フィールド〜私の物語1
●私の物語〜レトロゲーム
思い出せない、何か大切な事を忘れているような、忘れていないような。
どうして、こんなタイミングでこんな事を考えているのだろう。そういえば、私が学校に行かなくなったのは、中学1年の春が過ぎジメジメした雨が降り続いた…そう。ちょうど、今ぐらいか…それからもう3年ぐらい経ったかな?
この薄暗い部屋から出れなくなったのは…そう、私は引き籠りってやつだ。
何があったわけでもないのだけれど、突然、春の終わり頃から街の景色が変わってしまった。それからというもの、街の景色の色がしだいに薄くなってしまい、だんだんと景色を見ると気持ち悪さえ感じた、
友達と街に遊びに行っても、友達の顔も表情も歪んで見えた。
幸い家にいる時だけは、その症状は無く普段通りの生活はできた。最初はただの貧血だと思っていたのだが酷くなる私を見て心配したのか親が私を病院に連れて行った。
診断結果は、私も親も想像していなかった、適応障害と診断された。症状は簡単に言うと症状はうつ病とよく間違われるらしいが、何かしらのストレスで起こりうる症状で、私はこの都会の景色にストレスを感じているみたいだった。
親は、私の為に引っ越しを考えているようだったが、私は弟が小学校を卒業してから、引っ越しを提案した。
まぁ、そんなこんなで私の生活は一変し、自宅生活が始まり数年経った、そんなある日、弟が、毎日暇だろうと、
古いゲーム機を部屋に置いて行った。昔、私達が産まれる前に父が使っていた物らしく、テレビゲームの始まりの機械だそうだ。弟の使い古しだから仕方ないのだけれど、どうせなら、新しいものを置いていけよ!って心底思った。
私は数日間、そのゲーム機を見つめて過ごした頃、心配した弟が部屋に来た。
「ねーちゃん、なんだ折角貸してやったゲームやってねーのかよ、」
「んー、どうせなら、あんたの新しいの置いていってよ。しかも父さんの使ってたゲーム機だし、それ。」
「ん?ちげーよ、今は俺のだし。折角部屋の奥にあった新しいゲーム持ってきてやったのに、仕方ねぇな、セッティングしてやるよ。」
「お願いなんてしてないつーの!」
「えーっと、これはこうで…」
ぶつぶついいながら私の部屋のテレビに、そのゲーム機を繋いでくれた、本当余計な…いや。本当、いいやつだと思った。
「うし!これで完成っと!ちゃんとゲームしてね!」
「…うん」
弟は、弟で心配してくれているようだった、
「…ありがとう」と心の中で答えた。