天照《アマテラス》
「分かった。最後に俺の特殊能力についてだけど。」
「も、もちろん他言しない!てかそんな能力
誰も信じないし、そんな能力者の事を言いふらすだけで
目立っちまう。あんたらに開放されても天照には
当分は狙われる。ヒッソリと過ごさないとこっちが
困るんだよ。」
まあ、それもそうか。でも念には念を入れておこう。
「あぁ、そうじゃないよ。俺の能力の話には続きがあってね。一度鑑定した相手の位置が分かるんだ。だからもし
ギレトさんが情報を漏らしたら移転で後に飛んで
グサッと行くよ?」
まあ、そんな能力はないし、知らない場所にも飛べない
けどな。でも効果はあったようだ。ギレトさんの
顔が真っ青になった。
「そうだ!報酬さえ貰えればギレトさんの仕事変わって
あげてもいいよ?俺も得意みたいだから。
後ろからグサッが…。」
俺は目の前で移転してギレトの背後に回ってみせた。
「ヒッ!か、勘弁してくれ。絶対に言わない!
命が大事だからな!まだ死にたくないんだ。」
かなり効果が有ったようだ。間違いなく喋らないだろう。
この辺りで開放してやるか。
「分かった!信じるよ。俺達は明日にでもダンジョン内の
拠点にでも行ってみるつもりだ。つまり明日には
ギレトさんの失敗がバレる。俺達が負けると直ぐに
ギレトさんは追われるだろうね。そこでだ、
最後に俺達にアドバイスかあるんじゃないかな?」
「アドバイス?!拠点の位置は大体マチルダさんに伝えた。
後は…そうだ!合言葉がある!冒険者を捕まえた時は
拠点の入口で【世界を正す】と言えば開けてくれる事に
なってる。中には入ったことはないから俺が言えるのは
そこまでだ。あんたらの勝利を願ってますよ。」
そりゃそうだろうな。俺達が勝てば逃げる時間がかなり
稼げる。なんならギレトも殺られたと思ってくれるかもだ。
その後ギレトは森の中に消えて行った。
「さすが坊ちゃま…お見事でした。完全に騙して
情報を引き出せましたね。しかし、本当に拠点に行くので?
依頼は受けてはいますが情報だけで十分です。坊ちゃまが
危険を犯す必要は有りません。」
確かにマチルダの言う通りだ。
俺達が行く必要はない。だけどここまで来たら
気になるし…ペルさんももしかしたら…。
「まあ、そうなんだけど…もしかしたらさ
ペルさん生きてるかもしれないじゃない?」
ギレトの話だと捕まえる事が出来ない場合は殺害だが
基本は生きて捉える。つまり殺す事は目的ではない。
ならまだ生きている可能性がある。
「それにさ、一級が不在だったはずだよね?
つまり、僕らが今の最高戦力だろ?だとしたら戻った
所で状況は変わらない。もしかしたら組織の連中に
気づかれて逃げられるかもしれない。それになにより
もしヤバくなったら移転で逃げればいい。」
「た、確かに…坊ちゃまとなら引き返す事の出来ない
一方通行のダンジョンでも安心ですね…。」
「まあ、今日はとにかくもう疲れた。このままダンジョン前で野営をして明日は組織の拠点とやらを探しにいこう。」
「分かりました。では食事の準備を致します。
坊ちゃま、申し訳ないのですが荷物をお出し願います。」
俺は空間魔法で収納していた本当の荷物を取り出して
マチルダに渡した。
マチルダは荷物を広げ、外とは思えないほどの食器や
カーペットにナイフ、フォークにグラスまで…。
そりゃ陶器やガラス製品詰め込めば荷物が重いわけだ。
てか冒険者にはいらんだろ!その分食料もてるんじゃ…?
冒険者としてのマチルダを尊敬していたのだが…
マチルダは…マチルダだった。
「坊ちゃま。お食事の準備が整いました。」
「何これ…?マチルダさんマチルダさん?ここって
《奈落》って言うダンジョンの前でしたよね?」
「はい、左様です。」
「じゃあなんでダンジョンの前で普通に豪華な
フルコース料理が並ぶの?」
「駄目でしたか?」
「駄目…じゃないかもだけど…普通はないよね?」
「そうですね。一般冒険者だとごった煮が主流ですね。」
そうだ、一般的な冒険者の食事は食材を鍋にぶっ込んで
煮るだけだ。後は干し肉とか、とにかく手間の掛からない
料理が当たり前だ。
「だよね…。まあ、もう深く考えるのは辞めるよ。
さあ、マチルダも食べよう。」
「承知致しました。では失礼して…」
俺達は食事をして、明日に備えて早目に寝る事にした。
もちろん夜襲を警戒して交代で睡眠を取った。
例の如くマチルダは
「私が見張っておくので坊ちゃまはおやすみ下さい!」
っていってたけどそれだとマチルダはいつねるんだ?
って話になる。俺はマチルダを説得して交代で
睡眠を取る事になった。
マジでマチルダは優秀なんだ!優秀なんだけど…
なんでだろ…これもファンタジー…
翌朝
「よし、準備出来たな。マチルダそっちはどう?」
「こちらも大丈夫です。全て片付けました。」
今日はもしもに備えて拠点を全て片付けた。緊急時には
直後王都の屋敷に飛んでしまう予定だからだ。
俺はマチルダから荷物を預かり空間収納に収めていく。
「よし、これで最後だな。では行こうか。」
「はい、坊ちゃま!」
「さてさて~何がでるかな。」




