとかめんどくさいことはもういいから。」


「わかった。後で相談するね。」


「おっけ。じゃ、俺小腹空いたからコンビニ行くわ、じゃあな。」


「うん。バイバイ」


俺は電話を静かに切った


「奈古...やっぱ釜崎のこと好きになっちまったかなぁ...釜崎も何か俺に隠してるみたいだし...俺ってもう独りかな。」

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