謎の艦影
もっと涼しくなるといいな~
まだまだ暑いですね〜
「《エギザム》の中だと?!」
「モニター出ます!」
そこに映し出されたのは《エギザム》の中から
船体の半分ほど出した艦だった。
フォルムは《月花》に似ている。
俺はこの艦を知ってる…でも…なんでここに。
俺が考えている間に副艦長が指示を出す。
「何処の艦か照会せよ!各解析レーダーの
使用を許可する。アルト班も協力を!」
「分かりました!」
「識別信号はグリーン!我が艦隊の識別です。
しかし照会にかかりません!未登録の艦です。」
「未登録?!そんな事あり得るのか?艦長!
呼びかけますか?」
「あ、あぁ、頼む。」
通信士が呼びかけるが反応がない様だ。
「こちらアース宇宙艦隊 《月花》応答願います。」
その時にアルトが驚愕の声を上げる。
「馬鹿な!!あり得ない!そんな…」
「何かわかったのか?アルト君!」
俺は戸惑いながら問いかける。
「この船は恐らく《月花》と同タイプの艦で
使われている技術水準も全く同じです。
同年代に作られた物だと思いますが…しかし…」
副艦長がこちらを見て聞き返す。
「このシリーズの艦で《エギザム》に向かったのは
我々が最初のはずですよね?艦長。
艦影が少し違う様ですし未登録のプロトタイプや
テストタイプの無人艦でしょうか?」
「いや、プロトタイプが《月花》だ。テスト艦も
存在しない。あれは《大地》と言う艦だ。」
「ご存知なのですか?では味方で間違いないのですね。」
「確かに味方ではあるが…ありえないんだ…」
「あり得ない…とは?元に目の前に居るではありませんか。」
すかさずアルトも声を上げる。
「ええ…あり得ません。何度も分析し直しましたが
技術水準は同年代ですが、艦の劣化具合からして
約3000年前の艦なんです。しかも我々
人類の作った物に間違いなありません。」
「ますますわからん…私の知る《大地》は今アースで
最終調節中のはずだ。」
カノン副艦長が難しい顔をしながら
「ではあの《大地》は…いったい。」
「アルト君、そちらに建造中の《大地》のデータを
送る。副艦長もだ。自分のコンソールを確認してくれ。
これも最高機密だが致し方ない。
アルト君は目の前の《大地》との類似点の洗い出しを。
副艦長は《大地》性能の把握だ。」
「了解しました!」
「分かりました!」
「解析が終わるまでは警戒態勢のまま待機」
どうなってんだ?《大地》は、
もしも中和が間に合わなかった場合に
損害覚悟でエギザムごと吹き飛ばす
自爆艦だ。航行能力は低い。
我々が出発する時に確実に2つ隣のドックにあった。
追いつく事はあり得ない。自爆が目的の為
無駄な機能は無い。長期航行は不可能なのだ。
アルトが声を上げた。
「艦長。解析が終わりました。解析の結果、
艦隊で建造中の《大地》と目の前の《大地》は
完全に同一の艦であると断定します。
劣化が激しものの、細部まで同じです。」
「そうか…メインタンクはどうなっている?」
「それが、劣化により中身が漏れています…もしかすると
これが《エギザム》の正体かもしれません。」
続いて、カノン副艦長が声を上げた。
「《大地》の役割と機能を把握しました…
私もアルトさんの意見に賛同します。
《エギザム》は《大地》に積載された圧縮されたmeでは?」
対エギザム用自爆艦《大地》
最近新開発されたばかりのmeの圧縮技術。
meを圧縮することには成功したが圧縮したことで
どんな影響があるかなどの検証はすっ飛ばして
実用化を優先し完成した艦である。
現在はアースにて出来るだけのmeを圧縮中である。
中和作戦が失敗した場合、出撃する予定だ。
だからここに有るのはおかしい!
「状況的にそうみえるね。《エギザム》の正体が
分かったのは収穫ではあるが、問題は3000年前の
《大地》だと言う分析結果だな。アルト君。」
「あらゆる分析結果が概ね同じ約3000年前以降の
人工物であると指し示しています。まず
間違いありません。」
カノン副艦長が目を見開いて言う。
「そんな…現実離れもいいとこです。じゃあ、《大地》は
meを搭載した状態でタイムスリップして3000年前から
宇宙を漂い、メインタンクを損傷しmeを漏らしながら
アースを目指している…。」
状況整理すると副艦長の言う通りだが、
非情な現実を加味していない。
「辛い事を言うようだが少し抜けている。」
「艦長?どうゆうこですか?」
「今の仮定が事実なら我々はミッションに失敗している。
そもそも《大地》が出動するのは我々が失敗した時だ。
そして我々の失敗を無理矢理カバーするはずの《大地》
もここに健在だ。つまりアースは…。」
「………」
「………」
「まあ、あくまでも仮定だ。それに我々はさきほど
《エギザム》のmeを半壊させたばかりだ!
決めつけるのはまだ早い。この大地を止めてしまえば
アースはひとまず救われる!」
「確かにそのとうりです!流石艦長!」
カノン副艦長に笑顔が戻った。彼女にはやはり笑顔だな。
「艦長のおっしゃる通りですね。あの《大地》は
ひとまず置いておきましょう。溢れたmeを
処理すれば内部調査も可能です。記録が残っているかも
しれません。」
一同は気を新たに《エキザム》に再度
立ち向かう。
オラ、ワクワクすっぞ!




